2021年05月30日
No.4968 ちょっと一休み その776 『世界の株の時価総額ランキング』
2月16日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で世界の株の時価総額ランキングについて取り上げていたのでご紹介します。
なお、日付けは全て番組放送時のものです。

1989年8月の世界の株の時価総額ランキングでは、上位10社のうち6社が日本企業でした。(添付参照)
こうした状況について、解説キャスターで日経ビジネスの編集委員、山川龍雄さんは次のようにおっしゃっています。
「ほとんど金融機関ですね。」
「実は私は当時就職活動をしていた年代なんですが、給料もボーナスも良かったので、金融機関に行かない学生は損だという風潮がありました。」
「ただ、それから10年以内に破綻したり、吸収されたりした企業が多かったんでね。」

一方、今年1月のランキングを見てみますと、上位10社の中に日本企業の名前はありません。
日本企業のトップは32位に入ったトヨタ自動車でした。
この30年間に日本企業の存在感がここまで小さくなってしまった理由について、山川さんは次のようにおっしゃっています。
「一つは、日本は新陳代謝が進まなかったんですね。」
「(今年1月のランキングの)上位10社ですが、若い会社が比較的多いんですよ。」
「設立年が赤色で示されたところは(設立から)まだ30年経ってないです。」
「それに比べると、日本企業からはニュースターというのが中々生まれなかったということと、ざっと見るとオーナー系の会社が多いです。」
「トヨタも今、創業家が引っ張っていますけどもね。」
「それに対して、2期4年で順送りで年功序列で社長が代わっていくような会社というのは徐々に存在感を失っていってますね。」
「(いかに長期的な視点を持てるかというのが重要ではという指摘に対して、)おっしゃる通りです。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 No.4962 ちょっと一休み その775 『日経平均3万円超えの背景と日本株の時価総額ランキング』でもお伝えしたように、日本がバブル経済絶頂期の頃、山手線の中の土地全ての値段とアメリカ全土の土地の値段が一緒だったといいます。
そして、当時「ジャパン・アズ・ナンバーワン」(社会学者のエズラ・ヴォーゲルによる著書)が大変話題になりました。
この著書では、日本経済の高度経済成長の要因を分析し、日本的経営が高く評価されていました。
しかし、やがて日本全体が高度経済成長を成し遂げたことで、“峠の坂道を登り切った”という達成感を抱き、バブル崩壊へと続いたのです。

なお、ウィキペディアには、以下の記述があります。

バブル経済崩壊後の1990年代初頭からの「失われた20年」を経て、高度経済成長期(好景気時の経済成長率が約10%以上)や安定成長期(好景気時の経済成長率が約5%以上)の頃のような経済成長率・景気拡大(完全なデフレ脱却)が起こらない場合、「失われた30年」になってしまう可能性もあるという声もあります。

新型コロナウイルスの感染拡大、および政府によるその対応策の不備も影響して、現状では残念ながら「失われた30年」は実現してしまっています。
更に、今後いつ安定成長期を迎えることが出来るのかは見えていません。

では、どのようにしたら、日本経済がかつてのような活況を呈することが出来るのでしょうか。
ここで考慮すべきは、以下のような経済を取り巻く環境の大きな変化です。
・SDGs指向の世界的な定着(参照:No.4944 ちょっと一休み その772 『渋沢栄一はSDGsを先取りしていた!?』
・DX(デジタルトランスフォーメーション)の世界的な流れ

そして、こうした時代の流れ中で、とても需要なことは国のリーダー、すなわち総理大臣が、国民の多くの心をしっかりと捉えるような、国が目指すべきイメージを明確に、分かり易い言葉で国民に向けて発信することです。
参考になると思うのは、かつて池田内閣の時代に池田勇人総理は“所得倍増計画”という国の目標を掲げて、国民に訴えかけました。
また、田中内閣の時代には、田中角栄総理も同様に“日本列島改造論”をぶち上げました。
しかもこうした掛け声にはきちんとしたそれなりの根拠があったのです。
しかし、こうした政策の裏では、公害病や環境破壊などの副作用など問題が発生しました。

ということで、現政権にもしっかりした根拠のもとに、これから日本国民が全力投球してもいいような“ミライの日本のイメージ”を自分の言葉で、しかも国民に分かり易い表現で提示して、活力のある国づくりに向けて取り組めるようにリーダーシップを発揮していただきたいと思います。
日本の企業の潜在能力は他国から見て侮れないほどの潜在的なパワーがあります。
せっかくのこうした素晴らしい企業のパワーを発揮出来ないような政策では、一流の国のリーダーとして失格だと思うのです。

添付)

世界の株の時価総額ランキング


 
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