2022年12月05日
アイデアよもやま話 No.5443 霞が関のエリート官僚の働き方!
8月15日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で霞が関のエリート官僚の働き方について取り上げていたのでご紹介します。 

20代で自己都合で退職した国家公務員の数の推移なんですが、このように(こちらを参照)年々増加傾向になっていまして、6年間で4倍以上に増えているのです。
若手官僚が霞が関を去る背景には何があるのか、改革に動き出した官僚たちを取材しました。

夜8時過ぎ、彼らは霞が関で仕事を終えた官僚たち、この日、「ソトナカプロジェクト」という交流会が初めて開かれました。
官僚の悩みや問題意識を共有する場だといいます。
経産省の女性職員は次のようにおっしゃっています。
「日頃の右から来る仕事を左に流すみたいな、忙殺されて外に目を向ける余裕がない。」

経産省の男性職員は次のようにおっしゃっています。
「キャリアとノンキャリアの差がここにはあって、ノンキャリアは職員じゃない感じで名簿すらない、不思議な感じがします。」

防衛省の男性職員は次のようにおっしゃっています。
「民間は効率化を追及してきたところがあるので、そこの部分の組織の仕組みとかは取り入れて欲しいなっていうところと、・・・」

実は集まった官僚の多くは中途で採用された人たちです。
“霞が関”独特の文化や働き方について多くの意見が集まりました。
イベントを主催したプロジェクトチームのメンバー、山内亮輔さんは次のようにおっしゃっています。
「中途採用やいろいろな経歴の人を組み合わせてチームを作るということがまだ霞が関はうまく出来ていない。」
「この変化の大きい時代を乗り切っていけるんだろうかということを思った時に、もっとスピード速く、いろいろ変化させていかなきゃいけないんじゃないかと。」

一方、霞が関で働き方改革のトップランナーと言われる環境省、1年半ほど前から取り組んでいるのがオフィス改革です。
担当した地球環境局の職員に案内してもらいました。
以前は役職の順に並び、書類が山積みになっていたデスク、今はフリーアドレスになり、書類はデータ化され、紙資料の60%以上が削減されました。
段ボールが積まれていた通路も今はすっきりしています。
座席は以前の8割ほどに削減し、予約なしで使える打ち合わせスペースを増やしました。
更に元々局長室だったところを改修し、3つに分割して会議室を増やしたというのです。
地球環境局の松澤裕局長は次のようにおっしゃっています。
「特に支障はないし、冬は特にむしろ広すぎて寒くて、コンパクトになった方が自分にも良いかなって。」

環境省では2020年から「選択と集中 実行本部」を立ち上げ、オフィス改革や業務の効率化を進めてきました。
旗振り役を務める、業務改革推進室長の前田大輔さんは業務効率化の先を見据えており、次のようにおっしゃっています。
「環境省はこれから2050年にカーボンニュートラルを目指す中で、社会変革をしっかり担っていかなきゃいけないと。」
「そのためには手元のメールだとか業務に忙殺されてるだけじゃなくて、もっと外に出ていろんな人の話を聞いて新しいニーズに応えていく、そういう政策をやっていかなきゃいけない。」
「(新たなアイデアを生み出すために導入されたが、)「20%ルール」を作ったらどうかと提言がされてきました。」

「20%ルール」とは、業務時間の20%以内を担当業務以外のプロジェクトなどに使える制度、グーグルなどが導入していることで知られています。(参照:アイデアよもやま話 No.2937 グーグルの強さの秘密!
この制度を活用している、入省7年目の環境影響審査室の福田朋也さん(33歳)は普段、空港や発電所などの開発が環境にどのような影響を与えるか審査する仕事をしています。
「20%ルール」を使って福田さんたちが作ったのが「SUSTAINABLE FASHION」というホームページ(こちらを参照)です。
福田さんは次のようにおっしゃっています。
「役所っぽさというか、お堅い作りからポップな感じを取り入れたり。」

福田さんたちは省内の有志たちとともに新たなチーム「ファッションと環境タスクフォース」を立ち上げたのです。
ファッションによる地球環境への負荷をいかに低減していくか、勉強会を続け、ホームページやSNSなどで発信をしています。
福田さんは次のようにおっしゃっています。
「(日本のファッション業界の)やっていることがしっかりしているなというのはホームページを作った時からすごい思っていたので、後はそれをどう普及させていくかというところかなっていう。」
「タスクフォースチームに入ると全体を見ることが出来るので、すごい自分の視野が広がったなとか、自分の興味に基づきながらすごい仕事が出来て、環境省全体がすごい楽しいものに見えるようになりましたね。」

「20%ルール」を活用することで若手職員も意見が言い易く、やりがいにつながっているようです。
「ファッションと環境タスクフォース」のリーダー、岡野隆宏さんは次のようにおっしゃっています。
「みんながフラットだからだと思います。」
「そういう議論をやりながら一つずつ方向性を決めて皆さんと議論する。」
「それを本来の環境省の組織にも提案していくっていう。」

変わり始めた霞が関の働き方、今後日本を支えていく若者たちに魅力ある職場となるのでしょうか。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組での若手官僚の声を通して分かる、以下のような霞が関の官庁の状況に驚きを感じます。
・キャリアとノンキャリアの差があり、ノンキャリアは職員名簿にすら載らない
・民間は効率化を追及してきたところがあるので、こうした組織の仕組みは取り入れて欲しい
・中途採用やいろいろな経歴の人を組み合わせてチームを作るということがまだ霞が関はうまく出来ていない
・この変化の大きい時代を乗り切っていくためには、もっとスピード速く、いろいろ変化させていかなきゃいけない

こうした中、救いなのは、霞が関で働き方改革のトップランナーと言われる環境省では2020年から「選択と集中 実行本部」を立ち上げ、オフィス改革や業務の効率化を進めてきており、具体的に以下の取り組みをしていることです。
・フリーアドレス
・書類のペーパーレス化
・予約なしで使える打ち合わせスペースの増加(局長室を改修し、3つに分割して会議室に変更など)
・「20%ルール」の導入

中でも「20%ルール」は以下のように様々なメリットが期待出来ます。
・誰でも自由に意見が言える組織風土づくり
・組織の壁の突破
・民間企業などとの意見交換
・各官僚の視野が広がること
・自分の興味に基づいた仕事が可能になることから、仕事にやりがいを感じられるようになること

こうした霞が関の官庁での取り組みと並行して、より重要なのは政治家の資質レベルの向上です。
例えば、田中元総理は“金権政治”で話題を集めましたが、「日本列島改造論」などをぶち上げて、日本の交通インフラの整備などにつながる多くの法案を通しました。
こうした交通インフラの整備はその後の日本の経済成長に大きく貢献したことは間違いありません。
また、旧統一教会の信者の家族による銃撃事件で亡くなった安倍元総理も旧統一教会との関連(参照:アイデアよもやま話 No.5345 政治家は、信者の家庭崩壊よりも自身の得票数の方が大事!?)や森友学園問題(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.741 『森友学園を巡る公文書改ざん問題の不本意な終結!』)といった負の側面があります。
しかし、一方で総理の時にアメリカのトランプ大統領(当時)も安倍元総理に対して一目置くというような良好な関係を築き、G7のような国際的な会合においても一定の影響力を発揮されたという側面も持ち合わせていたのです。(参照:アイデアよもやま話 No.5380 現在の国際情勢における日本の役割!

ということで、国政を預かる政治家の方々には、こうした歴代の政治家の良い面を踏襲していただき、官僚や国民をリードしていっていただきたいと思うのです。
残念ながら、現状は有能な官僚という宝の持ち腐れ状態のように見えます。
このような状況は官僚のみならず国民にとってもとても不幸なことだと思います。

 
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