2022年02月04日
アイデアよもやま話 No.5183 フェイスブックが社名を「メタ」に変更した背景!
昨年10月29日(金)放送の「モーサテ」(テレビ東京)で社名を「メタ」に変更するフェイスブックについて取り上げていたのでご紹介します。

フェイスブックは昨年10月28日、社名を「メタ」に変更すると発表しました。
インターネット上の仮想空間、メタバースの開発を事業の中核に据える姿勢を示したかたちです。
ザッカーバーグCEOは以下のようにおっしゃっています。
「我々の新たな姿を反映して社名を「メタ」に変更する。」

ファイスブックが従来のSNSに加えてVR(仮想現実)などの分野に注力することを反映する変更だと説明しています。

フェイスブックを巡っては子どもへの悪影響を示す調査結果を隠したとする内部告発などもあり、企業体質への批判が高まっています。
社名変更でイメージを刷新し、メタバースなどの新しい事業に注力する狙いがあると見られます。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

また、1月22日(土)放送の「マツコ会議」(日本テレビ)ではメタバースで人生が変わった2人のクリエイターと中継していたのでその一部をご紹介します。

なお、番組ではメタバースを「ネット上のもう一人の自分、アバターの目線で他の利用者とのコミュニケーションを楽しめる仮想空間」と説明しています。
そこではライブやショッピングなど、現実と変わらない体験が出来、2年後には市場規模90兆円の予測もあります。(出典:経済・金融情報サービス会社 Bloomberg)

メタバース上で活躍中のクリエイターの1人目は、昼は蕎麦屋(東京・本郷)の店主、夜はメタバース内で独特な仕掛けを施した空間「ワールド」を作成する田名部康介さん(45歳)です。
なお、「ワールド」とはメタバース内の道路、建物、空に至るまで目に見えるもの全てを含んだバーチャル空間を意味しています。
田名部さんは約2週間で1つの「ワールド」を完成させるといい、これまで200以上の「ワールド」を作り、メタバース界では一躍有名人になっています。
メタバース界で話題を呼んでいる田名部さんによる「ワールド」には「鳥人間コンテスト」、「人間チャーハン」、「カワイイファンタズム」などがあり、そのシュールな世界観が人気になっています。

田名部さんがメタバースと出会ったのは4年前、素人ながら独自の感性で作ったメタバースの世界が話題を呼んでいます。
自分の分身となるアバターを介して、実際の顔も名前も年齢も知らない人たちと友達になっていくのが楽しく、メタバースの世界にのめり込んだといいます。
田名部さんは「VRのなかでは人と人が魂で会話している感じ」「剥き出しですね」と語り、メタバースで出会った女性と結婚しています。
田名部さんは次のようにおっしゃっています。
「VRで自分の性格が変わっていったのが自分の発見というか、VRの性格が自分の本当の現実の性格に侵食していく感じがありました。」

「うちの奥さんがシンガポール人なんです。」
「彼女は元々現実の方では他のSNSをいっぱいやっていたんですけど、既存のSNSに疲れてVRに行ったらしいです。」

「(メタバースではお互いにロボットの姿をしているので)相手の容姿なんて全然わかんないんですよ。」
「自分は言葉とか口調とかで彼女の性格、内面が好きになって、メタバースの中で告白をしました。」

一方、奥さんは次のようにおっしゃっています。
「メタバースで長い間話して性格を知れたので安心して・・・」
「イイ感じです。」

2人目は、元テレビマンで、現在は自分の描いたイラストを多くの人に知ってもらうため、メタバース内に美術館を設立して活躍している愛知県在住の池本将さん(29歳)です。
ディレクター時代に「100パーセント自分の思いをのせた作品を作りたい」との思いから、得意だったイラスト制作を開始し、1歳の娘に絵本を贈ることを決意しました。
その後、自分の絵のデジタルデータをネットに出品してみたところ1枚40万円で売れ、これまでに200万円以上も売り上げました。
そこで制作会社を退職し、目を付けたのがメタバースでした。
1ヵ月かけて様々なパーツを一つひとつ配置し、メタバース内に美術館を立ち上げました。
この美術館について、池本さんは次のようにおっしゃっています。
「2階建てなんですけど、これは1階の展示室になります。」
「いろんなアーティストさんの作品が飾られていると。」
「実写の写真もありますね。」
「気に入った作品があったら、それをクリックするとマーケットに飛んで直接買うことが出来る、もうそこまで来ています。」

今、盛り上がりを見せているのがデジタルアート市場、昨年の取引総額は約4.7兆円、NFT(参照:アイデアよもやま話 No.5048 “デジタルの価値”を生む新技術「NFT」!)という技術でデジタルデータの所有者を明確にすることが出来るようになり、高額取引が増えているのです。
ちなみに鉄腕アトムをテーマにした作品は約5300万円で売買されました。
このメタバース内の美術館も今後大きなビジネスにつなげたいそうです。
池本さんは次のようにおっしゃっています。
「(美術館に)展示していただいていたんですけども、あれって「美術館に飾りたい人は権利を買ってね」っていうふうに展示権を販売しているんですよ。」
「(その展示権の収益は池本さんの収益になるのかという問いに対して、)そうですね。」
「自分で広告枠をつけることも出来るんですよ。」
「「美術館のスポンサーになりたい人いませんか」というふうに募集して、そこに対して広告画像を掲載する。」
「で、それがいくらですよっていうのが、ちょうど昨日売れました。」
「価格は全部自分で決めます。」
「(そこでやれることは現実とあまり変わらないことが出来るということなのかという問いに対して)、そうですね、それ以上のことが出来ます。」

「僕、今、娘に贈る絵本を描いているんですよ。」
「絵本に出てくるお化けを世界に届けられたらと。」
「で、メタバースにお化けのテーマパークみたいなのを作ったりとかしたいなと思っています。」
「ムーミンを超えたいです。」

池本さんの美術館では、絵を展示・販売するだけではなく、様々なビジネスが出来るといいます。

以上、メタバースで活躍中の2人のクリエーターの取り組みについて、その一部をご紹介してきました。

2つの番組を通して、まず感じたのはSNSやネット通販といったインターネットを基盤としたビジネスがかなり成熟してきて、そろそろネット関連マーケットの次のニューフロンティアは何かないかという機運が生まれてきたということです。
そして、2年後の2024年にはメタバースの市場規模90兆円との予測もあることからフェイスブックはいち早く社名を「メタ」に変更してまでしてメタバースの市場に軸足を移そうとしていることが伺えます。

一方、個人レベルでもメタバースをきっかけに、田名部さんや池本さんのようにこれまで眠っていた潜在的な才能が始動し始め、いち早くメタバースの世界で話題を集める存在になっている人も現れたのです。
こうしたメタバースというニューフロンティアで活躍するベンチャー企業の中からGAFAM(参照:No.4800 ちょっと一休み その745 『コロナ禍で膨張するGAFAM!』)に取って代わる企業が生まれてくるのです。

ということで、以下にメタバースの特徴をまとめてみました。
(インフラ技術の進化)
  誰でもアイデア次第で比較的簡単に、しかも短期間に一つのメタバースを完成出来る

(メリット)
個人:
・自分のなってみたい複数の人物としてメタバースを体験出来る
・容姿など普段の自分の外見を伏せて、精神的に解放された自分を表現出来る
・外見を抜きに他人と精神的にコミュニケーションを取ることが出来る
・現実を模したメタバースでは実店舗に出向かなくても実店舗に行ったような気分で買い物やウィンドウショッピングが楽しめる
・現実にはあり得ない様々なメタバースを体験出来る
・より一層在宅勤務などリモートワークがし易い環境が出来る

ビジネス:
・個人でもメタバースのサプライヤーになり得る
・実店舗を持たなくても、メタバース上に実店舗に近いかたちの仮想店舗を作ることが出来る
・映画館や劇場、レジャー施設など、仮想の様々な施設を低コストでしかも短期間に作ることが出来る
・どんなビジネスを展開するにしても現実の世界のような事業に必要な敷地面積の制約がなく、無限の広さの仮想空間を使うことが出来るのでこれまで実現不可能だった多くのアイデアをかたちに出来る可能性を秘めている

(ディメリット)
・メタバースという新たな犯罪空間が生まれる
・メタバースの普及が人々に与える精神的な悪影響の大きさが読めない

 
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