2018年06月15日
アイデアよもやま話 No.4043 期待出来るダイソンのEV開発参入!

前回は国ぐるみの支援で躍進する中国のEVメーカーについてご紹介しました。

そうした中、3月20日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でダイソンのEV(電気自動車)開発参入について取り上げていたのでご紹介します。

 

独創的な家電を手掛けるイギリスのダイソンと言えば、昨年EVに参入することが明らかになり、業界に大きな衝撃が走りました。

その創業者でエンジニアでもあるジェームズ・ダイソンさんが当番組のインタビューに応じ、次のようにおっしゃっています。

「既存の自動車の技術がなく、ゼロから始めることが強みとなる。」

 

また、2021年にEVの量産化に踏み切ることを明言しました。

 

3月20日にダイソンが開いた掃除機の新製品の発表会で、ダイソンさんは次のようにおっしゃっています。

「本日、公開するのは「V10」で、従来とは違う新しいモ−ターです。」

 

ダイソンが披露したのは、掃除機に搭載する最新のデジタルモーター「V10」です。

従来品と比べて吸引力を向上させつつ、4割以上の軽量化に成功しました。

このモーターを搭載したコードレス掃除機「サイクロン V10」(想定店頭価格 約7万円〜約10万円)は、バッテリーが最長60分使えるといいます。

 

そのダイソンがEVに参入することが明らかになったのは昨年の秋、創業者のダイソンさんがWBSのインタビューに応じました。

「2020年に発表し、2021年に供給します。」

「長年「全固体バッテリー」を筆頭にバッテリーを開発してきました。」

「これらの技術はEVに必要なものです。」

 

「全固体バッテリー」と呼ぶ電解液を使わない次世代のバッテリーを自社で開発、またこれまで5千億円以上を投じて開発したデジタルモーターをはじめ、家電で培った技術を生かし、400人以上の技術者が開発に臨んでいます。

ただ、EVの新規参入で先行するアメリカのテスラは、本格的な量産に手間取っています。

こうした状況について、ダイソンさんは次のようにおっしゃっています。

「私は家電の製造に関わり、50年以上になります。」

「高度な技術を完全自動化の量産に用いる方法も熟知しています。」

「だから(EV量産は)可能だという自信があります。」

 

なお、ダイソンのEVが具体的にどんなものになるのか気になるところですが、2年後の2020年まで企業秘密だそうです。

 

番組コメンテーターであるモルガン・スタンレーMUFG証券シニアアドバイザーのロバート・A・フェルドマンさんは次のようにおっしゃっています。

「(ダイソンのEV参入で期待していることについて、)やはりバッテリーの発展に期待しています。」

「ダイソンさんはまさに新しい時代を実現しようとしている人ですし、ちょっと大きく考えると、資本主義は機能している例になると思いますね。」

「掃除機で儲かったお金を最先端の分野に投入して、従来の企業、あるいは独占企業に挑戦して、建設的な破壊をやろうとしているわけですね、」

「これこそ資本主義だということですので、やはり悪いニュースばっかりの中でこういう“一条の光”があるのは気持ちいいですね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

EVに関しては、三菱自動車による「i-MiEV」や日産自動車による「リーフ」の登場が話題になった頃、株式会社SIM-DriveのEV開発参入(参照:アイデアよもやま話 No.2150 SIM-DriveのEV「Sim−Wil」は電力需給逼迫の救世主になりうる!)や街の小さな自動車関連業者による既存ガソリン車のEVへの改造(参照:アイデアよもやま話 No.1520 改造EVの事業化に向けた「スモールハンドレッド協会」が6月に設立!)が話題になり、“これからはEVの時代だ”と期待が高まり、EV事業の明るい未来が取りざたされました。

しかし、残念ながらこうした動きはほとんど立ち消えになってしまいました。

ちなみに、株式会社SIM-Driveは昨年6月26日に解散しております。

今にして思えば、EVや改造EV事業はそう甘くはなかったのです。

 

現在もアメリカのEV大手メーカー、テスラ(参照:アイデアよもやま話 No.3596 自動車をめぐる新たな動き その2 激化するEVメーカー間の航続距離競争!)も量産車「モデル3」の量産化が思うように進んでいない状況で、テスラの経営を圧迫していると報じられています。

テスラのEVはとても独創的で魅力的であり、「モデル3」には世界的にかなりの注文が入っているので、今後のEVの普及を本格化させるうえでも、是非この問題を乗り切っていただきたいと思っています。

 

さて、今回ご紹介したダイソンのEV事業への参入ですが、ダイソンには次のようなメリットがあります。

・家電の独創的な技術を持っていること

・400人以上の技術者をEV開発に投入していること

・独創的なモーターのみならず「全固体バッテリー」という次世代のバッテリーの自社開発を進めていること

・高度な技術を完全自動化の量産に用いる方法を熟知していること

 

こうしたメリットのあるダイソンは2021年にEVの量産化に踏み切るといい、2年後の2020年にはその姿が明らかになるということなので、どのようなスタイルや機能を持ち、価格はどのくらいかなど、今から気になるところです。

 

フェルドマンさんのおっしゃるように、資本主義のダイナミックさを生かして、EVに限らず様々な分野で先進的な技術を生かし、より多くの企業が“持続可能な社会の実現”に向けて新しい時代を切り開いていただきたいと思います。


 
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