2022年01月01日
プロジェクト管理と日常生活 No.726 『中国が世銀「ビジネス環境ランキング」を不正操作』
このブログをご覧の皆さま、新年あけましておめでとうございます。

一昨年来、新型コロナウイルス感染の大きな波が繰り返し発生し、未だ収束の見通しが立っておらず、今も世界各国は感染拡大の危機に直面している状態です。
しかし、昨年の年初にもお伝えしたように過去の感染症がそうであるように、コロナ禍もいずれ終息を迎える時が必ずやってきます。

こうした中、このブログをご覧の皆さまが少しでも前向きな気持ちになれたり、多少なりとも何かのお役に立てればとても幸いです。
ということで、本年もよろしくお願いいたします。

さて、年初に中国の覇権主義の世界展開をテーマに取り上げるのは多少気が引けるのですが、やはりこうした中国の一連の行動が世界平和の観点からとても気になるので取り上げることにしました。

昨年9月20日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で中国による世銀「ビジネス環境ランキング」の不正操作について取り上げていたのでご紹介します。
なお、日付は全て番組放送時のものです。 

世界を驚かせているのがあの世界銀行(世銀)が不正を働いていたというニュースです。
世銀が毎年公表しています「ビジネス環境ランキング」(2018年)で、不正操作があったと世銀自身が発表しました。
解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田洋一さんは次のようにおっしゃっています。
「これが先週発表された調査報告書なんですけども、具体的に言いますと、中国の当局者が世銀の総裁だったキムさんに「ランキング上げてよ」って圧力をかけたわけですよね。」
「それに忖度して順番を85位から78位に上げたんですけども、その過程では当時のCEO、今のIMF専務理事のゲオルギエバさんも関与していたとこの報告書で指摘しています。」
「大問題と言っていますね。」
「(この問題が深刻なのはこの「ビジネス環境ランキング」は国際的な重要な基本データでこれをもとにどの国に投資するかというのを企業などは考えていくわけですし、各国の政府もこれを重視しているわけですが、ここに不正があったということについて、)その背景にあるのは当時、世界銀行が増資を考えていたんですよね。」
「中国マネーが欲しかったので忖度したんですけども、今ちょうど中国がTPP、「環太平洋戦略的経済連携協定」参加を正式に申請しているじゃないですか。」
「その過程でも似たようなことが起きてはいけないわけで、ここは相当目を光らせる必要があると僕は考えます。」
「(経済力で物差しをゆがめるのは絶対あってはならないという指摘に対して、)札束外交はやっぱり品が良いとは言えません。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

中国と言えば、香港や新疆ウイグル地区での人権問題で国際的に非難の声が高まっています。
またテニスの元ダブルス世界1位、中国の女子テニス選手、彭帥(ほう・すい)さんと張高麗元副総理との関係の真相についても中国当局などが関連情報を発信すればするほど増々疑惑が高まっています。(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.725 『中国の女子テニス選手を巡る問題の行方』

また国際的にも南シナ海においても国際法を無視して人工島の建設を強行してしまいました。
また、中国に不利な発言をした国に対しては経済的な報復措置をしてきています。(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.688 『オーストラリアへの経済制裁に見る中国の脅威とその対応策!』
更に、国連においてもその支配力を強めています。(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.688 『オーストラリアへの経済制裁に見る中国の脅威とその対応策!』
今回ご紹介した、世銀に圧力をかけて「ビジネス環境ランキング」の不正操作をさせた一件はこうした流れの一環と言えます。
また軍事力においても近い将来アメリカを凌駕するほどに強化を進めています。

こうして習近平国家主席率いる中国共産党政権の人権無視、あるいは覇権主義の世界展開の根底には“まず中国共産党ありき”で国内外を問わず、あらゆるものは中国共産党の政権維持のためのツールに過ぎないという中国共産党の基本方針があるのです。(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.688 『オーストラリアへの経済制裁に見る中国の脅威とその対応策!』
そして、中国共産党は今も着々と世界制覇に向けて、中国に対する国際的な非難は身勝手な論理で反論し、一切の反省なしに突き進んでいると言えるのです。

仮にもし中国共産党が経済的にも軍事的にも世界制覇を果たしたならば、その後の国際社会は自由や人権が無視される“暗黒の世界”の中で暮らすことになることは間違いありません。
全ては中国共産党存続のための手段と化すことになるからです。

ということで、年初から皆さんに中国の脅威について煽り立てるつもりはないのですが、こうした現実のうえに立って、アメリカを中心とする民主主義陣営の国々にはこうした中国の脅威におけるリスクに立ち向かっていただきたいと思います。
勿論、その対応策は平和的な解決を最優先し、軍事的な対応策は最後の最後の手段であるべきなのは言うまでもありません。
なお、平和的な解決の具体的な方針ですが、自由、人権の尊重、SDGsなど、国際的なルールに反しない範囲においてはWinWinの関係が成立する分野では積極的に中国に働きかけてともにメリットを享受することが考えられます。

 
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