11月4日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」 (テレビ東京)でグーグルのエリック・シュミット会長へのインタビュー内容を伝えていたのでご紹介します。
グーグルというと世界一の検索エンジンを持ち、ネット検索というイメージが強いです。
ところが株式の時価総額は40兆円(トヨタ自動車の約2倍)を超え、その財務力を背景に企業を次々に買収しています。
2005年には現在のスマホ事業の核となるアンドロイド社を買収、その後動画サイトのYouTubeやレストラン評価のザガットといった有名企業次々と傘下に収めてきました。
こうして買収した企業は150社を超えます。
昨年には日本のロボット開発会社、シャフトを買収しましたが、世界最先端を行くヒト型ロボットの技術にグーグルが注目したのです。
驚くのは買収決定までの時間です。
お昼過ぎに両社が会って夕方までには決まったというのです。
グーグルの買収交渉について、シャフトの元役員の加藤
崇さんは番組の中で次のようにおっしゃっています。
「ノープランとは言わないけれどもすごくざっくりしたプランで突っ込んできます。」
「天才たちをある一つの箱の中に集めて良い環境を作り出せば勝手にイノベーションを起こすという強い信仰みたいなものがあるんですね。」
さて、以下にシュミット会長へのインタビューのポイントをまとめてみました。
(今年10月に発売された共著「私たちの働き方とマネジメント」について)
・企業は人によって運営されていることを忘れてはならない
・グーグルの半数はエンジニア、そのエンジニアの自由な発想を引き出すことがグーグルの成長につながった
・多くの日本企業はトップダウンの階層構造になっており、上司のアイデアに従ってエンジニアは仕事をするが、良い方法ではない
・エンジニアからアイデアを出し、上司はその中から選ぶのが望ましい
・自分のアイデアを聞いてもらい、それを試せる職場の方が良い
(日本の市場や技術の評価について)
・日本のハードウェアは最高でソニーや自動車会社はその良い例だが、日本はソフトウェアではリーダーではない
・今の日本はコンピューターサイエンスやソフトウェアの人材を必要としている
(これから世の中をどのように変えていきたいかについて)
・我々は技術を通してより良い世界にしたい
・再現可能なイノベーションの仕組みと潤沢な資金をグーグルは持っているので(IT以外の分野でも)革新を起こせるだろう
グーグルでは20%というのが一つのキーワードになっています。
エンジニアの自由な発想を引き出すために勤務時間の20%を好きなことに充てていい、そこからプロジェクトが生まれて、そこからグーグルマップにつながったといいます。
これからの時代は、AI(人工知能)とロボットという2つの技術を核に、センサーやクラウドなど周辺技術を伴って大きな社会変革が起きるという確信を私は持っています。
(参照:アイデアよもやま話 No.2822 AI、そしてロボットが日本経済の救世主になる!
)
そうした社会では何よりもアイデア力が企業に求められます。
ですから、企業には従業員が最大限にアイデア力を発揮できるような環境づくりや仕組みが求められます。
そういう観点からすると、グーグルの20%ルールや世界中から集められた様々な分野の優秀な技術者のアイデアの相乗効果による競争力は日本企業にとってとても脅威です。
ですから、日本がこれからも技術立国を目指すならば、国を挙げてアイデア力を高めるための教育、そしてアイデア力のある人が社会的に尊敬されるような環境づくりが求められるのです。
今や単なる記憶力や効率的に仕事を進めるだけの能力だけではAIやロボットに勝てず、人は仕事を奪われてしまう時代に突入しようとしているのです。
そしてこの流れは誰にも止めることは出来ません。
一方、アイデア力に溢れた人たちにとってはAIやロボットといった新たな分野で活躍の場が広がっています。