2023年04月19日
アイデアよもやま話 No.5559 オイルマネーが日本のベンチャー企業のアンモニア技術で提携!
1月16日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でオイルマネーと日本のベンチャー企業とのアンモニア技術提携について取り上げていたのでご紹介します。

“脱炭素”を巡って新たな動きがありました。
燃やしてもCO2を出さないアンモニアの独自の生産技術を持つ日本のスタートアップが中東の大手石油会社と先ほど提携しました。

UAE、アラブ首長国連邦で今日(1月16日)、日本のスタートアップ、つばめBHB株式会社とアブタビ国営石油会社がアンモニアの開発を見据えた共同調査契約を結びました。
つばめBHBは通常、高温高圧下でしか生産出来ないアンモニアを独自の触媒技術で低温低圧下で生産出来るとし、生産コストを大幅に下げることが出来るとしています。
日本の原油輸入の3分の1を占めるUAEは燃やしてもCO2を出さないアンモニアに注目していて、今回の提携を通じ、「クリーンエネルギー提供国」への移行を目指しています。
つばめBHBの渡邊昌宏CEOは次のようにおっしゃっています。
「印象的なのは(UAE側は)「早く、大量につくりたいんだ」というフレーズでしたね。」
「燃料アンモニアをいかに早く、安くつくっていくかといったところを目指していこうと。」

一方、UAEを訪問中の西村経済産業大臣は、UAEのジャベル産業・先端技術大臣と会談しました。
脱炭素技術を中心とした新たな「政府間の枠組み」を立ち上げ、“脱炭素”を目指すオイルマネーの取り込みにも力を入れる方針です。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

これまで何度も繰り返しお伝えしてきたように、今やSDGs(参照:No.4578 ちょっと一休み その710 『日本も国家としてSDGsに真剣に取り組むべき!』)の達成は世界各国共通のゴールとなっています。
そして、アンモニアは現在、燃やしてもCO2を出さない“脱炭素”のエネルギー源として注目を集めています。

そうした中、UAEもこうした流れの中で“脱炭素”に向けて積極的に取り組み始め、日本のスタートアップ、つばめBHBの独自のアンモニア製造技術が目に留まったというわけです。
その具体的なアンモニア生産プロセスはこちらを参照下さい。
要するに太陽光などの再生可能エネルギーにより水を電気分解し、そこで得られた水素から低温低圧下でアンモニアを合成するというのです。
そして、アンモニアは電力源やアミノ酸、化学製品、あるいは肥料として使われるのです。

また、アイデアよもやま話 No.5483 アジア脱炭素を巡る「ロードマップ合戦」!でもお伝えしたよう三菱重工は液体アンモニアをエネルギーに変える技術を持っています。
ですから、太陽光などの自然エネルギー発電とつばめBHB、および三菱重工の技術を組み合わせれば、“脱炭素”での再生可能エネルギー、すなわち電力が入手出来るのです。
そして、とても重要なことは、こうしたプラントは化石燃料は不要なので、世界中どこでも設立出来るということです。
ですから、全ての国がエネルギーの自給自足を実現出来るのです。

なお、水素の製造に関しては太陽光などの自然エネルギーを使用しなくてもいい代替案があります。
それはアイデアよもやま話 No.4991 CO2ゼロ水素発電所が今年度内に国内初の商業運転を開始!でもお伝えしたように水と触媒だけで水素を製造する技術が既に実用化されているのです。
更に、この水素の製造技術との組み合わせて、発電装置も既に実用化されています。

ですから、こうして製造された水素とアンモニアを用途に応じて適用すれば、再生可能なエネルギー、あるいは先ほどのアミノ酸などとしても使用することが出来るのです。
更にアンモニアは航空機燃料としての使用可能性も高いようです。

こうした一連のプロセスが実現されれば、UAEは化石燃料の提供国から再生可能エネルギーの提供国へと生まれ変わることが出来るのです。
また、つばめBHBと三菱重工のような企業も世界的に膨大な潜在需要を手に入れることが出来るのです。
更に化石燃料の輸出で資金を得て、その資金力でウクライナ侵攻を進めているロシアのような横暴や化石燃料を巡る争いも無くすことが出来るようになるのです。

ということで、是非、西村大臣には国として、こうした動きに最大限のバックアップをしていただきたいと思います。

なお、つばめBHBの公式ホームページには以下の記述があります。

当社は、東京工業大学の細野秀雄栄誉教授グループが開発したエレクトライド触媒技術を基に設立された大学発ベンチャー企業です。
触媒技術および、その触媒に合わせたプラントを設計することにより、アンモニア生産の「一極集中&大量生産」の常識を打ち破る技術を確立し、環境負荷の低い分散型生産を広め、社会へ貢献します。

ということで、つばめBHBのような大学発ベンチャー企業が今後とも生まれてきて活躍していただきたいと思います。

 
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