2021年06月17日
アイデアよもやま話 No.4984 コロナ禍で経済回復から取り残されつつある日本!
3月9日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でコロナ禍で経済回復から取り残されつつある日本について取り上げていたのでご紹介します。
なお日付は全て番組放送時のものです。

OECD(経済協力開発機構)は先ほど経済見通しを発表し、今年の世界の実質経済成長率を昨年12月の予測より1.4ポイント上方修正し、5.6%としました。
主要国の多くではワクチンの普及が景気回復のペースを早めたと予測が上方修正され、世界経済は今年半ばまでに新型コロナウイルス前の水準に回復すると分析しました。
国別の実質経済成長率は日本が2.7%、アメリカは6.5%、巨額の財政出動を決めたアメリカは6.5%とした一方、中国は財政政策を引き締める可能性があるとして、0.2ポイント下方修正して7.8%に引き下げました。
またワクチン接種が遅れれば現在の経済対策も効果が弱くなるとして、途上国を含め、接種が進むよう各国の協力を求めました。
OECDのチーフエコノミスト、ローレン・ブーンさんは次のようにおっしゃっています。
「ワクチンの接種ペースが遅く、経済回復は確固たるものになっていない。」
「もっと早く、より良く進めなければならない。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

なお、5月10日(月)付けネット記事(こちらを参照)では日本の状況について報じているのでその一部をご紹介します。

・日本の新型コロナウイルスのワクチン接種が国際的に見ても遅れている。世界196カ国中129位にとどまっている。先進国の集まりである経済協力開発機構(OECD)加盟37カ国の中では最下位に陥っている。
・世界のワクチン接種状況を追跡するブルームバーグの「ワクチン・トラッカー」の5月10日時点のデータによると、日本で少なくとも1回の接種を受けた人の割合は2.4%にとどまっている。日本より接種開始が遅かった韓国は7.1%で世界98位となり、日本は水をあけられてきている。日本は、国軍による市民への武力弾圧が続くミャンマーの3.2%よりも低い。

以上、ネット記事の一部をご紹介してきました。

では、なぜ日本のワクチン接種が国際的に見て遅れているのかですが、4月30日(金)付けネット記事(こちらを参照)で取り上げていたのでその一部をご紹介します。
なお、日付は全て記事掲載時のものです。

・欧州連合(EU)は4月26日、ファイザーやモデルナの製品を含め、EU域内の施設で製造されたコロナワクチン約5230万回分の日本向け輸出が承認済みだと明らかにした。EUからワクチンが出荷された43カ国の中で最も多い量だ。
・国内接種の遅れについて、日本の政府当局者が供給上のボトルネックが理由の一つだと指摘してきただけに、日本向けワクチンが大量に存在するとの事実は国民をいら立たせている。
・ブルームバーグのワクチントラッカーによれば、接種を受けた日本国民はわずか1.3%と経済協力開発機構(OECD)加盟国37カ国で最も低い。これに対し、米国は37%、英国は約36%だ。
・EU承認を巡る情報がソーシャルメディア上で取り上げられる中、河野太郎行政改革担当相(ワクチン担当相)は数字には誤りがあるとツイッターで指摘。同相のオフィスは30日に電子メールで、日本に届いているファイザー製ワクチンは約2800万回分だと説明した。加藤勝信官房長官は同日、モデルナ製ワクチンがこの日到着したと明らかにしたが、量については言及しなかった。

以上、ネット記事の一部をご紹介してきました。

要するに、4月26日時点でEU域内の施設で製造されたコロナワクチン約5230万回分の日本向け輸出が承認済みで、EUからワクチンが出荷された43カ国の中で最も多い量なのです。
ところが、供給上のボトルネックが理由の一つで、国内接種の遅れが出ているというのです。
こうしたことから、5月10日時点で日本より接種開始が遅かった韓国に水をあけられてきており、更に国軍による市民への武力弾圧が続くミャンマーの3.2%よりも低いといいます。

ここであらためて思うのは、新型コロナウイルス、あるいは変異ウイルスの感染拡大を収束させる唯一の対応策は集団免疫ということです。
そして集団免疫の最も有効な手段がワクチンなのです。

さて、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大当初、日本の感染者数は相対的にみて少なかったこと、またコロナ禍対応の優等生と言われてきた台湾はともにワクチンの接種について相対的に見て積極的に取り組んでいなかったことから変異ウイルスの発生をきっかけに共に感染拡大が起きてしまいました。
要するに日本も台湾も変異ウイルスの感染拡大の脅威、あるいは集団免疫の手段であるワクチンの有効性を甘く見ていたということになります。
まさに“油断大敵”です。

また、ワクチンの接種率と経済への影響との相関関係があることも明らかになりました。
その結果、ワクチン接種の遅れた日本は添付のようにOECDの中で明らかに経済回復の遅れが生じているのです。

実は、新型コロナウイルスの感染拡大当初、かつてパンデミックを起こしたウイルスの感染拡大が今回と同様に第1波、第2波というように複数回大きな感染のピークを迎えていましたが、後の方の波による感染者数が増えていることが気になっていました。
そして今回の変異ウイルスによる感染拡大を目の当たりにして変異ウイルスの感染力の強化がその原因であるということを理解しました。
同時に新型コロナウイルスや変異ウイルスの感染拡大を阻止する対応策としてワクチンの有効性についても理解しました。

ですから、もし日本政府がこうした歴史の教訓から学び、早期にワクチン開発あるいはワクチン接種に向けて積極的に取り組んでいれば、今頃東京オリンピック・パラリンピック開催の可否が話題になっていることはなかったのです。
またOECDの中でも経済回復の“劣等生”になることもなかったのです。
ですから、政府には政府としての役割を十分に果たせなかったことについて大いに反省していただきたいと思います。

さて、今後とも変異ウイルスは次々に発生する可能性を秘めています。
そして既存のワクチンがその変異ウイルスに対抗し続けることが出来るかどうかは分かりません。
ですから、今後も変異ウイルスによる感染拡大を想定したうえで、過去の取り組みの反省をしつつ、コロナ禍対応策を取り続けることが求められるのです。

添付)

OECDの実質経済成長予測


 
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