2022年09月04日
No.5364 ちょっと一休み その840 『アメリカの「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」の活動について』
これまで大富豪の社会貢献についてはアイデアよもやま話 No.3557 アメリカの大富豪が『格差是正』を訴える!などでお伝えしてきました。
また、Microsoftの共同創業者として知られるビル・ゲイツさんによる個別企業への投資を通じた社会貢献については何度となくお伝えしてきました。
そうした中、7月14日(木)付けネット記事(こちらを参照)でアメリカの慈善団体、「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」の活動について取り上げていたのでその一部をご紹介します。 

・Microsoftの共同創業者として知られるビル・ゲイツ氏は世界有数の大富豪であり、元妻のメリンダ・ゲイツ氏と共にビル&メリンダ・ゲイツ財団という慈善団体を立ち上げるなど、慈善活動家としても精力的に活動しています。
・そんなゲイツ氏が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックやロシアのウクライナ侵攻で引き起こされた「重大な苦難」を食い止めるため、2022年7月に200億ドル(約2兆7600億円)を財団に寄付すると発表しました。
・ゲイツ氏は7月13日に投稿したブログで、「メリンダと私は、すべての人に健康で生産的に過ごすチャンスがあるべきだというビジョンを前進させるために、2000年にビル&メリンダ・ゲイツ財団を立ち上げました」と述べています。
・その後の20年間で、政府・民間セクター・非営利団体・慈善団体などの努力により、5歳の誕生日までに亡くなる子どもの数は年間1200万人から600万人まで半減し、極度の貧困の中で暮らす人々の割合も半減したとのこと。
・ゲイツ氏は、(2020年に発生したCOVID-19の)「パンデミックの予防」「小児の死亡率低下」「ポリオなどの根絶」「食糧安全保障と気候変動への適応」「男女共同参画社会の実現」「教育成果の向上」「気候変動の緩和」といった目標を達成するため、さらにビル&メリンダ・ゲイツ財団の投資を加速するとしています。記事作成時点では、財団は年間60億ドル(約8300億円)をさまざまな分野に支出しているそうですが、2026年には支出額を年間90億ドル(約1兆2400億円)まで拡大できるよう予算を増やす予定だとのこと。
・大幅な予算増大を達成する足がかりとして、ゲイツ氏は「私は今月、財団の基金に200億ドルを送金します」と発表しました。また、「将来的には、自分や家族のために使う以外の財産は、すべて財団に寄付しようと考えています」「私は保有資産ランキングを後退し、最終的には世界で最も裕福な人々のリストから外れます」と、財産のほとんどすべてを寄付する予定であることも明言。「私は、大きな富を持ち特権的な立場にある他の人々も、この瞬間にステップアップすることを願っています」と述べ、他の資産家たちにも寄付を呼びかけました。
・なお、ゲイツ氏はブログの中で、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の資金の約半分は、世界最大の投資持株会社であるバークサー・ハサウェイ会長のウォーレン・バフェット氏が寄付したものだと述べています。バフェット氏は2006年以降、財団に357億ドル(約4兆9000億円)相当の株式などを寄付しており、寄付後に上昇した株式評価額を考慮すると総額は約450億ドル(約6兆2000億円)になるそうです。
・ビル&メリンダ・ゲイツ財団のCEOであるマーク・スズマン氏は7月11日に開催された食糧危機に関するセミナーで、ロシアのウクライナ侵攻で食糧安全保障に関する過去20年間の歩みがストップしたものの、農業生産性の向上は今後も引き継がれると指摘。「私たちにはツール、科学、そして知識があります」「私たちに必要なのは政治的意思と資源です」と訴えていたとのこと。今回の寄付を受けてスズマンCEOは、「ビル、メリンダ、ウォーレンの比類なき寛大さのおかげで、財団は現在および将来の健康と開発への厳しい逆風に対応する強い立場を築いています」と述べています。
・メリンダ氏は、「慈善事業は世界中の人々がパンデミックから回復し、非常に多くの人々を脆弱にしてきた基盤システムを再構築する上で、果たすべきユニークな役割を担っています。財団は20年以上にわたり、ビジョンと専門知識を持つ幅広いパートナーとの関係を築き、すべての人の進歩のペースを加速させてきました。今回の追加支出は、公正で包摂的な復興とより健康的で平等な未来を促進するため、パートナーの重要な活動を支援します」とコメント。
・ゲイツ氏は財団に寄せたコメントで、「過去数年間の世界的な大きな挫折にもかかわらず、私は世界中で信じられないほどの英雄主義と犠牲を目の当たりにしており、進歩は可能であると信じています」「しかし、私たちの時代の大きな危機は、私たち全員がもっと多くのことをすることを要求しています」と述べました。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

今回ご紹介したビル&メリンダ・ゲイツ財団は、「全ての人に健康で生産的に過ごすチャンスがあるべきだというビジョン」を前進させるために2000年にビル・ゲイツさんと元妻のメリンダ・ゲイツさんが立ち上げたといいます。
そして、ビジョンと専門知識を持つ幅広いパートナーとの関係を築き、すべての人の進歩のペースを加速させてきたといいます。
また、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の資金の約半分は、世界最大の投資持株会社であるバークサー・ハサウェイ会長のウォーレン・バフェット氏が寄付したものだといいます。
更に、ビル・ゲイツさんは「将来的には、自分や家族のために使う以外の財産は、全て財団に寄付しようと考えています」とおっしゃっています。

確かに、健全な社会の実現の課題として「格差の是正」はとても重要です。
「格差の是正」により消費の総量が拡大し、新たな生産につながり、こうしたサイクルが経済を活性化させるからです。
しかし、世界的に「格差の是正」を実現させるには時間がかかります。
そこで、ビル&メリンダ・ゲイツ財団のように、大富豪が資金を出して、健全な社会の実現に向けて取り組むという動きはとても理にかなっていると思います。

なお、No.5160 ちょっと一休み その807 『コロナ禍の影響で更に格差拡大!でお伝えしたように、世界上位1%の超富裕層の資産が今年、世界全体の個人資産の37.8%を占めたことが、経済学者ら100人超による国際研究で分かったのです。
ですから世界中の超富裕層の多くの方々がビル&メリンダ・ゲイツ財団の活動に共鳴して、それぞれの知恵を絞って同様の活動に取り組めば、国際社会の大きな課題である「格差の是正」を解決させることが出来ると思うのです。
そして、「格差の是正」の解決は消費の活性化につながり、こうした超富裕層の方々に新たな利益をもたらすことになるのです。
ということで、世界中の超富裕層の方々には、“莫大な富”というパワーを最大限に生かして社会貢献を果たしていただきたいと思います。

なお、こうした流れを加速させる手段として、超富裕層の方々の優れた社会貢献に対して与えられるノーベル賞のような国際的な賞を創設するのもいいのではないかと思います。

 
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