１１月３日（金）放送の「ワールドビジネスサテライト」（テレビ東京）でビートルズの新曲発売について取り上げていました。
そして、アイデアよもやま話 No.5737 ビートルズの新曲発売に見るＡＩの計り知れない可能性！では新曲の誕生秘話やＡＩの可能性に焦点を当ててご紹介しました。
今回は、こうしたＡＩの陰とも言えるリスクに焦点を当ててご紹介します。
ビートルズが１１月２日、２７年ぶりに新曲「ナウ・アンド・ゼン」を発表しましたが、同じ日にビートルズの地元、イギリス・ロンドン郊外では、そのＡＩによるリスクを主題とする世界初の国際会議「ＡＩ安全サミット」が開かれました。
イギリスのスナク首相は次のようにおっしゃっています。
「政府とＡＩ企業は画期的な合意に達した。」
「新型のＡＩについては、公開される前に協力して安全性の試験に取り組むことになる。」
各国の政治家や開発者が参加する中、ひと際注目されていたのはＡＩ事業も手掛けるイーロン・マスク氏、ＡＩのリスクに警鐘を鳴らしました。
「人類が人よりも賢いものをコントロール出来るか、私には分からない。」
「しかし、人類にとって有益となる方向に導くよう志すことは出来る。」
「一方、人類が直面している、存亡に係わるリスクもあると思う。」
「最も差し迫ったリスクになる可能性もある。」
またスナク首相との対談で、ＡＩによって将来の私たちの生き方が一変する可能性も指摘します。
「仕事が不要になる時が来る。」
「満足感を得るために人は仕事をしたい時にすることは出来るが、ＡＩは全てをこなせるようになるだろう。」
そのＡＩ事業の拡大で多くの利益を上げているのがアメリカのテック企業です。
１１月３日までに大手５社の７月から９月までの決算が出そろい、５社全てが増益となりました。（こちらを参照）
人員削減などのコストの削減効果が現れたかたちです。
ただ、独占禁止法など、いわゆるＩＴ規制は世界的に強化されつつあり、更に今後はＡＩ規制も強化される可能性もあり、その影響なども注目されます。
一方、１年間を通しての業績をみますと、アップルは４年ぶりに減収減益となりました。
買い換えサイクルの長期化でiPhoneやMacBookなどの需要が低迷したことなどが背景にあります。
こうした状況について、解説キャスターで日本経済新聞論説主幹の原田亮介さんは次のようにおっしゃっています。
「（イギリスで開かれたＡＩ安全サミットですが、イーロン・マスク氏がスナク首相との対談で随分警鐘を鳴らしていたが、その理由について、）マスク氏はＡＩによる偽情報が争点になる初めての選挙になるだろうと述べて、つまり来年が選挙イヤーなんですね。（こちらを参照）」
「ＡＩの偽情報による介入が懸念されるわけなんですね。」
「１月には台湾の総統選、２月にはインドネシア大統領選、１１月にはアメリカの大統領選があるわけです。」
「現に今年のスロバキアの総選挙では、親ロシア派の政党が勝ったんですけど、投票日前にライバル政党の議員のディープフェイク（添付１参照）音声が拡散して結果に影響したって見方が出ているんです。」
「（そうした中でのＡＩをよく知るマスク氏の発言だけに重みのあるメッセージなのではという問いに対して、）はい。」
「アメリカの調査会社の集計では、ＡＩを悪用した“重要事案”はこんなに増えているんですね。（こちらを参照）」
「マスク氏はリバタリアン（添付２）と見られてるんですですが、ＡＩについては例外的に規制が必要と言ってるんです。」
「（一方で、人間の仕事が不要になる時が来るとして、ＡＩが社会に役立つとも強調していますが、）はい。」
「しかもＡＩが普及すると、最低収入の生活ではなくて、ベイシックハイインカム（Basic High Income 添付３参照）という高所得が保証される、夢のような可能性についても話をしていました。」
「ただ、所詮、人がどう使うかなんですよね。」
「悪用させない仕組みが出来ればノーベル賞ものなんですけどね。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
番組を通して、マスク氏が指摘するＡＩのリスク、および対応策について以下にまとめてみました。
（ＡＩのリスク）
・人類が人よりも賢いもの（ＡＩ）をコントロール出来るかどうか分からず、人類が直面している、存亡に係わるリスクもあり、最も差し迫ったリスクになる可能性があること
・来年が選挙イヤーであり、ＡＩの偽情報による介入が懸念されること
・仕事が不要になる時が来る、つまり大幅な人員削減が行われ、失業者の急増リスクが高まること
（リスク対応策）
�� 国際的な規制
・ＡＩによるリスクを主題とする世界初の国際会議「ＡＩ安全サミット」がロンドン郊外で開催された（１１月２日）
-政府とＡＩ企業は画期的な合意に達した
-新型のＡＩについては、公開される前に協力して安全性の試験に取り組むことになる
・主要7カ国（G7）はオンラインでG7デジタル・技術相会合を開き、生成AI（人工知能）の国際指針について合意した。（１２月１日 １２月１日（水）付けネット記事より（こちらを参照） ）
-G7が主導しAIの開発者から利用者までを含む世界初の包括ルールをまとめた
-AIの情報をもとに偽情報が広がると各国は懸念しており、官民で対策する
�� ＡＩの普及に伴う生活保障
・最低収入の生活ではなく、高所得を保証すること
-ＯｐｅｎＡＩが展開する仮想通貨、ワールドコインはその先駆けと言える（参照：アイデアよもやま話 No.5743 ＯｐｅｎＡＩが手掛ける新たな暗号資産の狙い！）
なお、来年が選挙イヤーであり、ＡＩの偽情報による介入が懸念されるということですが、是非、それぞれの国の当局は適切な偽情報対策を行い、偽情報を排除した状況での選挙にして欲しいと思います。
一方、１２月６日（水）付け読売新聞の朝刊の大見出しの１面記事のタイトルは「「中国発」偽情報広がる」でした。
ですから、ＡＩのリスク対応策の中でも喫緊の対応策はＡＩの偽情報の取り締まりなのです。
そうした中、１２月２日（土）付けネット記事（こちらを参照）では以下のように報じています。
ハワイにあるシンクタンク、パシフィック・フォーラムの東アジア情勢に詳しいロバート・ヨーク地域情勢担当部長は１日（日本時間２日）、統一を目指す中国からの偽情報にさらされている台湾の対策について「他国よりもうまく対応し、どの国・地域も台湾から学ぶことは多い」と述べた。
ということで、日本も台湾の対策を参考に、早急にＡＩの偽情報の取り締まりの強化が求められるのです。
いずれにしても、今後のＡＩの最大の課題は“いかにして偽情報を排除するか”だと思います。
偽情報が氾濫する社会は、混乱に満ち、殺伐とした社会になり、人々は疑心暗鬼になり、紛争や戦争の勃発リスクが高く、まさに人類滅亡へと人類を追い込んでいくのです。
添付１）
ディープフェイクとは？
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「ディープフェイク」（Deepfake）は、ディープラーニング技術を用いて、人工的に生成された映像や音声を本物の映像や音声とほとんど区別できないほどの高度なリアリズムで作成する技術およびコンテンツのことを指します。この技術は主に顔や音声の合成に関連しており、コンピュータープログラムが既存の映像や音声を加工して、別の人物や内容に見せかけることができます。
ディープフェイクの主な特徴と応用例には以下のものがあります：
1.顔の合成：ディープフェイク技術は、顔の合成に使用されます。ある人物の顔を別の人物の顔に巧妙に置き換えることが可能です。これにより、映像や写真に登場する人物が別の人物に見えるようになります。
2.音声の合成：ディープフェイク技術は音声合成にも応用されます。特定の声優の声を模倣して、他の人物がその声で話すかのように聞こえる音声を生成することができます。
3.娯楽およびエンターテインメント：ディープフェイクは映画やテレビ番組、コンピューターゲーム、アニメーションなどのエンターテインメント分野で使用され、特定の俳優やキャラクターがリアルな映像や音声で登場することがあります。
4.プライバシーとセキュリティの懸念：ディープフェイク技術は、プライバシー侵害や詐欺の手法としても懸念されており、不正な目的で使用されることがあるため、社会的な課題も提起されています。
ディープフェイク技術は急速に進化しており、一般の人々や専門家がディープフェイクと本物のメディアを見分けるのが難しくなっています。そのため、ディープフェイクの現象は議論の的となり、法的、倫理的な問題に対処する必要があります。
添付２）
リバタリアンとは？
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リバタリアン（Libertarian）は、政治思想や哲学の立場の一つで、個人の自由、個人の権利、個人主義を重要視し、政府の干渉を最小限に抑える立場を指します。リバタリアン主義は、政府による規制や介入を最小限にし、個人の自己決定権と自由市場を強調します。以下は、リバタリアン主義の主要な特徴と考え方です：
1.個人の自由: リバタリアン主義は、個人の自由を極めて重要視します。個人は自分自身の生活、所有権、行動について最終的な権利を持つと考えます。
2.自己所有権: リバタリアンは、個人の権利を尊重し、自己所有権を強調します。個人は自分自身や所有物に対して支配権を持つと考えられます。
3.自己決定権: リバタリアン主義は、個人が自己決定権を持ち、他人や政府による干渉を最小限に抑えるべきだと主張します。自己決定権には、個人の生活、信仰、経済的な取引などが含まれます。
4.自由市場: リバタリアンは、自由市場経済を支持し、政府の規制や干渉を最小限にし、競争と契約に基づいた経済体制を奨励します。
5.小さな政府: リバタリアン主義は、政府の機能を最小限にし、国防、法の執行、契約の執行、個人の権利の保護などの基本的な役割に制約を置くべきだと主張します。
リバタリアン主義は、政府の規制や干渉を最小限にする立場から派生しており、自由意志主義（自由意志に基づく倫理的立場）とも関連しています。リバタリアン主義は、政府の権力を制限し、個人の自由と責任を高めることを目指していますが、その立場には賛成と反対があり、議論の的となることがあります。
添付３）
Basic High Incomeとは？
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"Basic High Income"（基本的な高所得）という用語は、私の知識ベースには一般的な定義や具体的な意味が含まれていません。一般的には、"basic income"（基本所得）や"high income"（高所得）などの単語を組み合わせた形で、特定の文脈や提案において使われるかもしれません。
"Basic income"は、一定の金額をすべての市民に定期的に支給する政策やアイデアを指し、その目的は貧困削減、社会的安全網の強化、労働市場の変化への対応などがあります。
"High income"は、高い収入を持つ個人や家庭を指し、一般的には高額の給与、投資収益、ビジネス収益などを意味します。
もし特定の文脈や提案において"Basic High Income"が言及されている場合、それに関する詳細な情報が必要です。一般的な用語としては確認されていませんが、具体的な文脈に応じて異なる意味を持つかもしれません。
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