2023年11月04日
プロジェクト管理と日常生活 No.842 『出生数減少の反転のカギは・・・』
これまで少子化対策についてはプロジェクト管理と日常生活 No.825 『少子化対策に本格的に乗り出した岸田政権!?』などでお伝えしてきました。
そうした中、6月13日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で出生数減少の反転のカギについて取り上げていたのでご紹介します。 

こちらをご覧下さい。
日本の出生数の推移です。
減少の勢いが止まらず、昨年は約77万人と、過去最少を更新しました。
政府は、若い世代の人口が急激に減り始める2030年代に入るまでが少子化傾向を反転出来るラストチャンスとして、対策に本腰を入れています。
ただ、先ほど閣議決定された政府の少子化対策の内容には不十分な点があるとの指摘も出ています。
今日(6月13日)、岸田総理は総理官邸で次のように発言されています。
「全ての子ども・子育て世帯について、親の働き方やライフスタイル、子どもの年齢に応じ、切れ目なく必要な支援が包括的に提供される総合的な制度体系を構築してまいります。」

あらためて異次元の少子化対策をアピールした岸田総理、政府は今日、新たな少子化対策となる「こども未来戦略方針」を決定しました。
来年度からの3年間(24〜26年度)について、毎年3.5兆円規模の予算を追加する方針です。
目玉となるのが児童手当の拡充。
これまで児童手当には所得制限がありましたが、それを撤廃、高校生にも支給の対象を広げ、第3子以降にはゼロ歳から高校生まで3万円を支給する方針で、来年10月分から実施する考えです。
また、親の就労に係わらず、保育施設を利用出来る「子ども誰でも通園制度」を創設する他、育児休業の給付を拡充させ、出産費用の保険適用も進めます。

街の人は。
「大変ありがたい。」
「子育てにはお金が必要で、どうしても出費がかさんでしまうので。」

一方、未婚の人からは。
「そもそも結婚する前提の時にお金が足りないというは間違いなくあるなと。」
「そこに対して政府が何か出してくれるかは中々少ないものがあるというのは感じています。」

結婚についての支援を求める声が。
実際、夫婦が生涯でもうける子どもの数を示す完結出生児数が1970年代以降、ほぼ横内から緩やかに減少しているのに対して、未婚率は男性、女性、共に大幅に上昇しています。(こちらを参照)

未婚が少子化の大きな要因になっているのです。
未婚化が進む背景には何があるのでしょうか。
都内の結婚相談所、マリックス(新宿区)を訪ねると。
システムエンジニアとして働く大岩さん(仮名 35歳)、周りに結婚をする人が増えたのをきっかけに半年前、結婚相談所に登録しました。
しかし、女性を紹介されても中々交際に発展しないといいます。
交際のハードルの1つとなっているのが収入です。
現在の大岩さんの年収は400万円台、一方で相談所に訪れる女性は500万円以上の年収を求める人が多いといいます。
大岩さん自身も今後順調に収入が増えるかが見通せないため、結婚に踏み出すことへの不安があると話します。
「結婚した後に路頭に迷うことは避けたいなとは思うので、不安と言えば不安かも。」
「結婚をして先に進むためには、給料が上がっていかないことには中々難しい。」

実際に結婚をしている男性の割合を年収別で見てみると、700万円を超える人の9割が結婚をしている一方、200万円台の場合は3割程度に止まります。(こちらを参照)
収入と結婚には明確な相関関係が生じているのです。

結婚相談所も収入面の不安で結婚に踏み切れない男性が多く、結婚数を増やすためには安定的な賃上げが重要だと指摘します。
マリックスの升村要代表は次のようにおっしゃっています。
「未婚化問題の根底には経済問題があると。」
「今現在よりも将来的に希望が持てるような安定的な収入(の増加)、そういう体制づくりが必要なのではないかと思います。」

少子化問題に詳しい東京財団政策研究所の坂元晴香さんは次のようにおっしゃっています。
「政府が出している案は少子化対策と言いつつも、実のところ子育て支援に近いものが多いのかなと。」
「子どもを持つことへの不安を解消していけるような雇用体制をつくることが一番大事だと思います。」

更に少子化の解消に向けては企業の果たす役割も大きいといいます。
「柔軟な働き方で子育て世代だけではなくて、あらゆる人が働き易い仕組みをつくっていくことが企業の非常に大きな役割。」
「企業が変わっていくこともこれから必要なのかなと。」

実際に働き方改革が結婚や出産を後押しケースも。
伊藤忠商事では午後8時以降の残業を原則禁止し、代わりに早朝に働く朝型勤務制度など、働き方改革を約10年前から推進してきました。(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.822 『少子化ニッポンの課題 その1 参考にすべき伊藤忠の働き方改革!』)
伊藤忠商事 人事・総務部の米田栞さんは次のようにおっしゃっています。
「女性だけでなく、男性も含めた全ての社員が生産性を上げていくというところが重要になってくるかと思います。」
「自身のライフイベントと仕事を両立させていける環境をつくれた。」

他にも社内託児所の設置や在宅勤務の導入など、個人のライフスタイルに合わせた働き方を推奨、結婚・出産を選択出来る環境につながり、伊藤忠商事の女性社員の出生率は2010年度の0.94から2021年度には1.97に倍増しました。
米田さんは次のようにおっしゃっています。
「企業で長く勤めていく、そこでキャリアを築いていくというところまで考えると、企業が居場所をつくってあげるだとか、働き続けられる環境を整備するというのは非常に重要だと考えています。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

そもそも少子高齢化はなぜ悪いのかについて、労働力不足や経済成長などへの影響がありますが(添付1参照)、番組の内容を以下にまとめてみました。
・日本の出生数の減少の勢いが止まらず、昨年は約77万人と、過去最少を更新した
・政府は、若い世代の人口が急激に減り始める2030年代に入るまでが少子化傾向を反転出来るラストチャンスとして、対策に本腰を入れている
・しかし、閣議決定された政府の少子化対策の内容には不十分な点があるとの指摘も出ている
 -6月13日、新たな少子化対策となる「こども未来戦略方針」を決定した
 -目玉となるのが児童手当の拡充であるが、来年10月分から実施する考えである
 -親の就労に係わらず、保育施設を利用出来る「子ども誰でも通園制度」を創設する他、育児休業の給付を拡充させ、出産費用の保険適用も進める
 -政府が出している案は少子化対策と言いつつも、子育て支援に近いものが多い
・未婚が少子化の大きな要因になっている
 -未婚率は男性、女性、共に大幅に上昇している
・収入と結婚には明確な相関関係が生じている
 -実際に結婚をしている男性の割合を年収別で見てみると、700万円を超える人の9割が結婚をしている一方、200万円台の場合は3割程度に止まる

こうした状況から少子化対応策を以下にまとめてみました。
政府:
・安定的な経済成長をもたらすための企業活動への支援
・結婚から子育て終了までのプロセス全般に渡っての対策を検討・実施する
企業:
・AIなどの先進技術の活用による生産性の向上
・AIなどの先進技術を活用した、継続的な新規ビジネスへのチャレンジ
・安定的な賃上げ
・子どもを持つことへの不安を解消していけるような雇用体制
 -伊藤忠商事では革新的な取り組みにより、少子化対策も含めた働き方改革を実施しており、成果を上げている
・定年後の高齢者の積極的な雇用
 -インターネットを通した在宅勤務が可能になっている
-AIなどの活用により高齢者でも労働の機会が広がっている
個人:
・出会いのチャンスの場の活用
-出会い系アプリなどの活用

なお、アイデアよもやま話 No.5726 いずれ社員一人の会社が誕生!?でもお伝えしたように、近い将来、現在の多くの業務がAIに取って代わられるようになると期待出来ます。
ですから、出生数減少の反転の如何に係わらず、少なくとも労働力不足はいずれAIにより解消されると見込まれます。
しかし、いかにAIにより労働力不足が解消されても、需要が少なくなれば、経済は発展していきません。
ですから、やはり国としては一定の出生者数を維持することが求められます。
そこで、国として、適正な日本の国民の人口はどの程度が妥当かという検討を進めることも必要だと思います。(添付2参照)


添付1)

少子高齢化はなぜ悪いのか?
ChatGPT
少子高齢化は、一般的に悪いわけではないが、社会や経済にさまざまな課題をもたらす可能性があると考えられています。以下に、少子高齢化がもたらす懸念点をいくつか説明します:
1.労働力不足: 少子高齢化が進行すると、労働人口の減少が懸念されます。これは、経済成長に対する影響を持ち、労働市場での労働力不足や技能不足の問題を引き起こす可能性があります。また、社会保障制度への負担が増加する可能性もあります。
2.経済の成長への影響: 少子高齢化は、国の経済成長に悪影響を及ぼす可能性があります。労働力の減少や高齢者への年金や医療の負担増加により、経済の成長率が低下することがあります。
3.社会的サービスへの負担: 高齢者人口の増加に伴い、高齢者向けの社会的サービス(医療、介護、年金など)への負担が増えます。これは国家予算に圧力をかけ、社会的サービスの提供に課題をもたらす可能性があります。
4.人口構造の変化: 少子高齢化により、人口構造が偏り、若年層と高齢者層の比率が逆転することがあります。これは、若年層に対する社会的サービスや教育への投資の必要性を示唆し、また若年労働者のキャリアの発展に影響を与える可能性があります。
5.社会的孤立: 高齢者の孤立や社会的孤独感が増加する可能性があります。これは、高齢者の生活の質に影響を与えることがあります。
ただし、少子高齢化は単純に悪い現象だけでなく、高齢者の経験と知識を活用する機会を提供し、社会的安定性や平和を支える要素でもあります。また、技術の進化や政策の改善によって、少子高齢化の影響を緩和する方法も模索されています。経済、社会、政府の各レベルでの適切な対策が必要です。

添付2)

適正な日本の国民の人口は?
ChatGPT
適正な国民の人口についての評価は主観的であり、異なる視点から評価される可能性があります。人口の適正なサイズは経済、社会、環境など多くの要因に影響されます。以下にいくつかの要因を考慮して、適正な人口に関する議論の一端を紹介します。
1.経済的観点: 人口の適正なサイズは、国の経済活動や生産力に関連します。一般的には、一定の労働力を維持し、経済成長を支えるために一定の人口が必要です。ただし、これは国の経済体制や産業構造によって異なります。
2.社会的観点: 人口の適正なサイズは社会的な安定性にも関連します。高齢者の増加に対応するためには、若年層の存在が必要であり、また教育、医療、社会的サービスの提供にも適切な人口が必要です。
3.環境への影響: 人口の増加は自然環境にも影響を及ぼします。資源の持続可能な利用、二酸化炭素排出などに対する影響が懸念されます。適正な人口は環境への負担を最小限に抑えることを目指すでしょう。
4.国土面積: 国の面積や土地の可用性も人口の適正なサイズに影響を与えます。狭い国や資源が限られた地域では、適正な人口サイズを検討する必要があります。
5.グローバルな影響: 国際的な関係においても、人口のサイズは影響を及ぼします。国際的な取引や協力、国際政治などにおいて、人口のサイズは一国の影響力に関連します。
適正な人口サイズは国によって異なり、その評価は時間とともに変化します。多くの国は人口政策を採用し、人口の健全な成長を促進するために努力しています。ただし、人口の適正なサイズに関する議論は複雑であり、多くの要因を考慮に入れる必要があります。

 
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