2020年12月12日
プロジェクト管理と日常生活 No.671 『国家安全維持法を巡る憂慮すべき事実!』

前々回、プロジェクト管理と日常生活 No.669 『香港の民主活動家、周庭(アグネス・チョウ)さんの逮捕から見えてくること!』で香港の国家安全維持法(全文はこちらを参照)について触れました。

そして、前回、プロジェクト管理と日常生活 No.670 『香港の国家安全維持法のカラクリ!』でそのカラクリについて取り上げていたのでご紹介しました。

今回は、7月8日付けネット記事(こちらを参照)を通して、香港国家安全維持法(6月30日に施行)を巡る意外な事実についてその要旨をご紹介します。

 

・スイス・ジュネーブで6月30日、第44回国連人権理事会が開催され、国家安全維持法に関する審議が行われた。

・国家安全維持法に反対したのは、日本をはじめ、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フランス、アイルランド、ドイツ、マーシャル諸島、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、パラオ、スウェーデン、スイス、イギリスなど27ヵ国だった。ちなみに米国はトランプ政権になってから同理事会から脱退している。

・だが、賛成国は反対国より約2倍多い。賛成に回ったのは中国をはじめ、バーレーン、ベラルーシ、カンボジア、カメルーン、中央アフリカ、キューバ、ドミニカ、エジプト、赤道ギニア、イラン、イラク、クウェート、ラオス、モーリタニア、モロッコ、モザンビーク、ミャンマー、ネパール、北朝鮮、オマーン、パキスタン、パプアニューギニア、サウジアラビア、ソマリア、スリランカ、スーダン、シリア、UAE、ベネズエラ、ザンビア、ジンバブエなど53ヵ国だった。

・ 同理事会で発言したキューバの代表団は、「国家の安全を維持するための立法権は国家にあり、それは国連憲章上も明らかで、香港国家安全維持法は人権問題ではないため、ここで議論すべき問題ではない」との考えを表明している。

・52ヵ国が中国支持に回った理由は以下の通りである。

  中国と同じように独裁的、もしくは権威主義的で、イスラム過激派のような反政府勢力の問題を抱えている国々である。

こうした国々には、体制を維持するため、市民への統制を疎かにするわけにはいかない、反政府組織には厳しい対応をとるという共通点がある。

2019年7月にも、今回と同じように国連人権理事会の加盟国である英国や日本など22ヵ国が、新疆ウイグル自治区で続く人権侵害で中国を非難する共同書簡を提出したが、ロシアや北朝鮮、パキスタン、シリア、アルジェリア、サウジアラビアやエジプトなど37ヵ国は中国を擁護する立場をとった。

  そして、それ以上に現実的な背景が一帯一路による莫大な資金援助である。

エジプトやイラン、パキスタン、シリア、サウジアラビアも事情が似ているかもしれないが、今回の52ヵ国には、カンボジア、カメルーン、モザンビーク、ミャンマー、ネパール、ラオス、パプアニューギニア、スリランカ、ザンビア、ジンバブエなど多額のチャイナマネーを受け取っている国々がある。

すでに債務超過が進み、返済すら出来ない国もあるというが、国内でインフラ整備や都市化を押し進めるためにも、中国支援の立場に回らければならないという政治的プレッシャーもあると考えられる。

 

以上、ネット記事の要旨をご紹介してきました。

 

これまで習近平国家主席の推し進める一対一路政策などにより、中国は覇権主義の世界展開を進めているとお伝えしてきました。(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.666 『国連の専門機関の支配権を強める中国!』

そして、今は中国のこうした戦略に引っかかった多くの途上国は中国に面と向かって自由に発言出来ないような状況に陥っているのです。

その結果が第44回国連人権理事会が開催され、国家安全維持法に関する審議で、支持53ヵ国で反対の倍という結果にも結びついているのです。

 

こうした状況が今後も更に進めば、国連全体が中国の覇権主義により乗っ取られてしまうリスクが現実のものとなってしまいます。

ではこうした由々しき状況への対応策ですが、大きく以下の3つあると思います。

・中国の覇権主義に対抗して、全ての自由主義陣営国が協力して中国に軍事的、経済的に対峙する

・同時に自由主義陣営国が協力して中国とは異なった途上国向けの支援活動に取り組む

・中国製のスマホアプリなどを通しての中国による個人情報や機密情報の不正入手などに対しては、習近平政権が方針を変えない限り、こうしたアプリの使用を禁止するなど、徹底的に中国の意図を阻止するような代替アプリを使用するようにする


 
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