2022年03月23日
アイデアよもやま話 No.5223 今やモーターショーの主役はEV!?
昨年11月19日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で「2021 ロスアンゼルス自動車ショー」について取り上げていたのでその一部をご紹介します。

2年ぶりに開催された「2021 ロスアンゼルス自動車ショー」は、EVの新興メーカーによる新型車の発表が目立ちました。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響でショーの開催自体が危ぶまれていたことなどもあり、大手自動車メーカーの出展は総じて控えめなものになりました。
そんな中、日本勢で唯一新型車を発表したのがスバル、トヨタと共同開発した初のEV「ソルテラ」です。
スバル 商品企画本部の開発責任者である小野大輔さんはEVに対する反応の良さに驚きを隠せません。
そして次のようにおっしゃっています。
「アメリカの皆さんがこんなに環境に対してしっかりと考えられていて、スバルのEVをお待ちいただいていたことに正直驚きました。」

今回のショーで発表された新型車のほとんどがEV、その多くは販売実績の無い新興メーカーのものでした。

中でも注目を集めたのは2016年に創業し、2020年にニューヨーク証券取引所に上場したフィスカーです。
その最大の特徴は工場を持たないことです。
デザインやシステム開発を手掛けますが、クルマの製造は外部に委託するのです。
この日、発表したのは2022年11月に発売予定のEV「オーシャン」、製造を委託するのはカナダの自動車部品大手、マグナ インターナショナルです。
フィスカーのヘンリック・フィスカーCEOは次のようにおっしゃっています。
「一番安いモデルは3万7499ドル(約430万円)で、航続距離は約400km、時速96mに6.9秒で達します。」

創業者のフィスカーさんは有名な自動車デザイナー、アストンマーチンやBMWなどで手掛けたクルマは映画007の「ボンドカー」にも選ばれました。
そのフィスカーさんが今回、テレビ東京の単独取材に応じました。
乗ってきたクルマはPHVの「カルマ」です。
フィスカーさんが2007年に設立した最初の会社で世に出したクルマです。
しかし、その「カルマ」はバッテリーの不具合によるリコールなどトラブルが相次ぎ、設立6年目の2013年に経営が破綻しました。
今回が2度目の挑戦です。
フィスカーさんは次のようにおっしゃっています。
「失敗から学ぶことは多い。」
「教訓を生かして同じ過ちを犯さなければ大きなアドバンテージになる。」

今回発表した「オーシャン」は実用的なSUV、ルーフにはソーラーパネルを設置するなど、環境意識の高い若者などにアピールします。
クルマの中のインテリアも環境に配慮しています。
素材は全てビーガン(完全菜食主義者)、動物由来のものは一切使っていません。
シートも海に捨てられたプラスチックのゴミや漁で使われる網などが使用されています。
フィスカーさんが諦めない理由、それは製造を委託するクルマづくりを成功させ、EV時代の覇権を握るという強い想いです。
フィスカーさんは次のようにおっしゃっています。
「アップルの成功体験を参考にした。」
「顧客体験と製品を重視している。」
「一方でユーザーは自分のiPhoneがどこで製造されたか気にするだろうか。」
「(アップルの)ティム・クックCEOが製造ラインを視察する様子を見たことがあるだろうか。」

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

ちなみに、フィスカーについては以前、アイデアよもやま話 No.1340 スーパーカーの世界にも”エコカー”の波!でもお伝えしておりました。

まず、「2021 ロスアンゼルス自動車ショー」で発表された新型車のほとんどがEVで、しかもその多くは販売実績の無い新興メーカーのものだったという状況には驚きます。
同時に、国内に比べて海外のEVシフトの動きの素早さをあらためて感じます。
日本からはスバルがトヨタと共同開発した初のEV「ソルテラ」を出展していましたが、EVシフトの流れの中で好評を博したといいます。

中でも注目を集めたのは2016年に創業し、2020年にニューヨーク証券取引所に上場したEVメーカー、フィスカーについて、その特徴を以下にまとめてみなした。
・最大の特徴は工場を持たないことで、デザインやシステム開発を手掛けるが、クルマの製造は外部に委託する
・創業者のフィスカーさんは有名な自動車デザイナーである
・フィスカーさんが2007年に設立した最初の会社はリコールなどトラブルが相次ぎ、設立6年目の2013年に経営が破綻したので今回は2度目の挑戦である
・フィスカーさんは「失敗から学ぶことは多い」と考えている
・今回発表した「オーシャン」は実用的なSUV、ルーフにはソーラーパネルを設置するなど、環境意識の高い若者などにアピールしている
・クルマの中のインテリアも環境に配慮している
・フィスカーさんは製造を委託するクルマづくりを成功させ、EV時代の覇権を握るという強い想いを持っている
・フィスカーさんはアップルの成功体験を参考にしている

次に番組を通して、EVシフトに伴うクルマづくりの特徴を以下にまとめてみました。
(環境への配慮の製造過程への反映)
・CO2排出量ゼロのバッテリーを動力源に使用
・ルーフソーラーパネルの設置(参照:アイデアよもやま話 No.5222 年間1800km分をEVのルーフで発電!
・ビーカンやプラごみなどをインテリアの素材に使用

(デザインの変化)
・デザインの自由度の拡大

(走行性能の向上)
・モーターを駆動力にすることで加速力など走行性能の向上
・走行中の室内の静粛性の向上

(企業形態の多様化)
・部品点数の減少に伴い、水平分業型の事業展開がし易い(こちらを参照)
・IT業界を中心に異業種からのEV業界への参入がし易い

(投資機関からの資金提供)
・EV関連ビジネスの将来性が期待されているので、投資機関からの投資が受けられ易い
・従ってベンチャー企業でもEV業界に参入し易い

なお、デザインはクルマを購入する際に大きな要素であり、その自由度がガソリン車に比べてEVでは拡大するので、これまで以上に自動車デザイナーの能力が販売台数に影響を与えると見込まれます。

 
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