2021年08月01日
No.5022 ちょっと一休み その785 『立花隆さんによる今も未解決の問題提起!』
6月23日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で立花隆さんによる今も未解決の問題提起について取り上げていたのでご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

戦後のジャーナリズムに大きな足跡を残した評論家の立花隆さんが4月に亡くなっていることが分かりました。
80歳でした。
1974年に田中角栄元総理を巡る資金の流れや蓄財について月刊誌で発表し、2ヵ月後の内閣総辞職の引き金になるなど、一躍名を馳せました。
立花さんには、宇宙や脳死、歴史など多彩な著作があり、“知の巨人”とも評されていました。
解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田洋一さんは次のようにおっしゃっています。
「(今日の日経電子版が2003年に立花さんにインタビューした記事をあらためてまとめていますが、)そのインタビュー記事で注目したいのが立花さんは自然科学、サイエンスに非常に造詣が深かった。」
「中で、当時もいくつかの技術について語ってるんですね。」
「例えばリニアモーターカーですよね。」
「スパコン「地球シミュレータ」、そして素粒子の観測装置「スーパーカミオカンデ」などなんですけども、非常に当時の最先端技術について、あれをもっと伸ばしておけばよかったと、そういう目で振り返れるようなことを言っています。」
「(20年前から着目されて、そしてでもやっぱり生かされてないということで、やっぱり日本はもっともっと進化していた可能性があったという指摘に対して、)可能性があるわけですね。」
「そこの中での立花さんの問題提起は今に通ずるところがあるんですけども、一つは縦割りの弊害ということは勿論あるんですけども、もう一つ重要なのは最先端技術ってうまくいくこともあるし、失敗することもあるんですけども、その記事の表題に出ていますよね。」
「つまり、「ムダ弾を撃てるのか」っていう問題提起をしているわけですよね。」
「つまり、失敗に対してもそれをしたうえで最先端を推せるかどうかというのを問うているわけです。」
「(今の国産ワクチンの議論に似ているのではという指摘に対して、)全くそうですし、更に骨太の方針ということを言って、中でも最先端技術を言っているわけですから、この立花さんの記事というのは一つ問題提起になると思います。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組によれば、立花隆さんによる今も未解決の問題提起として、以下の2つが挙げられています。
・縦割りの弊害
・失敗を恐れないチャレンジ精神

他にもいろいろと日本で解決すべき問題はあると思いますが、確かに上記の2つは今も解決すべき問題だと思います。
中でも、世界情勢が目まぐるしく変化したり、技術革新のスピードが速い状況においてはどのように対応してもリスクを伴います。
世界に先駆けてチャレンジすれば失敗する恐れがあり、他国で成功した事例が出てきてから取り組むのでは競争に負けてしまうリスクがあります。

私が思うのは、戦後の日本はがむしゃらに経済復興に向けて取り組み、驚異的なスピードで経済成長を遂げました。
この時代は国も企業もチャンレンジの連続だったと思います。
ところが、高度経済成長を果たし、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われていた頃をピークに徐々にチャレンジ精神が失われてきて今に至っていると思うのです。(参照:No.4968 ちょっと一休み その776 『世界の株の時価総額ランキング』
こうした現在に至る時代は“失われた30年”とか言われていますが、こうした状況について立花隆さんはとても危惧されていたのだと思います。
勿論、この時代にも断片的にチャレンジ精神が発揮された局面もあったと思いますが、総じて無かったということです。

ちなみに、つい最近、政府のチャレンジ精神の欠如を感じた事例があります。
以前、コロナ禍への日本の対応の遅れについてはアイデアよもやま話 No.4984 コロナ禍で経済回復から取り残されつつある日本!でもお伝えしましたが、政府は7月6日、2021年度の国内総生産(GDP)の成長率見通しを物価変動の影響を除いた実質では、1月時点で示した前年度比4.0%増から3.7%増に下方修正したと報じられています。
コロナ感染の再拡大で個人消費が想定より落ち込んだことを反映させたのです。
一方、他の先進国は軒並み上方修正しています。
日本が他の先進国に比べてワクチン接種への取り組みが遅かったのがその最大要因と見られています。
以前お伝えしたように、新型コロナウイルスのパンデミックが発生していた時期に、政府がオリンピック開催国としての立場を最大限に利用して大量のワクチンを確保して速やかに接種を始めていれば、当初の予定通り東京オリンピック・パラリンピックを開催出来ていたかもしれませんし、少なくとも今年7月に延期された東京オリンピック・パラリンピックは無観客開催には至らなかったと思います。
更に、今頃経済の回復も既に一定の効果をもたらしており、他の先進国同様にGDPの上下方修正につながっていたと思われます。

ではこうした状況を打開するためにはどのような対策が最も必要でしょうか。
それは国のリーダー、すなわち総理大臣のリーダーシップだと思います。
勿論、各企業や研究機関などの開発意欲や教育も重要ですが、何よりも総理大臣のリーダーシップが重要なのです。
というのは、総理大臣が国のあるべき姿をイメージしてその方向性を決定出来る可能性を秘めているからです。
その具体的な方針として大きく以下の2つあると思います。
・米中の覇権争いの枠を超えて、独自の世界平和維持戦略を構築する
・SDGsに則った政策を全ての産業分野で最先端の技術を駆使して展開し、世界をリードする(参照:No.4578 ちょっと一休み その710 『日本も国家としてSDGsに真剣に取り組むべき!』

勿論、総理大臣の資質として、こうした方針を国民の心に響くような言葉で発信し、国民を鼓舞し、協力を仰ぐことも求められます。

なお、もう一つの問題である縦割りの弊害については、上記の方針を具体的に進めるうえで総理大臣の強いリーダーシップで効率性を追求すれば、自ずと解決出来るはずです。

 
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