2012年05月29日
アイデアよもやま話 No.2150 SIM-DriveのEV「Sim−Wil」は電力需給逼迫の救世主になりうる!
前回、 トヨタ自動車がテスラモーターズと共同開発の電気自動車「RAV4 EV」をベースにEV用バッテリーの可能性についてお伝えしました。
そうした中、先週「人とくるまのテクノロジー展2012」(パシフィコ横浜で開催)に行き、株式会社SIM-Driveが新たに開発した電気自動車(EV)「SIM−WIL」を見てきました。
その主な仕様は以下の通りです。
 定員:                     5名
 フル充電での航続距離(JC08モード): 351km
 ゼロ → 100km/h加速時間:     5.4秒
 最高速度:                 180km/h
 バッテリー容量:               35.1kwh

「SIM−WIL」は量産化技術、あるいは安全性能技術などまだまだ開発しなければならないハードルがいろいろあります。
でも、もし「SIM−WIL」が本当にこの価格で市販化されれば、実際のフル充電での走行距離は300km近く確保出来るので日常生活のみならず長距離ドライブも楽に出来ます。
それにもまして凄いところは、「SIM−WIL」のバッテリーを家庭用電源として使えば、普段の暮らしの中で十分に電力消費量を賄うことが出来、そのうえ100kmくらいは走行出来るのです。

なお、年産10万台を前提とした車両価格は250万円といいます。
「SIM−WIL」のバッテリーを家庭用電源として使うことにより毎月の電気料金も購入前の何分の1かまで抑えることが出来るので、250万円であれば国などの補助金なしでも十分に購入の検討対象になるはずです。
そして、バッテリーの価格は今後とも大変な勢いで安くなっていきますので、量産化が進めば車両価格が200万円を切るのも時間の問題です。
こうなれば、ガソリン車などのEV化は一気に進み、全原発停止に伴い今大変な関心が持たれている電力需給逼迫の救世主になり得るのです。

ただし、課題はEVの普及に合わせて、太陽光などの再生可能エネルギー発電の普及を進めることです。
そうでないと、昼間の大量のEVの充電により今問題になっている夏場や冬場の電力消費ピークを更に押し上げてしまう可能性が出てきてしまいます。
ですから、EVの普及は再生可能エネルギー発電の普及とセットで進める必要があるのです。
狭い範囲で、再生可能エネルギー発電や自動車革命などというくくりで捉えるのではなく、ライフスタイル革命、あるいはエネルギー革命というように包括的に捉えた考え方が必要なのです。
このように考えてくると、政府はこれからのライフスタイルはどうかるべきか、あるいは社会はどうあるべきかを明確にしたうえで、必要な技術の開発に重点的に投資して、あるべき方向に向けて少しでも早く進むような取り組みをすべきなのです。
そして、このような大きな方向性を打ち出し、その実現に向けての枠組みを明らかにすることこそ政府に求められていると思うのですが、その肝心のところがどうも国民の納得を得られていない状況はとても残念に思います。

 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています