2015年11月05日
アイデアよもやま話 No.3226 最新の食品ロス事情!

まだ食べられる食品を捨ててしまう「食品ロス」については、これまでアイデアよもやま話 No.1189 食品ロスをなくせば自給率数%アップ!などで何度かお伝えしてきました。

そうした中、9月1日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で最新の食品ロス事情について取り上げていたのでご紹介します。

 

国の試算(2012年度推計:農水省など)では、食品ロス、年間642万トンのうち、半分は家庭から、もう半分は食品工場や小売店などの食品関連事業者から出ているといいます。

日本人一人当りに換算すると、国民全員がおにぎり一つを毎日捨て続けている計算になるのです。

この食品ロスを減らそうという新しい取り組みが始まっています。

 

神奈川県川崎市のマンションに暮らす夫婦と子ども2人の4人家族の家庭では、1ヵ月の食費は4〜5万円といいます。

一方、食品ロスは一般家庭で年間約6万円(2008年度 京都市の調査)にもなります。

 

こうした中で今、家庭で使いきれなかった食材を再利用する“サルベージパーティ”が登場しています。

プロのシェフが料理に仕立て、その技を持ち帰ってもらおうというものです。

東京・渋谷にあるキッチンスタジオで開催されている“サルベージパーティ”の参加費は3000円前後で主婦や一人暮らしの学生に人気で開催数は2年前に比べて倍以上の20回以上を予定すているといいます。

 

一方、食品リサイクル工場、日本フードエコロジーセンター(神奈川県相模原市)では、食品工場で余ったシュークリームの皮や消費期限切れ寸前のパンなど、集められた食品ロスを使って養豚用飼料に加工して販売しています。

食品リサイクルへの意識の高まりから問い合わせが急増しているといいます。

ところが、現在1日に30〜35万トンの食品ロスを受け入れていますが、来春にも処理能力39トンの限界を迎えそうなのです。

 

また、気象情報を提供する日本気象協会では食品を製造する段階でのロスを減らそうと動き出しています。

日本初の“豆腐予報士”、中野 俊夫さんは“寄せ豆腐指数”を作っています。

夏に特化した商品の寄せ豆腐は気温に連動して売り上げが変化するのです。

そこで、中野さんが開発したのが冷奴に使う寄せ豆腐の売れ行きを予測する“寄せ豆腐指数”です。

日本気象協会が持つ過去の気象データと豆腐メーカーが持つ販売データを分析し、今年7月に完成させました。

天気と気温の予測から4日先までの売れ行き予測を数字とイラストで表示します。

全産業の3分の1くらいは気象と何らかの関係があると言われているので、気象を経済に生かしていきたいと中野さんは考えています。

 

相模屋食料(群馬県前橋市)では、需要が増える夏場は冷奴向けの寄せ豆腐を1日に6万丁生産しています。

今年7月から実際に“寄せ豆腐指数”を活用していますが、現場では導入後2ヵ月で早くも成果が出ているといいます。

廃棄数が20〜30%削減出来たというのです。

 

家庭や企業から食品ロスを減らすため、こうした新たな試みが始まっているのです。

あらためて食品を生産してから卸売業者を経由してスーパーやコンビニなどの販売店を経て家庭や飲食店で食品が消費されるという一連のプロセスを今回ご紹介したような試みと照らし合わせてみると、食品ロスを出さないためのキーポイントが見えてきます。

まず、食品の生産時や販売時における適切な需要予測です。

これには気象予報だけでなく、平日か休日か、あるいは連休などいくつかのファクターが関係してくるとお思います。

そこで重要になってくるのがビッグデータ、およびその分析を通して得られる精度の高い需要予測です。

 

次に、食品を消費する一般家庭における食品管理です。

中でも、特に冷蔵庫の奥の方に入れてある食品は買ったことを忘れてしまうことが多く、我が家でも賞味期限切れで仕方なく廃棄してしまう食品が少なからずあります。

でもこうした食品一つ一つの賞味期限を常に把握しておくことはちょっと面倒です。

そこで、思い付くのがIoT(Internet of Things)です。

全ての食品にタグなどを付けて、それに消費(賞味)期限を記録しておき、冷蔵庫がそうしたデータを読み取って、どの食品が消費(賞味)期限を迎えそうかを表示してくれるようになれば、家庭での食品ロスは格段に減ると期待出来ます。

その際、そうした食品を使ったオススメの献立と作り方を教えてくれればとてもありがたいと思います。

そもそも、冷蔵庫に今何が入っているかを把握出来れば、無駄な買い物を防ぐことが出来るのです。

 

このように食品ロスを少しでも無くす取り組みをしても、どうしても食品ロスは発生してしまいます。

そこで、最後はこうして発生した食品ロスのリサイクルです。

消費期限切れ寸前のパンなどは“サルベージパーティ”や養豚用飼料などとして使えますが、消費期限切れの食品は食品としては使えません。

そこで、こうした食品を原料にしたバイオマス燃料などへのリサイクルです。

 

このように食品に関わるプロセスの一つ一つに対して適切な対応をすることにより、食品ロスを格段に少なくすることが出来るようになると思うのです。


 
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