2020年09月03日
アイデアよもやま話 No.4738 1000km走るEVが10年後には実用化!?

前回は日産自動車によるEV(電気自動車)、「リーフ」、および新開発の「アリア」についてお伝えしました。

今回は8月7日(金)付けネットニュース(こちらを参照)を通して、1000km走るEVが10年後には実用化するという未来についてその要旨をご紹介します。

 

・現在のリチウムイオン電池をしのぐ蓄電池(バッテリー)の有力候補に「フルオライドイオン(フッ化物)電池」が名乗りを上げた

・京都大学とトヨタ自動車のチームが原型を試作し、電気をためる性能をリチウムイオン電池の7倍に高めるメドをつけた

・専門家は、リチウムイオン電池の電気をためる性能を示す「エネルギー密度」に理論上の限界を感じ、大幅な性能向上は見込めないと考えている

・京大などがフッ化物イオン電池に目をつけたのは、リチウムイオン電池の限界を超えるエネルギー密度が可能とみられるからである

・さらに今回、イオンが動く隙間をリチウムイオン電池でよく使う液体ではなく、固体の電解質に取り換えた

・このタイプの「全固体電池」は燃えにくく、熱を逃がす工夫を省ける((参照:アイデアよもやま話 No.4252 全固体電池の最新状況 その1 全固体電池の持つ3つの優れたポイント!

・「全固体」と「フッ化物イオン電池」が相乗効果を発揮すれば、1000kmの走行に手が届く見込みである

・リチウムイオン電池だけでも、車載用の世界市場は3年後に6兆円を超えるとの見方がある

・蓄電池の進化は「動力」として快適な走りや環境対応を後押しするだけではなく、街の至る所にあるEVが太陽光発電などの電気を蓄える「蓄電池」となり、再生可能エネルギーを社会全体で使いこなす巨大な蓄電池網を築く

・各国の研究者らは既存のリチウムイオン電池の改良でもしのぎを削っており、リチウムイオン電池材料評価研究センターは2023年4月までに全固体の技術を確立する

・更に先のフッ化物イオン電池への期待は高まるが、実用化は当分先で、今の技術開発のペースだと、2030年以降になるというのが大方の見方である

・今後は、元素の相性を人工知能(AI)を使って予測する「マテリアルズ・インフォマティクス(材料情報科学)」など新たな発想の取り組みが鍵を握る

 

以上、ネット記事の要旨をご紹介してきました。

 

「全固体電池」と「フッ化物イオン電池」が相乗効果を発揮すれば、1000kmの走行に手が届く見込みであるというのはとても嬉しいニュースです。

しかし、実用化までにはこれから10年以上かかる見込みといいます。

ですから、とりあえず2025年を目途とした「全固体電池」の実用化を期待したいと思います。(参照:アイデアよもやま話 No.4253 全固体電池の最新状況 その2 全固体電池開発の3つのブレイクスルー!

 

それにしても、今にして思えば、2011年に購入した日産の初代「リーフ」は失礼ながらいろいろな面で不完全さが目につきました。

特に冬場のエアコンの使用時にはフル充電しても航続距離はぜいぜい80km〜90km程度だったのです。

それに対して2代目「リーフ」ではエアコン使用時でも10%ほど航続距離が短くなる程度まで改善されています。

しかし、初代「リーフ」が市販化された2010年をEV元年とすれば、15年後の2025年にはノーベル化学賞を受賞された吉野彰博士が思い描いているような「全固体電池」搭載のEVが登場し、早ければ20年後の2030年にはひょっとしたらフル充電での航続距離が1000kmほどのEVが登場しているかもしれないのです。

ですから、もしかしたら2025年はEVの本格的な普及元年になり、2030年はEVがガソリン車の販売台数に迫る勢いを見せているかもしれません。

その主な理由は4つあります。

一つ目はフル充電での航続距離がガソリン車と遜色ないくらいまで伸びていることです。

二つ目は急速充電時間の短縮です。

吉野博士は、「全固体電池」の搭載されたEVが誕生するはずの2025年には急速充電時間は現行で30分要しているのが5〜10分程度まで短縮することを目標に掲げているとおっしゃっています。

三つ目は急速充電スタンドの更なる増加です。

EVは一般家庭などどこでも普通充電器を設置すれば充電することが出来ます。

しかし、そうはいうものの外出時にはやはり急速充電スタンドでの充電が求められます。

ですから、今後のEVの普及の度合いを見ながら、急速充電スタンドは更に設置されていくと期待出来ます。

ETCカードの普及と高速道路の料金所のETC窓口の増加が比例関係にあるようにです。

そして四つ目はバッテリー価格の低下が進んでいることです。

初代「リーフ」が登場した頃は、EVの製造コストの半分ほどはバッテリーが占めると言われていました。

例えば初代「リーフ」と2代目「リーフ」とでは価格はほぼ同額ですが、バッテリー容量は24kwhから40kwhへと2倍近くに増えています。

ですから、2025年、2030年と5年ごとにどこまでバッテリーの低価格化が進んでいるかわかりません。

 

そして、前回もお伝えしたようにEVの普及には移動手段以外にも社会的に大きなメリットがあります。

ということで、日本においては2010年をEV元年とし、2030年代に向けてEV革命が急速に進むと私は確信しています。

 

一方、EV革命には大きな課題があります。

それはEVの動力源である電気の供給源を現行の石油などの化石燃料や原発から太陽光などの再生可能エネルギーにいかに転換させるかです。

このテーマについては次回触れることにします。


 
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