2014年02月09日
No.2682 ちょっと一休み その423 『宇宙船地球号 その4 化石燃料は二度と手に入れることの出来ないエネルギー!』
昨年11月29日(金)から今年1月24日(金)まで4回にわたって「スペースシップ アースの未来」(NHK BS1テレビ)が放送されました。
そこで、以下のような流れでこれまでご紹介してきました。
 
今回は、「燃料タンクは枯渇する」というテーマの昨年12月6日(金)放送分から、化石燃料は二度と手に入れることの出来ないエネルギーであるということについてご紹介します。
 
これまでお伝えしてきたように、豊かな生活や経済成長を求めて人類は石油や石炭、天然ガスを大量消費してきました。
ところが、これらはいずれも化石燃料、はたしていつまで燃料タンクに化石燃料が残っているのでしょうか。
燃料タンクの未来を知るために、化石燃料誕生の背景に迫ります。
およそ2億1000万年前、世界唯一の大陸だった超大陸は分裂を開始、その結果赤道近くにテチス海と呼ばれる内海が出来ました。
外海に比べて内海は波が立ちにくい状況です。
更に、この時代は気温が現在よりもおよそ10℃高く、海底付近も高温でした。
そのため海流の循環が行われず、海の表面にある酸素が海中に届かないという酸素欠乏状態が長く続きました。
テチス海のプランクトンなどの死骸は酸素の無い環境で分解されないまま海底に堆積、その上を火山灰や砂といった新しい地層が覆い、やがてケロジェンと呼ばれる物質に変化しました。
その後、ケロジェンは地熱と圧力によって何億年という時間をかけて熟成され、石油と天然ガスへと変化していったと考えられています。
テチス海のようないくつもの条件が揃う海はもう地球上には存在しないといいます。
 
化石燃料はもう二度と手に入れることが出来ないエネルギーなのです。
ケンブリッジ・エネルギー研究所のダニエル・ヤーギン博士は、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「化石燃料には必ず限りがあります。」
「かつ、その限界がいつ来るのかということを正確に知る者はいません。」
「今後何が起こるのか、誰にも分からないのです。」
 
ところが、化石燃料は枯渇するというヤーギンさんの危機感とは裏腹に人類のエネルギー消費は膨れあがるばかりです。
以前お伝えしたように、およそ250年前の産業革命当時と比べて現在の世界のエネルギー消費量は50倍にも昇ります。
人口は9倍に増加、世界中に都市が生まれ、人類は欲望のまま大量のエネルギーに支えられた豊かな生活を追い求めています。
ヤーギンさんは止まるところを知らないエネルギー需要の増加に供給が追いつかなくなるといいます。
「現在、世界経済は65兆ドルの規模です。」
「この先、20年という短期間に2倍の130兆ドル、あるいはそれ以上になる可能性があります。」
「その時、地球にはエネルギーが十分にあるのかという危機に直面します。」
「だから、私はあえて将来に警鐘を鳴らしたい。」
「経済成長を支えるだけのエネルギーはこのままでは地球にないかもしれません。」
 
枯渇に向かう燃料タンク、手に入るエネルギーが足りなくなった時、人類はどう動くのか、ヤーギンさんは過去の歴史が語ってくれるといいます。
1992年にピュリツァー賞を受賞した著書「石油の世紀」、この中でヤーギンさんが浮き彫りにした人類共通の行動とは戦争でした。
経済面でのヒトラーの最大の関心事は石油、ロシア戦線におけるヒトラーの最重要点目標はバクーをはじめコーカサス地方の油田を占領することでした。
ヒトラーの新秩序はその国境の内側に資源を抱えて不死身のものとなるはずでした。
この構想は資源を求めて東インド諸島と東南アジアに侵攻した日本のそれと驚くほど似通っていました。
日本もまた国境の内側に資源を確保することを目標としていたのです。
最終目標は東インド諸島の油田でした。
 
ヤーギンさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「私たちの燃料タンクには単に化石燃料が入っているだけでなく雇用を生み出すチャンスがあり、快適な日常生活を送るための品々がつまっています。」
「私たちの文明の基盤になっているのです。」
「その燃料タンクに不具合が起きれば、深刻な経済問題を引き起こし、社会は大混乱に陥る危険をはらんでいます。」
「だから戦争を起こしてでも人類は化石燃料を求め続けてきたのです。」
 
このまま人間が化石燃料を大量に消費し続ければ、これから何百年後かの地球上では、化石燃料はほぼ全て枯渇しており、その時に生存している人類は博物館など限られた場所でしか石油や石炭、天然ガスなどを見ることが出来なくなっているはずです。
でも、No.2544 ちょっと一休み その399 『飲み会で後から来る人のために料理を残しておくのは常識ですが・・・』でもお伝えしたように、高々産業革命以降数百年の間に生きている人たちだけが人類史上とても貴重な化石燃料をほとんど全て消費し尽くしてしまって良いものでしょうか。
繰り返しになりますが、化石燃料は二度と手に入れることの出来ない大変貴重なエネルギーなのです。
ですから、速やかに”脱原発”のみならず”脱化石燃料”に向けて人類は協調して取り組むことが声なき後世を生きる人類から求められているのです。
でも、ヤーギンさんのおっしゃるように、そうした時代の来る前に世界的なエネルギー争奪戦で人類は滅亡しているかもしれません。
そうならないためにも、再生可能エネルギーによる持続可能な社会を一刻も早く実現する必要があるのです。
 
ここで、救いとなるとても単純な要件があります。
それは、アイデアよもやま話 No.2025 私のイメージする究極の発電装置とは・・・でお伝えしたような、原発や化石燃料よりも安くて安全で安定して発電が出来、しかもどこにでも設置出来る再生可能エネルギーによる発電装置を開発することです。
もし、このような夢の発電装置が実用化されれば、間違いなく世界はエネルギーにおける持続可能な社会の実現を短期間で達成出来るのです。
そして、このような発電装置を開発することしか人類には未来がないのです。
ところが、このような要件を満たすような発電装置の開発に世界の主要研究機関のいずれもがチャレンジしていないように私には見受けられるのがとても残念です。

 
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