2019年02月02日
プロジェクト管理と日常生活 No.578 『自動運転車のサイバー攻撃リスク!』

前回、プロジェクト管理と日常生活 No.577 『自動運転車のトラブルを損保が遠隔操作でサポート!』で損害保険会社による自動運転車の遠隔操作サポートについてご紹介しました。

そうした中、昨年11月2日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で自動運転車のサイバー攻撃リスクについて取り上げていたのでご紹介します。

 

自動運転やインターネットにつながるコネクテッドカーの開発など、近年クルマの開発が進んでいますが、同時にサイバー攻撃でクルマが乗っ取られるというリスクも高まっています。

こうした中、傷害保険大手のSOMPOグループがベンチャー企業と組み、クルマを“ハッキング”するコンテストを開催しました。

なぜ損保大手がハッキングなのでしょうか?

 

東京・新宿で開かれた情報セキュリティの国際会議「CODE BLUE」、関連企業の担当者や政府関係者などが世界中から参加しました。

日本からは警視庁のサイバー捜査担当者も参加し、警視庁 サイバーセキュリティ対策本部の佐々木 靖司さんは次のようにおっしゃっています。

「海外の捜査機関の操作事例で進め方や着眼点がよくまとめられておりましたので、大変参考になりました。」

 

会議の目玉、ハッキング大会の課題の一つがクルマへのハッキングです。

会場の中央にはインターネットにつながるクルマ、コネクテッドカーに見立てたラジコンが展示されています。

これにラジコンから特殊な信号を送ると、タイヤが回り、ハッキング成功、そのスピードを競います。

参加したホワイトハッカーの一人は次のようにおっしゃっています。

「研究報告で言えば、外部からつながる部分に入って来てクルマを止められてしまうとか、そういったところを防ぐのが大事になってくるかなと思います。」

 

この大会の主催者の一つが損害保険大手のSOMPOグループです。

昨年10月、サイバーセキュリティ事業に本格参入しました。

日本の損保各社全体の保険料収入は右肩上がりを続けてきましたが、8兆円を超えたあたりで頭打ちになっています。

こうした中、成長分野と見られているのがサイバー保険です。

企業がサイバー攻撃を受けた際の保障をします。

SOMPグループのサイバー保険も昨年1月から9月までの契約数が前年比15%増えているといいます。

この保険にサイバー攻撃の監視や調査などを請け負うセキュリティサービスを合わせて販売、他社との差別化を図っています。

SOMPOリスクマネジメントの宮嵜 義久取締役執行役員は次のようにおっしゃっています。

「保険だけでカバーするのも限度がありますので、いかにお客様のリスクを下げるかということをセットで提供していくことが必要かなと・・・」

 

更にクルマに目を付けたのにもある狙いがあります。

昨年1月から自動ブレーキ搭載車について、保険料の基準が9%引き下げられ、収益への影響が懸念されます。

SOMPグループの保険料収入のうち、自動車保険(自賠償を含む)の占める割合は5割以上、保険の変革に備え、クルマのセキュリティ事業で先行しようというのです。

宮嵜さんは次のようにおっしゃっています。

「これからは全く運転をしない世の中になりますので、自動車保険の数多いお客様に対して、どういうふうに安心と安全をご提供出来るのかを真っ先に考えていきたいと・・・」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

従来の延長線上のサービスとして、自動運転車におけるハッカーによるサイバー攻撃に対する自動車保険での対応は必要です。

しかし、こうした対応策は事故後のコンティンジェンシープランと位置付けられます。

私たちユーザーにとって最も大切なのは、ハッキングリスクの対応策です。

いつハッキングされるか分からない状況で自動運転車に乗っているのは、精神衛生上よくありません。

 

そこでリスク対応策として、情報セキュリティの国際会議「CODE BLUE」、および“ハッキング”コンテストの開催はとても理に適ったものと言えます。

こうした場を通して、世界各国のメーカーや政府などの関係団体が情報共有し、常に最新のハッキング対応策に取り組むことが安心、安全なかたちでの自動運転車の運用につながるのです。

ですから、是非AIのディープラーニングなども活用していただきたいと思います。

 

 

なお、次回は自動運転車に関する国による法律的な取り組みについてお伝えします。


 
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