人工流れ星については、これまで以下のようにお伝えしてきました。
アイデアよもやま話 No.3844 ベンチャー企業の宇宙ロケット開発 ー 人工流れ星!
アイデアよもやま話 No.4091 人工流れ星を用いたエンターテインメントビジネス!
アイデアよもやま話 No.4907 いよいよ人工衛星ビジネスが始動!
そうした中、1月11日(月)放送の「大下容子ワイド!スクランブル」(テレビ朝日)で人工流れ星のその後について取り上げていたのでその一部をご紹介します。
宇宙ベンチャー企業、株式会社ALE(エール)(本社・東京都港区)の岡島礼奈社長(41歳)は直径1cmほどの小さな粒に夢を託しています。
岡島さんは次のようにおっしゃっています。
「(この小さな粒は)人工的に流れ星を作り出して、エンターテインメントとして皆さんに楽しんでもらう。」
未来のエンターテインメントとは世界初の人工流れ星なのです。
独自に開発した流れ星放出装置を人工衛星に積み込み、宇宙空間で粒を放出、大気圏で粒が燃え尽きることで流れ星となるのです。
そんな人工流れ星の特徴について、岡島さんは次のようにおっしゃっています。
「人工流れ星はちょっとゆっくりめに、光っている時間も長い。」
「願い事が3回言えるかもしれない。」
また粒の材質を変えれば、流れ星の色を変えることも出来ます。
更に見て楽しむだけでなく、人工流れ星は環境問題の解決にもつながるかもしれません。
岡島さんは次のようにおっしゃっています。
「我々の人工流れ星の燃え方だったり、そこから得られる、燃える場所の大気データだったりを応用することによって、(大気圏で)宇宙ゴミを安全に燃やす、安全に焼却するっていうことにも役に立てられると考えています。」
今、地球の周りには壊れた人工衛星やその部品など、2万個以上の宇宙ゴミが溢れています。
人工流れ星の燃え方を研究すれば、宇宙ゴミを大気圏で安全に燃やせると、岡島さんの取り組みに期待が寄せられています。
東京大学で天文学を学んだ岡島さんが人工流れ星を思いついたきっかけは2001年にしし座流星群を見たことでした。
岡島さんは次のようにおっしゃっています。
「流星群ってシャワーみたいに一面星が降り注いているみたいな、それを想像して行ったら、ちょっと違ったかなという感じではありましたね。」
人工的にだったらシャワーのような流れ星を作れるのでは、そう考えた岡島さんは2011年にALEを設立、いくつもの大学やJAXAなどの協力を得て人工流れ星の実現を目指してきました。
そして、2019年12月、流れ星放出装置を積んだ人工衛星が遂に宇宙へ、翌年春に予定している世界初の人工流れ星の実現に向け、放出装置のテストを繰り返していました。
ところが、放出装置に不具合が発生し、人工流れ星はあと一歩のところで失敗しました。
この時の状況について、岡島さんは次のようにおっしゃっています。
「結構心臓がバクバクしましたね。」
「資金調達も出来ずに、会社をたたむことを考えましたね。」
2年後の実現を目指し、目下放出装置の改良に取り組んでいます。
岡島さんは次のようにおっしゃっています。
「強力にアップデートされたものが搭載される予定です。」
「星降る町として流れ星を毎週流すとか、船の上からみんなで外で流れ星を見るとか、そういうことが出来るといいなと思っています。」
岡島さんが2年後の実用化を目指す世界初の人工流れ星、流れ星の明るさや流す数にもよりますが、広範囲の方が同時に楽しめるということなのです。
仮に人工流れ星を都心中心に流す場合、この人工流れ星は半径100kmの範囲で見ることが出来るため、千葉県の水戸市や埼玉県前橋市、静岡県熱海の方も同時に楽しめるということです。
また、流星群のように同時に沢山の流れ星を放出することが出来る一方で、一粒ずつ流すことも可能になりそうです。
例えば、記念日やプロポーズなど、個人的な依頼にも応えることが出来るそうです、
そんな岡島さんが思い描く未来図は、「科学を社会につなぎ、宇宙を文化圏にする」ことだといいます。
また、岡島さんは、宇宙を身近なものとして感じて欲しい、関心を持ってもらいたいということもおっしゃっています。
こうした岡島さんの取り組みについて、番組コメンテーターで仏教学者、東北福祉大学学長の千葉公慈さんは次のようにおっしゃっています。
「思えばコレラが流行した江戸時代に徳川吉宗は花火を上げて供養とともに世の中を鼓舞しました。」
「私はそういう意味でもこのコロナ禍にあって、こういう取り組みが、現代人が夜空の星を見上げて新しい価値観を構築していく、壮大な意味として重要な役割があるんだと思っています。」
「現代人はもっと夜空を見なければなりません。」
以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。
東京大学で天文学を学んだ岡島さんが人工流れ星を思いついたきっかけは2001年にしし座流星群を見たことだったといいますが、実は私もこの時、家族で見に出かけていました。
家族で並んで寝そべって夜空を眺めていたのを今でもよく覚えています。
そして、岡島さんのおっしゃるように自然発生の流れ星はあっという間に消えてしまいました。
また、大量の流れ星が一度に見られるということはなく、「次の流れ星はいつ見えるかな」という期待感を持って待っていました。
さて、これまでまさか人工的に流れ星を発生させることが現実になるなど、思いもよりませんでした。
ですから、岡島さんのアイデアはとても斬新でとても魅力に満ちていると思います。
夜空いっぱいに人工流れ星が見える光景を想像しただけでもワクワクしてきます。
ですから、岡島さんのこの発明に触発されて、他にも奇想天外なアイデアがこれから生まれてくるのではないかと期待が膨らみます。
なお、岡島さんたちの開発した人工流れ星は以下の特徴を持っています。
・ちょっとゆっくりめで、光っている時間も長い
・粒の材質を変えれば、流れ星の色を変えることが出来る
・流星群のように同時に沢山の流れ星を放出することが出来る一方で、一粒ずつ流すことも可能になると見込まれる
・広範囲で多くの人たちが同時に楽しめる
・公私を問わず、いろいろなイベントでの余興として、世界的なビジネス展開が期待出来る
・人工流れ星の燃え方や燃える場所の大気データを他の用途に応用出来る
・その一つが大気圏で大量の宇宙ゴミを安全に燃やして焼却することである
勿論、人口流れ星で広範囲で多くの人たちを楽しませることが出来るだけでも素晴らしいですが、更に大気圏で大量の宇宙ゴミを安全に燃やして焼却するという役割も期待出来るということはこれから拡大する宇宙ビジネスによって発生する大量の宇宙ゴミ対策としてもとても貢献出来ると見込まれます。
ということで、岡島さんの発明した人工流れ星はビジネス的な観点から大いに期待出来ます。
一方、この人工流れ星には課題もあります。
それは、雨や曇りなど天候に左右されるということです。
ですから、人工流れ星を実演する前に、人工的に雨を降らして晴天状態にするなどの工夫もいずれ検討されるようになると思います。
さて、岡島さんは、「科学を社会につなぎ、宇宙を文化圏にする」という未来図を思い描いているということですが、まさに人工流れ星は宇宙を文化圏にする先駆者的な存在と言えます。
そして世界中の多くの人たちを“宇宙は身近な存在である”ことを実感させてくれるはずです.
なお、こうした岡島さんの取り組みについて、番組コメンテーターの千葉さんは「コレラが流行した江戸時代に徳川吉宗は花火を上げて供養とともに世の中を鼓舞した」とおっしゃっています。
いまだにコロナ禍で世界中の国々が大変な状況にありますが、コロナ禍が終息した時には世界中で人工流れ星により犠牲者の方々の供養をするとともにコロナ禍から解放されたことを祝うことが出来ればと思います。