2024年03月21日
アイデアよもやま話 No.5848 月面で水から水素・酸素を作る装置の開発成功!
アイデアよもやま話 No.5846 格差社会問題は解決出来ても、・・・ その1 フィージビリティスタディの重要性!でエネルギー問題について触れました。
そうした中、3月18日(月)放送の「ニュース7」(NHK総合テレビ)で月面で水から水素・酸素を作る装置の開発成功について取り上げていたのでご紹介します。 

月面での人類の活動を見据えて開発された、水から水素と酸素を作り出す新たな装置が公開されました。
近年、月に水が存在することを示す研究論文が相次いて発表されていて、水から水素と酸素を作り出せれば、ロケットの燃料や空気として利用出来、月での長期滞在が可能になると期待されています。
装置は今年の冬にも月面着陸を目指すベンチャー企業の着陸船に搭載されて、打ち上げられる計画です。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

なお、この装置を開発した高砂熱学工業株式会社の公式ページ(こちらを参照)には以下の記述があります。

高砂熱学工業株式会社(社長:小島和人/以下、当社)は、月面用水電解装置フライトモデル(FM)の開発を完了し、月面輸送サービスを手掛ける宇宙スタートアップ企業 株式会社ispace(本社:東京都中央区、代表取締役CEO & Founder:袴田武史/以下、ispace)へ引き渡した

月面での水素・酸素生成ミッション概要
 月面に到着後、水電解装置はランダー(月着陸船)上部に搭載された状態でミッションを行います。電気分解に必要な水は地上から持参します。ランダーから供給される電力(太陽光発電)によりその水を電気分解し、水素と酸素を生成します。水電解装置の運転操作や状態監視は、ランダーの通信設備を介して、東京日本橋にあるispaceのミッションコントロールセンター(管制室)から行います。


なお、このミッションの動画はこちらを参照下さい。

また、ランダーを開発した株式会社ispaceについては、No.5477 日本の宇宙ベンチャーの取り組み事例 その3 賑わいを見せる宇宙関連ビジネス!でお伝えしましたが、昨年4月の民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1のランダーにより2023年4月26日(日本時間)に実施した着陸シーケンスに関して、計画された着陸シーケンス中の全ての減速運用を完了し、計画通り秒速1m以下の降下速度かつ垂直状態で月面高度約5kmにまで接近しましたが、残念ながら月面への軟着陸は失敗に終わりました。(こちらを参照)
ですから、今年の冬に計画されている月面着陸を目指すispaceによるロケットの月面着陸ミッション2は昨年のミッション1のリベンジということになります。
しかし、ミッション2では新たに高砂熱学工業が開発した月面用水電解装置フライトモデル(FM)が搭載され、電気分解に必要な水は地上から持参するものの、ランダーから供給される電力(太陽光発電)によりその水を電気分解し、水素と酸素を生成する計画ですから、単なるリベンジではないのです。
そして、今冬のミッション2が成功すれば、その次のステップとして、月に水が存在することが確認出来れば、その水から水素と酸素を生成することが出来、これらはロケットなどの燃料や空気として利用出来ます。
ですから、人類による月での長期滞在への大きな“第一歩”となります。
ただし、実際に、月に水がどのくらい存在するのかはまだ分かりません。
ですから、それまではミッション2のように地球から水を運ぶことによって、水素と酸素を生成することになります。

さて、考えてみれば、月面用水電解装置フライトモデルは月だけでなく、地球上でも使えるはずです。
しかも、地球上には水は海水まで含めれば無尽蔵に存在します。
ですから、今回ご紹介した、高砂熱学工業が開発した月面用水電解装置フライトモデルを、水素というCO2排出量ゼロのエネルギーの製造装置として、太陽光や風力などによる持続可能な発電装置とセットで世界的に展開出来れば、一気に持続可能な社会を実現させる可能性を秘めています。
ですから、高砂熱学工業にはこうした取り組みにもチャレンジしていただきたいと思います。
ちなみに、こうした装置は既に市販化されており、一部の企業では導入済みです。

いずれにしても、月面用水電解装置フライトモデルは画期的な発明と言えます。

 
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