7月31日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でコロナ禍で膨張するGAFAMについて取り上げていたのでご紹介します。
アメリカの巨大IT企業、グーグル(Google)、アマゾンドットコム(Amazon.com)、フェースブック(Facebook)、アップル(Apple)の4社、GAFAは新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、3社が増収増益となり、好調ぶりを示しましたが、アメリカ国内では富の独占だとして批判も強まっています。
7月30日、相次いで決算発表(2020年4−6月期)をしたGAFAですが、その内容は以下の通りです。
アルファベット(グーグルの持ち株会社):
広告費の落ち込み
純利益役7300億円(前年比約30%ダウン)
アマゾンドットコム:
ネット通販事業の高まりで過去最高益
純利益約5500億円(前年比100%アップ)
フェイスブック:
利用者の増加
純利益約5400億円(前年比98%アップ)
アップル:
テレワークや学校のリモート授業の増加
純利益約1800億円(前年比12%アップ)
こうした状況について、解説キャスターで日経ビジネスの編集委員、山川龍雄さんは次のようにおっしゃっています。
「GAFAにマイクロソフトを合わせてGAFAMなんですけど、時価総額が約600兆円がいかにすごいかというと、日本の名目GDPが約552兆円(2019年度)ですから、それより大きいんですよね。」
「(GAFAMが巨額の資金、巨額の力を持っているということで国家が警戒している状況について、)なんで警戒されているか、3つ挙げておきたいんですけど、1つはトップ企業が総取りする、そしてコロナのもとでみんな困っている時にデジタル化が進みましたから“コロナ焼け太り”になっているんじゃないか、もう一つは儲けの割には投資・雇用・納税が少ないんじゃないか、この点で非常に今批判を浴びているということですね。」
「(そうするとデジタル課税が議論されることになるというのでは指摘に対して、)まさに今年の課題はそこですね。」
以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。
まず驚くのはGAFAMの5社だけの株式の時価総額が日本の名目GDPを超えているという事実です。
ではなぜこのように極めて少数の巨大企業の時価総額が大きくなったかですが、従来の企業は巨大企業と言えども人手に依存する部分が多く、従業員数に依存する売り上げには限界がありました。
ところが、今の巨大企業はインターネットをベースにITやAIを駆使した“デジタル化”を武器にビジネスモデルを展開しているので売り上げが伸びてもそれに比例して従業員を増やさないで済むのです。
まさに“果報は寝て待て”ではないですけども、システムを一旦構築すれば、後はそのシステムが従来のように従業員数を増やさずに稼ぎ続けてくれるのです。
ということで、今話題のDX(デジタルトランスフォーメーション)はこれから本格化していきますから、GAFAMに限らず多くの企業がデジタル化を進めていきます。
ドローンによる配送やコンビニの“無人店舗”など一部では既にDXが実現されようとしています。
こうしてDXがあらゆる企業に浸透していくとどうなるでしょうか。
当然、企業にとって必要なのは原則としてITやAI関連など特定の技術者のみになるので雇用市場は大変な勢いで縮小していきます。
ですから今格差社会化が問題になっていますが、その傾向は増々ひどい状況になってしまいます。
では人々の暮らしを守るためにどのような仕組みが必要になるでしょうか。
私は2つあると考えています。
1つ目はベーシックインカム制度の導入です。(参照:アイデアよもやま話 No.4568 コモディティ化が急速に進むテレビ!)
この制度により、少なくとも全ての国民が必要最小限の暮らしを維持することは出来るようになります。
しかし、“人はパンのみにて生きるにあらず”と言われているようにこうした制度だけでは人は心豊かな暮らしをすることは出来ません。
そこで2つ目は1日の労働時間の時間短縮や週休3日制、あるいは週休4日制などの導入です。
こうした制度によりより多くの人たちが働ける場を確保出来るのです。
ただし、ここで必要とされる人材はITやAI、あるいはマーケティングなど特定の分野でスキルのある人材、すなわちDX時代に求められる人材なのです。
ですから、DX時代という、将来を見据えた教育の見直しが喫緊の課題になるのです。
不幸にして、これまでの政権はDXについて何年も前から検討していながら、その政策実現に取り組んできませんでした。(参照:No.4788 ちょっと一休み その745 『DXの重要性について認識不足だったこれまでの政権!』)
その結果、コロナ禍で露呈したように日本は米中、あるいは台湾や韓国などにデジタル化で大変な遅れをとってしまっているのです。
ですから、菅政権にはこうした後れを挽回して未来志向の社会実現に向けて突き進んでいただきたいと思います。
そうでなければ、日本国民にとって明るい将来は期待出来ないのです。