2019年02月16日
プロジェクト管理と日常生活 No.580 『自動運転車に関する国による法律的な取り組み!』

プロジェクト管理と日常生活 No.577 『自動運転車のトラブルを損保が遠隔操作でサポート!』、およびプロジェクト管理と日常生活 No.578 『自動運転車のサイバー攻撃リスク!』で自動運転車の事故リスク対応策についてお伝えしました。

今回は、昨年12月20日(木)放送の「ニュース7」(NHK総合テレビ)を通して、自動運転車に関する国による法律的な取り組みについてのご紹介です。

 

自動運転社会の実現に向けて一歩前進です。

クルマの自動運転に関する規定が初めて盛り込まれた改正道交法の試案が公表されました。

自動運転の5つの段階のうち、運転席にいるドライバーが操作の全てを委ねることが出来るレベル3を想定し、自動運転は法律上の運転にあたると位置付け、安全にクルマを走らせる義務は装置を使用するドライバーが負うとしています。

その上で、これまで軽視されていた携帯電話を持ったままでの通話やメールの操作、カーナビの画面の注視などは操作をすぐに引き継げるという状況であれば、自動運転中は認めるとしています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通してのレベル3を想定した改正道交法の試案にはちょっとガッカリしました。

そもそも携帯電話を持ったままでの通話やメールの操作、カーナビの画面の注視などは操作をすぐに引き継げるという状況であれば、自動運転中は認めるとしています。

ところが、試案によれば、自動運転中であっても事故責任はドライバーが負うとしているのです。

これは現実の運転状況を無視していると思います。

特にメールの操作、カーナビの画面の注視などからすぐに何らかの対応が求められてもドライバーが対応出来るとは思えません。

ですから、この改正案ではこれまでよりもむしろ交通事故が発生し易くなると懸念されます。

ですから、少なくともレベル3の段階ではこれまで通り、携帯電話を持ったままでの通話やメールの操作、カーナビの画面の注視などは違反行為とみなすべきだと考えます。

 

今回の改正案のこうした判断の背景には、政府の自動車メーカーなど提供する側に対する配慮が感じられます。

レベル3であっても、少なくとも自動運転中の事故責任はクルマを提供する側にあるとすべきなのです。

こうした高いハードルを課してこそ、自動車メーカーは真剣に自動運転技術を向上させることに取り組むようになるのです。

 

さて、実質的な完全自動運転車の普及のためには、そもそもドライバーは不在ですので、全ての事故責任はクルマを提供する側にあるということが大前提でなければなりません。

そして、具体的な運用の一つとして、プロジェクト管理と日常生活 No.577 『自動運転車のトラブルを損保が遠隔操作でサポート!』でお伝えした遠隔操作サポートがあります。

改正道交法はまだ試案段階といいますから、是非プロジェクト管理と日常生活 No.578 『自動運転車のサイバー攻撃リスク!』でお伝えした情報セキュリティの国際会議「CODE BLUE」などの場を通して、世界各国と共同で以下の議論を深めていただきたいと思います。

・完全自動運転車を提供する側が事故時の全責任を負うという前提で検討を進めること

・想定外の状況、あるいはハッキングを受けた場合の具体的な対応策の法的規制

 

更に、完全自動運転車には永遠の課題とも言えるアイデアよもやま話 No.4169 自動運転車の実用化に向けた哲学的命題!でお伝えした哲学的命題があります。

ですから、想像以上に完全自動車の実際の運用に向けての取り組みは厳しく困難だと思うのです。


 
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