2022年04月16日
プロジェクト管理と日常生活 No.741 『森友学園を巡る公文書改ざん問題の不本意な終結!』
これまで森友学園については、No.3666 ちょっと一休み その588 『森友学園騒動の国会活動に与える損失の大きさ!』No.3726 ちょっと一休み その598 『民主政治を危うくする最近の安倍政権の対応!』などでお伝えしてきました。
また、前回は企業の不正を内部通報した人を保護するための指針についてお伝えしました。(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.740 『内部通報者」を処分したら、役員ら懲戒に!』
そうした中、昨年12月15日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で森友学園を巡る公文書改ざん問題について取り上げていたのでご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

森友学園を巡る公文書改ざん問題で自殺した近畿財務局の元職員、赤木俊夫さんの妻、雅子さんが国に損害賠償を求めた訴訟の進行協議が今日、大阪地裁で開かれました。
冒頭で国側が約1億円の損害賠償など、雅子さんの要求を認めたことで終結しました。
雅子さんは次のようにおっしゃっています。
「負けたような気持でいます。」
「お金を払えば済む問題じゃないです。」
「こんなかたちで裁判が終わったのが悔しくてしょうがないです。」

財務省は赤木さんが自殺したことについて、国の責任は明らかとの結論に至ったとしています。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

また、昨年12月25日(土)付けネット記事(こちらを参照)でも同様のテーマを取り上げていたのでその一部をご紹介します。 

京都大学大学院法学研究科の曽我部真裕教授は次のようにおっしゃっています。
「赤木雅子さんが求めたのは、賠償金ではないでしょう。お金がめあてではなく、国家賠償請求の裁判という形で、真相を解明したかった。けれども国は、それを避けたかった。『認諾』つまり訴えの全てを認めてしまえば、それ以上裁判にはなりません。打算的な判断です。これには、なにか不純なものがあるんじゃないか、制度が悪用されたと感じます。」
「(公文書改ざん、赤木さんの自死があったとき、国会での調査が「できなかった」経緯があるが、この国では国政調査権が機能していないことについて、)日本は『ガラパゴス』なんです。海外にはそんな横暴を防ぐための制度があります。『少数派調査権』といって、国会議員の4分の1の発議で国政に関する調査ができる仕組みが、ドイツなど諸外国にはありますから。政権与党の協力、了解がないと国政を調査ができない日本の仕組みは見直すべきという議論があります。」
「今の制度では、国会の場で真実を調査することは難しいのだ。「国有地払い下げの問題や、入管での人権侵害についても同様。」
「そして別の観点からもうひとつ。これはそもそも、日本社会の普遍的な問題なんです。組織の命令には逆らえない、組織は命を守ってはくれない。ありえないことをやらされた赤木さんは、今回の認諾で、いわば『2度裏切られた』んです。これは、けっしてひとごとではなく、みんなに関わる問題です。雅子さんが実名を出して訴えていることはとても重要。声を上げていくことが大切だと思います。」
「国は、真相を究明させないためには、こんな突然の方針変更も厭(いと)わない。もし私が法務省の『中の人』だったら…良心が(とが)めます。しかし、勤め人である現場の訟務検事は、認諾を決めた上層部に従わざるをえないでしょう。法務省の職員たちも、組織の人ですから」

「今回の認諾には驚きしかなかった。前例がなかったわけではありませんが、法律関係者は一様に驚いたと思います。ここまでして拒否したかったことは何なのか。裁判だけでなく、国会の責任追及機能も正しく機能していません。見直すべき点はいくつもあります。
そして、組織が個人を犠牲にしていく社会を続けていかないために、赤木雅子さんの勇気を高く評価しています。」

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

森友学園を巡る公文書改ざん問題、および原因を以下にまとめてみました。
・近畿財務局の元職員の上司が森友学園を巡る公文書の改ざんを指示したこと
← 官邸主導による長期政権の弊害(政権に対する忖度)
上級官僚のモラル欠如
・そのとおり元職員が実行に移したが、罪悪感に悩み、自殺に追い込まれたが、その上司、および大元の指示者が無罪であること
 ← 原因追及がされないまま裁判が終結したこと
・適切な原因究明が出来ず、従って再発防止策の検討が出来ないこと
 ← 訴えの全てを認めてしまえば、それ以上裁判にはならないこと(認諾)
・また、その問題の追及をしようとしても、政権与党の協力、了解がないと国政を調査が出来ないこと
 ← 適切な再発防止策が検討出来ないこと

次にこうした問題のリスク対応策を以下にまとめてみました。
(リスク対応策)
・あらゆる事項について、政府は可能な限り、関連情報を公開し、説明責任を果たすこと
・官僚が内部通報しても身分が保証されること

(再発防止策)
・ドイツなど諸外国にならい、国会議員の4分の1の発議で国政に関する調査が出来るといったような仕組みにすること(認諾の回避)
・内部通報による問題の大きさにより、主管大臣、あるいは上級官僚は処罰されること
・更に内部通報者に降格や減給などの処分を行った主管大臣、あるいは上級官僚は処罰されること

なお、第二次安倍政権以降には赤木俊夫さん以外にも「自殺&不審死」された官僚の方々がおられます。
こうした政治の犠牲者をこれ以上出さないためにも政治の仕組みを変えることが求められているのです。
企業などにおいても同様のことが言えます。
ですから、国には率先して「自殺&不審死」の犠牲者ゼロを目指して取り組んでいただきたいと思います。

なお、4月11日(月)付けネット記事(こちらを参照)でも同様のテーマの最新状況について取り上げていたので以下にその一部をご紹介します。 

赤木雅子さんは4月11日、東京都内の日本記者クラブで会見し、「関係者は全て真実を語ってほしい」と改めて訴えた。
関係者の尋問などが行われないまま裁判が終わり、改ざんに至る過程などは明らかになっていない。
雅子さんは会見で「夫は国に殺された。何のために国会や裁判があるのか。ひどい国だと思う」と悔しさをにじませた。
同席した生越照幸弁護士によると、賠償金を約1億円と高額にしたのは、国が一方的に裁判を終わらせるのを防ぐ狙いもあったという。尋問に向けて準備していたことを明かし、「国は追及されるのを防ぎ、一貫して情報を隠し続けている」と批判した。
今後、佐川宣寿元国税庁長官を相手取った裁判などが残っている。雅子さんは「佐川さんには法廷にきちんと出て、真実を明らかにしてほしい」と求めた。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

考えてみれば、結果として認諾というかたちで先の裁判は終結しましたが、そのために国は賠償金として1億円を赤木雅子さんに支払ったわけです。
しかし、その1億円は元を正せば国民の税金からなのです。
ですから、国は、森友学園を巡る公文書改ざん問題に関して、原因を追究せず、従った再発防止策も満足に検討せずに、しかもささやかではありますが、国民から見ればムダ金とも言える1億円を使うことで裁判を終結させたのです。

このような状況において、「夫は国に殺された」という赤木雅子さんの会見での発言は最もだと思います。
今後、佐川宣寿元国税庁長官を相手取った裁判などが残っているということですが、佐川さんには真実を証言していただきたいと思います。
そうでなければ、赤木俊夫さんの死は浮かばれませんし、今後とも官僚の「自殺&不審死」は無くならないと思います。

 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています