2014年02月02日
No.2676 ちょっと一休み その422 『宇宙船地球号 その3 ”破滅の馬”と”希望の馬”!』
昨年11月29日(金)から今年1月24日(金)まで4回にわたって「スペースシップ アースの未来」(NHK BS1テレビ)が放送されました。
 
昨年11月29日(金)放送の「スペースシップ アースの未来」(NHK BS1テレビ)は地球が一つの運命共同体であるというテーマでとても興味深く観ました。
今回は宇宙船地球号をめぐる”破滅の馬”と”希望の馬”についてご紹介します。
 
宇宙船地球号は間もなく限界を迎えると唱える研究者がいます。
アメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校のジャレド・ダイアモンド教授です。
ダイアモンドさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「今の世界は2頭の馬が競走をしていることに例えられます。」
「1頭は過剰消費を続けて私たちを滅ぼしかねない”破滅の馬”です。」
「もう1頭は状況を見極め、持続可能な社会を目指す”希望の馬”です。」
「この2頭は互角の戦いを続けています。」
「しかも、ただ走っているだけでなく、どちらの馬もどんどんスピードを増しているのです。」
「今はまだどちらの馬が勝つのかはっきりしていませんが、勝負が決まるのはそれほど遠くない未来です。」
「”破滅の馬”が勝てば、地球は住むに値しない場所となります。」
「”希望の馬”が勝てば、持続可能な社会を取り戻すことになり、次世代もこの地球で暮らしていくことが出来るのです。」
「その時を是非見てみたいものです。」
 
また、ダイヤモンドさんは過去の歴史の中で、実際に文明の崩壊を招いてしまった例を挙げています。
アメリカのニューメキシコ州にあるチャコ渓谷、ここで7世紀から500年以上続いた先住民、アナサジ族の文明です。
高い灌漑技術によって農業生産力を上げたアナサジ族の村は都市化によって人口5000人に膨れあがり、最盛期には当時の北米有数の都市に発展しました。
都市化したことにより食料の大量消費を招き、周囲100kmにあった森を次々と伐採、畑に作り替え増え続ける食料需要を賄いました。
その陰で進行していたのが土壌の流出です。
木を伐採したことで、土の保水力が低下し、畑の生産力が落ちていきました。
そこへ襲ったのが干ばつです。
全く食料が作れなくなり、500年続いたアナサジ族の文明はたった2年で崩壊してしまいした。
都市化と大量消費による環境破壊によるものです。
 
モアイ像で知られる南太平洋のイースター島や中米のマヤ文明など多くの文明が同じ原因で崩壊してきたとダイヤモンドさんは言います。
ダイアモンドさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「過去に滅亡した文明を見てみると、社会が繁栄を極めた時にこそ急速に崩壊に向かっていることが分かります。」
「当時の人々は何もかもが順調だと思っているので未来への警鐘を鳴らすような兆候に気付かないのです。」
「仮に社会が何をすべきか明白な場合であっても、利害が対立する場合があります。」
「目先のことで利益を得ている人たちは、往々にして社会のためになることをしようとする人たちの邪魔をするのです。」
「そのことが社会の正しい選択を阻み、文明を滅亡させる大きな要因となっているのです。」
 
「私たちが謳歌している繁栄は預金口座にある資産を食いつぶすようなものだ。」
「引き出した預金を稼いだお金と勘違いしてはならない。」
「既に持続不可能な道を歩んでいる私たちがこのまま安穏に暮らしていけるはずがないのだから。」
 
まさに、”破滅の馬”と”希望の馬”との壮絶な戦いです。
今も短期的な視点を重視する経済成長優先派と中長期的な視点を重視する持続可能な社会優先派による戦いが続いています。
過去の歴史が繰り返されることのないように、是非”希望の馬”が勝利する結果となって欲しいと思います。
しかも現在は資源だけでなく、核兵器など大規模な破壊兵器の存在も人類のみならず地球の存続を危うくさせています。
 
宇宙船から映し出された写真を見ると神秘的でとても美しく愛おしい星、宇宙船地球号の住民として世界中のより多くの人たちが地球環境に迷惑をかけないという自覚を持てば、人類のみならず他の沢山の種類の生物をも生存し続けることが出来るのです。
私たち人類、そして同じ地球上で暮らしている多くの生物は運命共同体なのです。

 
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