2015年12月22日
アイデアよもやま話 No.3266 ”食品ロス”への新たな取り組み その2 買い物をして支援につなげる通販サイト!

まだ食べられる食品を捨ててしまう“食品ロス”については、アイデアよもやま話 No.3226 最新の食品ロス事情!などでこれまで何度かお伝えしてきました。

そうした中、10月25日(日)放送の「サキどり」(NHK総合テレビ)で”食品ロス”への新たな取り組みについて取り上げていました。

そこで、5回にわたってご紹介します。

2回目は、買い物をして支援につなげる通販サイトについてです。

 

「“もったいない”を価値へ」を標語に、お得に買い物をして、支援につなげるための通販サイトKURADASHIでは、麺類や飲み物などおよそ20種類の商品が常時アップされています。

どの商品も割引率は50〜90%です。

その秘密は、賞味期限が近いことにあります。

通常の流通ルートには載せられなくなった商品が低価格で販売されているのです。

 

この通販サイトを運営するグラウクス株式会社ではおよそ200社の商品を扱っています。

去年この会社を立ち上げた社長の関藤 竜也さんは、企業のコンサルタントとして食品流通の現場に深く係わる中で”食品ロス”を減らす仕組みが必要だと考えました。

関藤さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「メーカーさんだったり卸さんだったり、一般の小売店さんのいろんな方と話した時に、「実は悩みは一緒です」と。」

「購入に至らずにそのまま廃棄に至るということは、「これはこれは大変苦痛を伴う思いです」と。」

 

なぜ多くの食品が廃棄されてしまうのか、その理由の一つは業界の3分の1ルールにあるといいます。(参照:アイデアよもやま話 No.2330 厳しすぎる食品の賞味期限の「3分の1ルール」!

 

企業の”食品ロス”を減らすために関藤さんが考えた仕組みは、ちょっと意外なものでした。

それは、この通販サイトに商品を出すと社会貢献が出来ることです。

医療や貧困、災害などの分野の支援団体に販売価格の3〜10%を寄付するようになっているのです。

企業は商品を出すことがイメージアップにつながるため、廃棄予定の食品を再び流通させることに前向きになれるというのです。

 

通販サイトがこの半年間に扱った食品は650品目、サイトに登録した会員は2万人を超えました。

関藤さんは、食品業界に更に働きかけ、扱う商品を増やしていく考えで、目標は1000社といいます。

関藤さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「プラスアルファの価値を感じられるならば、それはぜひ協力・協賛したいと。」

「これはどこの企業さんも思っていらっしゃることです。」

「“食品ロス”は削減出来るのではないかと考えています。」

 

こうした取り組みについて、“食品ロス”問題に詳しい、愛知工業大学准教授の小林 富雄さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「消費者もある意味お金を払うことで、それが寄付になるんだけれども、逆に企業の方もあの価格からすると半分寄付しているみたいな、寄付と寄付がマッチングするみたいな非常に素晴らしい空間が出来ているというふうに捉えてもいいのかなと思います。」

「もうちょっというと、捨てるにも廃棄費用ということでお金がかかりますから、そういった部分を削減出来るっていうメリットはありますね。」

 

「(3分の1ルールについて)、どれだけ賞味期限が残っているか、消費者の方はすごく目が肥えてらっしゃいますので、やっぱり見て買うんですよね。」

「そういったものに対応するために、出来るだけ長く期間が残っているものを店頭に置いておこうと。」

「(見直す動きについて、)業界を挙げて取り組みは進んでいまして、緩和するということですね。」

「これはやはり業界団体の努力がまずあると同時に消費者もそれを受け入れ始めたという一つの成果として評価していいんじゃないかと思いますね。」

 

「(消費者が知らない“食品ロス”につながるものについて、)移送中の外箱がへこんでいたりとか、牛乳とかでも角のところが内側にちょっとへこんでしまっているような、そういったものは中身には全く異常はないじゃないですか。」

「にも関わらず、やっぱり毛嫌いされてしまう。」

「ちゃんとした状態で持って来て下さいということで、非常に厳しい品質管理をしていると。」

 

 

今回ご紹介した通販サイトは、通常の流通ルートには載せられなくなった商品を提供する企業にとっても安く買える購入者にとっても、そして通販サイトを運営するグラウクスにとっても、更には寄付を受ける支援団体にとってもそれぞれメリットがあります。

 

以前、アイデアよもやま話 No.843 近江商人の教え! でもお伝えしたように、商売のあり方として「三方良し」(売り手良し、買い手良し、世間良し)という昔からの言い伝えがありますが、関藤さんのアイデアは、まさに「四方良し」と言えます。


 
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