2024年04月19日
アイデアよもやま話 No.5873 まだ尾を引いている”政治とカネ”問題!
これまで“政治とカネ”問題については、アイデアよもやま話 No.5860 ”政治とカネ”問題 その1 裏金問題で明らかになった”疑惑の方程式”!アイデアよもやま話 No.5861 ”政治とカネ”問題 その2 裏金は何のため?アイデアよもやま話 No.5870 “裏金”問題解決のカギはデジタル化!?などでお伝えしてきました。
そうした中、4月13日(土)放送の「報道特集」(TBSテレビ)で、まだ尾を引いている”政治とカネ”問題について取り上げていたので、内容の一部をご紹介します。
なお、日付は全て番組放送時のものです。

4月4日、自民党は裏金事件を巡って、関係議員39人に対する処分を決定した。
安倍派の幹部だった塩谷氏と世耕氏には、党の処分で2番目に重い離党勧告が下った一方、萩生田氏には役職停止という軽い処分に止まるなど、幹部の中でも明暗が分かれた。(こちらを参照)
また、岸田派を巡っては、元会計責任者が有罪となったものの、岸田総理自身への処分は見送られた。(こちらを参照)
この件について、岸田総理は次のようにおっしゃっています。
「最終的には、国民の皆さん、そして党員の皆さんにご判断をいただく立場にあると考えています。」

こうした対応に党内からは批判が噴出している。
閣僚経験者は次のようにおっしゃっています。
「国民感情からすれば、自民党のトップである総裁が何も責任を取らなかったという事実は分かり易くて響くところがあるだろう。」

処分された議員の一人、下村博文元文科大臣が地元でのお詫び行脚を続けている。
下村議員は安倍派の幹部を務め、476万円の不記載があり、1年間の党員資格処分を受けた。
3月に行われた政治倫理審査会(政倫審)では、下村氏が裏金問題への森元総理の関与について話す可能性があると見られていたが、言及はなかった。
ところが、森元総理について下村氏が語ったという音声データがある。
「今回の一連の中で少なくとも2005年から1999年、森会長の時にそういうスキームを作ってやっていたんだなということは今、そういうふうには認識しています。」

派閥の裏金づくりが森元総理が会長だった時に行なわれていたという認識を語る内容だ。
この音声データは政倫審の1週間後、下村氏の支援者向けの会合(3月25日)で録音されたものだという。
録音したのは、取材のため会合に参加していたフリージャーナリストの深月ユリアさん。
会合が開かれたという場所は下村氏の地盤、東京都板橋区の事務所だ。
深月さんは次のようにおっしゃっています。
「驚きましたね。」
「政倫審の下村議員とは全く印象が違っていて、とても饒舌にお話をされていた。」

音声データには廃止されるはずだったキックバックが復活した経緯も録音されていた。
「(政倫審で野党議員に)「5人衆のバックに森さんがいて、そういうかたちで復活したんじゃないの?」ということを言われました。」
「多分その通りでしょう。」
「でも、その通りでしょうけど、私がそこにいたわけじゃないから、もし国会で「そのとおりでしょう」みたいなことを言ったとしたら、下村が、森会長の時に、この違法性のある派閥の還付を認めたということで、もう、それで大騒ぎになりますから。」

更に、こうした発言を政倫審でしなかった理由について、「野党に良い材料を与えるようなもの」、「検察に話したことと違うことを話せば、もう一度聴取される」とも述べていた。

会合が終わった後、深月さんは下村氏に取材を依頼したが、「時間がない」と断られたと話す。
そして、次のようにおっしゃっています。
「(実際に政倫審で下村氏が知ってることを言っていなかったことについて、)誠意がないなと私は思っております。」
「結局は身の保身を通したということだと思うんですが、これは政治家として本当にあるべき姿なのかなと私は疑問に思いました。」

JNN(ジャパン・ニュース・ネットワーク TBSテレビをキー局とする、日本の民放テレビ局のニュースネットワーク)では、下村氏の事務所に音声データの発言が事実か確認したが、回答はなかった。
一昨日(4月11日)、下村氏に直接取材すると、ノーコメントでした。

岸田総理自身にも解明されていない疑惑がある。
一昨年、任意団体「祝う会」が主催したとして開かれた「内閣総理大臣就任を祝う会」。
政治家は政治資金パーティを開催した場合、政治団体などの収入として「政治資金収支報告書」に記載しなければならない。
しかし、「祝う会」は任意団体であるため、収入として記載されていなかった。

だが、「祝う会」の代表と岸田総理の後援会長が同一人物であるため、実態は政治団体の収入だったのではないかという疑惑が持ち上がっているのだ。
先月(3月)、後援会長が報道特集の取材に応じた。(3月23日放送)
「(「祝う会」の実態について、)実態はないよ。」
「ない、言ってみれば。」
「変な話、全部岸田事務所でやったと言えば、やったよね。」
「(岸田さんの事務所の方に口座からお金が全部行ってたのかという問いに対して、)そうですよね、それは祝い金としてね、祝儀として。」
「(収入は)1万円会費だったけど、900万円弱だったと思うよ。」
「収支報告書をこの間見せてもらった。」
「(どこからかという問いに対して、)岸田事務所から。」

放送の翌週、この証言について、国会で問われた岸田総理は「パーティは任意団体が主催した」と答弁した。
これに対する、野党の議員、立憲民主党の牧山ひろえ参院議員と岸田総理とのやり取りは以下の通りです。
牧山議員:
「総理は、ご自分の後援会長は総理と矛盾する嘘をついた。」
「わざわざテレビに出てきて、嘘をついているとおっしゃるんですか?」

岸田総理:
「発言の真意については、私の後援会長でありますので、連絡を取って確認をしたいと思います。」

3日後、後援会長に確認したか問われると、岸田総理は次のようにおっしゃっています。
「確認をいたしました。」
「私の事務所として、手伝いをさせていただきましたが、主催したのはあくまでも政財界の任意団体であると説明させていただいています。」

食い違う岸田総理の答弁と後援会長の証言、今週、あらためて岸田総理の後援会長を取材した。
「(岸田総理の方から確認の連絡はあったかという問いに対して、)いや何もない。」
「(ご自分の前の発言について、)何もない。」
「(総理は、この前、国会で確認されたとおっしゃっていたが、)それは、その、えーと、その会は手伝ってもらったという意味での確認はあったよ。」
「だから、えーと、あのー、運営にしろ、手伝ってもらった。」
「(どういった内容で確認されたのかという問いに対して、)ごめんじゃ、申し訳ない。」

「祝う会」のパーティについては、2月に神戸学院大学の上脇博之教授が、政治資金規正法違反に当たるとして、岸田総理や後援会長らを刑事告発している。
更に、来週、広島市在住の男性らも刑事告発する方針だ。
「岸田首相を刑事告発する会」の山根岩男さんは次のようにおっしゃっています。
「地元の選挙区、地元のところから、やっぱり声を上げるっていうのはね、上げにくいけれども、そこをやらんと正すことは出来んというふうに思ってるんです。」
「おかしいと思ったところで、やっぱり声を上げていく。」
「それで、一つずつ正していくというか、その積み重ねというのが大切ではないかなっていうふうに思いますけど。」

番組キャスターの山本恵里迦さんは次のようにおっしゃっています。
「訪米で溌溂とスピーチをする岸田総理の姿を見て、国内の裏金問題の対応はどうなっているのと疑問に思った方も多いのではないでしょうか。」
「私が今回取材をした下村議員が森元総理について発言したとされる会合ですけども、もし、そういった発言があったとするならば、国会で発言する機会があったにもかかわらず、ほとんど言及されなかったことがとても残念に感じてしまいますね。」
「裏金に係わった議員への処分だけが先行していて、真相解明が全く進まない。」
「これこそが政治への不信感につながっているのではないかと感じてしまいます。」

また、番組キャスターの日下部正樹さんは次のようにおっしゃっています。
「ルールを作る国会議員がルールを守れない。」
「お話になりませんよね。」
「ただ、もっと気になるのがね、政治の世界から自浄能力が失われているんじゃないか。」
「そんなことを感じるんですね。」
「例えば、ロッキード事件でもリクルート事件でも、自民党内にはクリーンなイメージの人、三木武夫さんとか、伊藤正義さんを担ぎ上げる空気が起きたわけです。」
「一部の若手は自民党を飛び出して、新自由クラブとか日本新党を作ったんですよね。」
「結果的にうまくいったかどうかは別として、現状を何とかしようという政治家の想いが伝わってきました。」
「今はどうでしょう。」
「責任を人に押し付けて、後は嵐が過ぎ去るのをただ待つだけ。」
「こういったイメージですよね。」

同じく、番組キャスターの村瀬健介さんは次のようにおっしゃっています。
「私は島根取材したんですけども、驚いたのは、街中に岸田総理の顔を使ったポスターがほとんど見当たらないことなんですね。」
「私が唯一見かけたのは松江市内の自民党支部の建物の駐車場に3枚。」
「それも半分クルマに隠れるようなかたちで貼られていたくらいなんですね。」
「よく総理が求心力を失っていると言われますけども、島根に行って求心力を失うということがどういうことかって分かった気がします。」
「この補欠選挙は有権者の意志を示す重要な選挙です。」
「是非、投票に行っていただきたいと思います。」

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

番組の内容を以下にまとめてみました。
・4月4日、自民党は裏金事件を巡って、関係議員39人に対する処分を決定した。
・安倍派の幹部だった塩谷氏と世耕氏には、党の処分で2番目に重い離党勧告が下った一方、萩生田氏には役職停止という軽い処分に止まるなど、幹部の中でも明暗が分かれた。
・岸田派を巡っては、元会計責任者が有罪となったものの、岸田総理自身への処分は見送られた。
・こうした対応に党内からは批判が噴出している。
・処分された議員の一人、下村博文元文科大臣は、3月に行われた政倫審では、下村氏が裏金問題への森元総理の関与について話す可能性があると見られていたが、言及はなかった。
・ところが、森元総理について下村氏が語ったという音声データがある。
 -派閥の裏金づくりが森元総理が会長だった時に行なわれていたという認識を語る内容だ。
 -この音声データは政倫審の1週間後、下村氏の支援者向けの会合(3月25日)で録音されたものだという。
 -音声データには廃止されるはずだったキックバックが復活した経緯も録音されていた。
・岸田総理自身にも解明されていない疑惑がある。
・一昨年、任意団体「祝う会」が主催したとして開かれた「内閣総理大臣就任を祝う会」。
 -政治家は政治資金パーティを開催した場合、政治団体などの収入として「政治資金収支報告書」に記載しなければならない。
 -しかし、「祝う会」は任意団体であるため、収入として記載されていなかった。
 -だが、「祝う会」の代表と岸田総理の後援会長が同一人物であるため、実態は政治団体の収入だったのではないかという疑惑が持ち上がっているのだ。
・「祝う会」のパーティについては、2月に神戸学院大学の上脇博之教授が、政治資金規正法違反に当たるとして、岸田総理や後援会長らを刑事告発している。
・更に、来週、広島市在住の男性らも刑事告発する方針だ。

こうして見てくると、森元総理、あるいは岸田総理を巡る疑惑は決着が付いていない状態です。
しかし、それでも岸田総理は今回の“政治とカネ”問題の幕引きを図ろうとしているように見えます。
こうした状態では、多くの国民も番組キャスターと同じような思いを持ったままで、自民党に対する不信感はぬぐえないままとなってしまいます。

問題が起きた場合、重要であればあるほど、原因の徹底究明が求められます。
そして、根本原因が明らかにされなければ、再発防止策も的外れなものとなってしまいます。
更に、日下部さんが指摘されているように、“ルールを作る国会議員がルールを守れない”状況は政治家として、あってはならないことです。
本来であれば、ルールを作る立場の政治家は率先してルールを守るべき立場なのです。
ルールを作る立場の政治家が国民にはルールを守ることを要請し、自らは守らないということは政治のあり方そのものを破壊する行為と言えます。
また、今回の“政治とカネ”問題に際し、特段、どの民主党の議員、あるいはグループからも“今の民主党をぶっ壊し、生まれ変わらす”といったような機運が起きていないことは、今の民主党の自浄作用のなさを示しており、とても残念に思います。

ということで、岸田総理を始め、特に自民党の国会議員の方々は今回の“政治とカネ”問題で大いに反省し、遅ればせながらでも本来の問題への対処に基づき、きちんとした幕引きをしていただきたいと願います。

さて、“政治とカネ”問題を巡っては、違法性の観点からの再発防止策に焦点が当たっているように見えます。
しかし、本質的な解決策は、アイデアよもやま話 No.5861 ”政治とカネ”問題 その2 裏金は何のため?でも触れたように、裏金を必要としなくても政治家が資金的に安心して政治活動に邁進出来るような仕組みを構築することです。
また、こうした仕組みにより、政治活動資金が無くても、誰もが政治家を目指すことが出来るようになり、国民からの政治に対する信頼も取り戻すことが出来ると期待出来るのです。

 
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