2020年04月03日
アイデアよもやま話 No.4607 空気中の微細な粒子から“黒いダイヤモンド”が誕生!?

地球温暖化の元凶と言われるCO2活用の取り組みについて、以前、アイデアよもやま話 No.3709 佐賀県で進む画期的な取り組み その1 日本初の清掃工場で発生するCO2を回収・活用する取り組み!でご紹介しました。

また、アイデアよもやま話 No.4269 低価格の合成ダイヤモンドの衝撃!では合成ダイヤモンドについてご紹介しました。

そうした中、1月14日(火)付けネットニュース(こちらを参照)で空気中の微細な粒子から作られる“黒いダイヤモンド”について取り上げていたのでご紹介します。 

 

指輪と聞いてまず思い浮かぶのが、透明に光り輝くダイヤモンドです。

しかし、オランダ人デザイナーのダーン・ローズガールデさんの手に光るのは真っ黒な宝石です。

この"黒いダイヤモンド"は地中から掘り出した炭素の結晶ではなく、空気中から寄せ集めた微細な粒子から出来ています。

その黒い輝きは人間社会による大気汚染の不都合な事実と持続可能な未来に向けてともり始めたかすかな光を映しています。

 

2013年、ローズガールデさんは大気汚染が進む北京の空を眺め、ある思いを巡らせました。

「わたしたちは皆、きれいな空気を享受する権利があると同時に、きれいな空気を保つ役割もある」。

人々が集まる場所の空気をきれいにできないかと考え、巨大な空気清浄装置を設置する案を思いついたのです。

 

2015年9月、オランダのロッテルダムにアルミニウムなどでできた高さ7メートルの空気清浄装置「スモッグ・フリー・タワー(SFT)」が初めて出現しました。

SFTは取り込んだ空気の中から微細な粒子を吸着し、1時間当たり3万㎥のきれいにした空気を排出します。

使うのは1170ワット程度の再生可能エネルギーが生み出した電力だけです。

これまでに中国や韓国など計7カ所でタワーを試験的に設置する「スモッグ・フリー・プロジェクト」を実施しました。

 

ローズガールデさんはSFTで集めた粒子を圧縮・成型して指輪にすることを発案しました。

出来たのが「スモッグ・フリー・リング(SFR)」です。

1つのSFRを作ることで、1000㎥の清浄な空気をもたらします。

2016年10月には北京のちりから作ったSFRを1つ250ユーロ(約3万円)で販売しました。

リングを買うことが環境保全につながると考えるカップルから人気があるといいます。

「経済的発展は海面上昇や気候変動、CO2排出などの問題を生み出しました。

今こそ創造的にその問題を解決するときなのだ」と強調するローズガールデさん。

地球を持続可能なものにするために、身の回りに無制限にあるように思える空気に価値を見出しました。

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

火力発電所などから排出される大量のCO2の処理については、回収して地中に閉じ込めるCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)技術(参照:アイデアよもやま話 No.1334 CO2を地中に閉じ込める技術CCSに注目!)という方法もありますが、この方法は“汚いモノに蓋をする”という考え方です。

こうした方法より望ましいのは、“汚いモノ”、あるいは“厄介者”を単に排除するのではなく有効活用するという考え方です。

今回ご紹介した、空気中の微細な粒子から“黒いダイヤモンド”を作るというアイデアもまさに理想的な手段の一つと言えます。

街中に空気清浄装置を設置し、汚れた空気を綺麗にし、同時に“黒いダイヤモンド”も作れるというのですから。

 

このような基本的な考え方は、無駄なエネルギーを使わずに物事に対処するうえで、いろいろな分野で参考にすべきだと思います。


 
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