2022年05月13日
アイデアよもやま話 No.5267 なぜ中国のゼロコロナ政策は失敗しているのか!
プロジェクト管理と日常生活 No.744 『今更ですが、今年の世界の「10大リスク」を見ると・・・』で今年の世界の「10大リスク」についてお伝えしました。
そうした中、1月24日(月)放送の「視点・論点」(NHK総合テレビ)でも同様のテーマについて少し詳しく取り上げておりました。
今回は、この番組の中から「なぜ中国のゼロコロナ政策は失敗しているのか」に焦点を当ててご紹介します。 

今年の世界の「10大リスク」を作成したユーラシア・グループの代表で国際政治学者のイアン・ブレマーさんは次のようにおっしゃっています。
「(「10大リスク」のトップ「中国のゼロコロナ政策の失敗」の理由について、)パンデミックが変わったからです。」
「最初の2年間、中国はパンデミックの対応に最も成功した経済大国でした。」
「なぜなら、追跡や封鎖など、驚異的な能力があったからです。」
「これはワクチンや治療薬がなく、ウイルスの致死率が高い場合は合理的です。」
「ですが、オミクロン株は違います。」
「はるかに感染力が強いものの、致死率は高くないため、感染者数ではなく、入院や死亡に焦点を絞る必要があります。」
「我々はワクチンや治療薬を手に入れました。」
「中国はゼロコロナ政策を変える必要がありますが、政府は拒んでいます。」
「感染者数がわずかでも都市封鎖に踏み切っているのです。」
「オリンピックや習近平国家主席が3期目を目指す党大会を控えて、中国が急に方向転換するのは非常に難しいでしょう。」
「これは、中国がウイルスにうまく対処出来ないだけでなく、世界第2位の経済大国は休業やサプライチェーンの問題に直面し、世界にとってはインフレを意味します。」
「経済を再開した先進国からの需要に対して、供給を担う中国で休業が続けば、それは世界経済によくありません。」

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

今現在、なぜ中国のゼロコロナ政策は失敗しているのか、そして世界的な影響について、イアン・ブレマーさんの指摘を以下にまとめてみました。
・最初の2年間、ワクチンや治療薬がなく、ウイルスの致死率が高い状況において、追跡や封鎖(ロックダウン)など中国のゼロコロナ政策は世界的に最も成功した
・しかし、その後、発生した変異株、オミクロン株ははるかに感染力が強いものの、致死率は高くないというようにパンデミックの内容が変わり、感染者数ではなく、入院患者数や死亡者数に焦点を絞る必要があり、一方でワクチンや治療薬を手に入れた
・従って中国政府はゼロコロナ政策を変えるべきであったが、相変わらず感染者数がわずかでも都市封鎖に踏み切っている
・そこには、オリンピックや習近平国家主席が3期目を目指す党大会を控えて、中国が急に方向転換するのは非常に難しいという背景がある
・こうした中国政府の対応は、中国がウイルスにうまく対処出来ないだけでなく、世界第2位の経済大国が休業やサプライチェーンの問題に直面し、原料などの世界的な供給不足、およびインフレをもたらし、経済的に悪影響を及ぼしている

なお、5月9日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)では、上海日本商工クラブが上海の日系企業の工場の稼働状況を聞いたところ、「全く稼働していない」と答えた割合が63%、「3割以下の生産」と答えたのが28%ということでした。
ですから、9割以上はほとんど稼働していない状況ということになります。

また、5月11日(水)付けネット記事(こちらを参照)によれば、中国が進めるゼロコロナ政策についてWHO(世界保健機関)のテドロス事務局長も5月10日、「持続可能ではない、別の戦略に移行することが非常に重要だ」と述べ、中国は方針転換が必要との考えを示しております。

こうしてみると、以下のことが言えます。
・中国共産党にも独裁政権にありがちな、自らの政策の失敗を素直に認めて政策変更をせず、正当性を維持しようとして、環境の変化に柔軟に対応出来ないという弱点があることを露呈したこと
・経済のグローバル化は、中国のような経済大国の国内のサプライチェーンの問題が中国国内のみならず世界経済にも大きな影響を及ぼすこと

なお、こうした世界経済への悪影響は、ロシアによるウクライナ侵攻により更に大きくなっております。
今、世界各国にとってとても不幸なのは、経済大国であり軍事大国でもある中国の習近平政権による硬直したゼロコロナ政策、および軍事大国であるロシアのプーチン大統領の暴走としか言えないような、時代に逆行した暴挙が中国やウクライナ、あるいはロシアの国民だけでなく、世界中の人々の暮らしに悪影響を及ぼしていることです。
ですから、習近平国家主席もプーチン大統領も今や“裸の王様”状態と言えます。

一方、肝心の民主主義陣営のリーダー国、アメリカにおいても“アメリカファースト”を唱えて、国際社会から距離を置いていたトランプ前大統領の支持者が相変わらず半数近くいるというのも事実です。

では、こうした独裁政権の弊害の排除、あるいは国際社会をリードすべき世界一の経済大国、および軍事大国であるアメリカにおいて自由、平等、人権の尊重、あるいはSDGs(参照:No.4578 ちょっと一休み その710 『日本も国家としてSDGsに真剣に取り組むべき!』)に積極的に取り組むような大統領を輩出出来るようにするためにどのように対処すべきかですが、やっぱり原点は各国の国民のあり方だと思うのです。
そして、望ましい国民のあり方として以下の要件が挙げられます。
・自由、平等、人権の尊重、あるいはSDGsなど、社会のあり方について、十分な理解をしていること
・フェイクニュースなどに惑わされず、真実に向き合うこと

ですから、いかなる国においても、こうした望ましい国民のあり方の要件を満たすための環境がとても重要になります。
こうして考えを進めていくと、やはり“まず中国共産党ありき”の中国共産党が収める中国や暴走するプーチン大統領を誰も抑えられないロシアでは望ましい国民のあり方の要件を満たすような環境づくりは期待出来ません。
また、アメリカにおいても“アメリカファースト”を掲げるような大統領が半数近くの国民から支持されているという現実も望ましい国民のあり方の要件を満たすような環境が出来ているとは言えません。

ということは、現状のままでは今のような中国やロシアに起因する問題、あるいはアメリカが抱えるリスクを解消するためには国民のあり方の要件を満たすべく国際レベル、および各国での取り組みが求められるのです。
そこで、世界的にこうした取り組みを進めるうえで、“平和憲法”を唱え、世界第3位の経済大国である日本国にも世界的に貢献出来る役割があります。
いろいろな役割が考えられますが、特に私がお勧めの施策はSDGs国際大学(仮称)を日本国内に創設することです。
その狙いはSDGsを体現した人材の育成です。
そしてその具体的な内容は以下の通りです。
・世界中からSDGsに関連した優れた指導者を高収入で教授として招く
・世界中から有能な若い人材を学生として招く
・これらの人材が帰国後にSDGsの指導者として活躍出来るように支援する
・学生の授業費や滞在費などは全て国が支給する

国のあり方として、国家、あるいは経済の安全保障は勿論とても大事です。
しかし、単に世界各国が経済戦争、あるいは軍拡競争に突っ走るだけでは格差の拡大、あるいは覇権主義のまかり通る国際社会になってしまう可能性が高まってしまうのです。
そして、結果としてそれぞれの国がどのような国家になるか、煎じ詰めればそのベースは国民のあり方のレベルにかかっているのです。
ですから、先ほどお伝えしたように、望ましい国民のあり方として上記の2つの要件を満たすような国民が世界的により多く暮らせるような社会を目指すべきなのです。
こうした社会を実現するうえでの一つの施策(案)がSDGs国際大学ということなのです。
ということで、もし国政の企画立案に携わっている政府関係の方がこのブログをご覧になったら、是非この案の検討をしていただきたいと思います。

 
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