2024年01月11日
アイデアよもやま話 No.5788 しょっぱい味がする箸!?
昨年9月15日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でしょっぱい味がする箸について取り上げていたのでご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

2022年5月放送の当番組で取材した研究(参照:アイデアよもやま話 No.5265 味を吹き付ける“調味家電”!)に取り組んでいた栄養学が専門の明治大学の宮下芳明教授などがユニークな研究に贈られる今年のイグ・ノーベル賞に選ばれました。(こちらを参照)
授賞した宮下教授などはスプーンや箸などを通して舌に電流を流し、刺激を与えることで味が変わったように感じることを突き止めました。
キリンホールディングスとの共同研究では、塩の量を減らしてもしっかりとした味わいを感じられることが確認出来、減塩につながる食器に応用されています。

日本人のイグ・ノーベル賞の受賞はこれで17年連続となりました。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

また、昨年12月7日(木)付けネット記事(こちらを参照)でも同様のテーマについて取り上げていたので内容の一部をご紹介します。

・明治大学総合数理学部教授 宮下芳明氏は1976年イタリア生まれ。千葉大学工学部卒。北陸先端科学技術大学院大学で博士号(知識科学)を取得。2014年より現職。ゲームや音楽、味覚などの表現をコンピューターで拡張する研究を専門とする
・2023年9月にイグ・ノーベル賞の栄養学賞受賞の対象となったのは、12年も前に当時大学院生だった中村裕美さん(現・東京大学特任准教授)と発表した論文。食器に電気を流すと、食品越しに舌を刺激し、味を変えられる可能性を書いたものです。
・その後の研究で、微量な電流により食べ物の中のイオンが動くことが判明。そこに味を変えるヒントがありました。例えばナトリウムイオンが動いてたくさん舌に集まれば、実際の塩分量が少なくても塩味を強く感じることができるんです。
・キリンホールディングスとの共同研究で実証実験が進み、電気の力で減塩食の塩味を約1.5倍に増強する、スプーンやおわん型の「エレキソルト」デバイスが、もうすぐ発売予定です。

(イオンを動かす技術の塩味以外の味への応用)
・例えば水素イオンが動くと酸味が強くなるなど、応用可能です。塩分だけでなく、肥満にならないよう糖分を取り過ぎない、肝臓を壊さないよう酒を飲み過ぎないなど、私たちは色々な我慢をして生きています。電気味覚技術の力を利用して、味わいたいものを存分に舌で味わっても、有害な成分が体内に入らなければ心の幸せと健康が両立できる。エレキソルトは減塩を目的とした商品ですが、電気味覚は“おいしく食べる幸せ”のために活用される技術です。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

なお、昨年7月7日(木)付けネット記事(こちらを参照)には以下の記述があります。

一般食品を模したサンプルと、食塩を30%低減させたサンプルでの塩味強度に関する評価の変化値。エレキソルトの技術(電流0.1~0.5 mA)を搭載した箸を用いた試験。現在または過去に減塩をしている/していた経験のある40〜65歳男女31名に対し、試験用食品を食した際に感じた塩味強度をアンケートしたところ、31名中29名が「塩味が増した」と回答。

2022年5月放送の当番組で取材した研究は、事前に食べ物の味をセンサーで数値化していて、それをもとに液体を調合することで味を再現するという“調味家電”でした。
そして、前回はその進化系についてお伝えしました。(参照:アイデアよもやま話 No.5787 “調味家電”の進化系!
今回ご紹介した研究は、スプーンや箸などを通して舌に電流を流し、刺激を与えることで味が変わったように感じさせるという全く別な方法で食べ物の味を変えるという“電気味覚”です。
そもそも、このようなアイデアは普通の人にはまず思いつかないとても突飛なものです。

なお、微量な電流により食べ物の中のイオンが動くことが判明したことが今回の味を変えるアイデアのヒントになったといいます。
こうしたことから、基礎研究の重要性をあらためて感じます。
また、微量な電流により食べ物の中のイオンが動くことは、水素イオンが動くと酸味が強くなるなど、塩分以外の他の味についても応用が出来ます。

ということで、“電気味覚”の技術は食の楽しみと健康を両立させるうえで、とても有効な手段になると期待出来ます。

 
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