３Ｄプリントについてはこれまでアイデアよもやま話 No.4921 ３Ｄプリントの２階建て住宅！などで何度となくお伝えしてきました。
そうした中、５月１３日（木）放送の「あさチャン！」（ＴＢＳテレビ）でアメリカで進む３Ⅾプリント住宅村構想について取り上げていたのでご紹介します。
アメリカ・カリフォルニア州にある企業、マイティ・ビルディングスが３Ⅾプリント技術を住宅の建築に活用して注目されています。
今や、製造業や医療などで幅広く活用されている３Ⅾプリントは住宅建築にも使われるようになりました。
この企業が建築したモデルハウスは、広さ３０�屐∩襪�大きく開放的に感じます。
その壁や天井の大部分が３Ⅾプリンターを使って作られています。
マイティ・ビルディングスのケンブリア・フォーデンさんは次のようにおっしゃっています。
「壁の内側に３Ⅾプリントされた素材があります。」
「壁全体にわたって使われていて、２４時間以内にプリント出来ます。」
この住宅、サンフランシスコの近くにある一つの工場で壁材などの生産や組み立てが行われているのも特徴です。
巨大な３Ⅾプリンターで作っているのは壁の部分で、同じものを同時に２つ作っていきます。
ペースト状の素材は紫外線を当てるとすぐに固まるといい、カーブしているうえに空洞がある特殊な構造だとしても約６時間で高さ１．２ｍにまで達しました。
この素材はコンクリートよりも軽くて丈夫だということです。
更なる省力化を目指してこの会社は骨組みを除く全体の８割を３Ⅾプリンターで作る技術も持っています。
この３Ⅾプリント住宅は環境面とコスト面、この２つのメリットがあるといいます。
３Ⅾプリンターならピッタリ同じサイズのものを量産出来るので平均的な大きさの木造住宅と比べ建築廃棄物を９割以上削減し、これはＣＯ２、２〜３トン分の排出カットに相当するそうです。
また、工場で生産するため、資材などの輸送費や人件費を圧縮出来、割安で供給が可能になります。
このサイズなら輸送費込みで約２０００万円です。
この企業のサム・ウベン共同創業者は次のようにおっしゃっています。
「ＣＯ２の１１％は建築産業、２８％は住宅から排出されています。」
「気候変動に対処しながら（高騰する）住宅供給問題も解決したいのです。」
来年にはこの住宅だけで作ったコミュニティがロサンゼルス近郊に誕生する予定で、電気を全て太陽光発電で賄うということもあって、環境問題に関心がある人を中心に注文が相次いでいます。
購入を決めた人は次のようにおっしゃっています。
「コンセプトが素晴らしいです。」
「太陽光で電気も自給できるので、ある種の“未来”ですね。」
順番待ちは８００人に上っているそうで、関心の高さを物語っています。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
ここであらためて従来の住宅建築工法と比較した３Ｄプリント住宅のメリットについて以下にまとめてみました。
・短期間に完成出来る
・低コストで建築出来る
・人手を介さずに大量生産が出来る
・使用する素材によってはコンクリートよりも軽くて丈夫である
・複雑な形状の住宅も建築出来るのでこれまで不可能とされた複雑なデザインの住宅も建築出来る
・平均的な大きさの木造住宅と比べて建築廃棄物を９割以上削減出来るので、その分ＣＯ２の排出カットも出来る
ということで、３Ｄプリント住宅はまだまだ発展途上なので、そのメリットを生かしつつ産業として発展していくと見込まれます。
なお、こうした流れで気になるのは木造住宅です。
やはり木造住宅には３Ｄプリント住宅にはない“木のぬくもり”という独特の魅力があり、木造住宅に対する引き合いは無くならないと思うので、将来的には３Ｄプリント住宅と木造住宅とが併存すると思われます。
さて、アイデアよもやま話 No.3603 自動車をめぐる新たな動き その８ ３Ｄプリンターで自動車が造れる時代の到来！でもお伝えしたように、今や３Ｄプリントはそのメリットを生かしつつ、住宅業界に限らずあらゆる業界で展開されていくと見込まれます。
ですから、半導体やＡＩ、ロボットなどと並んであらゆる産業界での基幹技術の一つになるのは間違いなさそうです。
TrackBack (0)｜ by e-an
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
