2020年11月07日
プロジェクト管理と日常生活 No.666 『国連の専門機関の支配権を強める中国!』

8月7日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で国連の専門機関で進む中国の影響力について取り上げていたのでご紹介します。 

 

解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「台湾なんですけど、米中対立の文脈で一つ考える必要があるんですけど、もう一つやっぱり新型ロコナの抑制で台湾は相当な実績を上げたと。」

「感染者数も死者数も抑えたということに対して、アメリカの厚生長官のアザーさんが絶賛しているんですね。」

「それで、この番組でも出て紹介されましたが、オードリー・タンさんですね。」

「デジタル担当大臣で、ITをうまく使っている、この辺の台湾の実績は相当なもんだと思う。」(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.633 『参考にすべき台湾の新型コロナウイルス対策』

「ただし、問題なのはWHOは台湾をオブザーバーとしても参加させないという態度を取っているんです。」

「僕は、大変これは問題だと思っています。」

「(今回のコロナ対応で、台湾を抜きにして話し合いをしても意味がないのではないかという指摘に対して、)全くそうですね。」

「で、背景にあるのはやっぱり中国の影響ということなんですけども、国連関連の15の(専門)機関中(*)、4機関(電気通信、食糧農業、民間航空、工業開発)のトップを中国が占めているわけですから、いわばお金の力なんかにものを言わせて牛耳ろうという動きがあると。」

「それがこういう歪みをもたらしているんじゃないかと僕は思えてなりません。」

「(ただ、あまり政治的な思惑が入り過ぎてしまうと、国際機関として機能しなくなっていきそうだという指摘に対して、)はい、その反発も非常に強まる傾向にあると思いますけどね。」

 

* 国連の15の専門機関

・国際連合食糧農業機関(FAO

・国際民間航空機関(ICAO

・国際農業開発基金(IFAD

・国際労働機関(ILO

・国際通貨基金(IMF

・国際海事機関(IMO

・国際電気通信連合(ITU

・国際連合地域開発センター(UNCRD

・国際連合工業開発機関(UNIDO

・国際連合教育科学文化機関(UNESCO

・世界観光機関(UNWTO

・万国郵便連合(UPU

・多国間投資保証機関(MIGA

・世界保健機関(WHO

・世界知的所有権機関(WIPO

・世界気象機関(WMO

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通して、以下のことが言えます。

・中国は世界規模での覇権国家を目指し、その戦略の一環として、国連の支配権を強めている

・具体的には以下の通りである

中国は既に国連の4つの専門機関のトップを占めている

その他にも中国はWHOの大口の資金提供国となっている。

・その弊害が今回の新型コロナウイルス対策において、台湾が優れた対応をしており、その事例を世界各国が参考にすべきであるにも関わらず、中国の意向に沿ってWHOはその台湾をオブザーバーとしても加盟させない方針を取っている(こちらを参照)

 

ちなみに、中国は覇権国家として以下のような戦略が挙げられます。

・南シナ海における実力支配の拡大

・香港における国家安全維持法の試行

・一対一路構想の遂行

・アフリカ諸国など途上国に対する開発支援による途上国への支配権の強化

・近い将来、経済力、軍事力においてアメリカを追い抜き、名実ともに世界制覇を実現

 

さて、問題は中国の目指す方向性です。

習近平国家主席は中華圏の再興を目指し、覇権主義を振りかざしてアメリカを中心とした世界構造を中国に有利なかたちで再構築しようとしているのです。

その本質は中国共産党による一党独裁政治の世界展開です。

こうした中国の方向性は、自由、および人権を尊重する日本も含めた自由主義陣営国家においては決して容認出来るものではありません。

しかし、軍事力、および経済力でアメリカをも圧倒するようになった際には、どの国も中国にピンポイントで様々なかたちで圧力を加えられた場合、面と向かって逆らえない状況に追い込まれてしまいます。

ですから自由主義陣営の国家は協力して、こうした中国の振る舞いを断固阻止しなければならないと思うのです。

 

ということで、世界各国の安定にとって、中国の覇権主義は最大のリスクの一つといえます。

今後とも世界的な影響力を増す中国の習近平国家主席には、自由、および人権の尊重をベースとした戦略に転換して欲しいと願います。


 
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