これまで3回にわたって、EV用バッテリー(蓄電池)関連についてお伝えしてきました。
そうした中、一方で2月4日(木)付けネットニュース(こちらを参照)で充電池比10倍のエネルギー密度の水素燃料電池について取り上げていたのでその一部をご紹介します。
・独Fraunhofer研究所が、リチウムイオン充電池の10倍のエネルギー密度で水素を蓄えられ、圧力容器も不要という歯磨き粉状の素材「Powerpaste」を開発したと発表しました。
・水素燃料電池車が使う水素は、圧力容器に35MPa(約345気圧)という高圧で圧縮して貯蔵され、使用されます。しかしこのタンクは大柄で重く、電動バイクやスクーターの水素燃料電池に利用するには不都合となります。
・Fraunhoferの研究者らは、この問題を解決するため水素化マグネシウムを使って水素を化学的に保存し、必要なときにすぐに放出可能とする安全な方法を作り上げました。
・マグネシウムの粉末は約350°C、大気圧の5〜6倍のプロセスで水素と結合し、水素化マグネシウムになります。そこにエステルと金属塩を加えれば、カートリッジ型の容器に入れられる、歯磨き粉のようなペーストになります。
・Powerpasteは、温度環境が250℃までの状態で安定して使え、同じ重さのリチウムイオン電池の10倍のエネルギーを蓄えられるとしています。
・ペーストからエネルギーを取り出すには、必要な量のペーストをチャンバーに押し出し、制御した状態で水と反応させ水素を放出させます。そこから先は通常の燃料電池車と同じ。
・なぜここまでのエネルギー密度を取り出せるのかと言えば、最終的にエネルギーに変換される水素のおよそ半分がペーストと反応させるための水からも供給されるから。
以上、記事の一部をご紹介してきました。
現在、日本ではアイデアよもやま話 No.4719 ノーベル化学賞受賞者、吉野彰博士からのメッセージ その2 本来のゴールとは・・・でもお伝えしたように、近い将来EV用次世代バッテリーは全個体電池が主流になると見込まれています。
そして、アイデアよもやま話 No.4738 1000km走るEVが10年後には実用化!?で10年後には全個体電池のエネルギー密度をリチウムイオン電池の7倍に高めるメドをつけたとお伝えしました。
ところが、来年には航続距離1000kmの個体電池が登場するという情報もあります。(参照:アイデアよもやま話 No.4942 早くも来年には航続距離1000kmの個体電池が登場!?)
一方、今回ご紹介した水素燃料電池は、リチウムイオン充電池の10倍のエネルギー密度で水素を蓄えられ、圧力容器も不要というのです。
固体電池と水素燃料電池、そのどちらも共通点は高いエネルギー密度と安全性です。
今回ご紹介した記事を受けて、今後のクルマの動力源は全個体電池と新型水素燃料電池という2つの大きな方向性を持つことが言えます。
ということで、まだまだ全個体電池と水素燃料電池とのし烈な開発競争は続きます。
そして、究極のクルマの動力源はこの2つのどちらになるか今のところ分かりません。
もしかしたら用途に応じて併存する状態が続くかもしれません。