2017年の年初にあたって、主に昨年後半にあった自動車をめぐる新たな動きについて、これまで7回にわたってバッテリー、政府の政策、自動運転、そして未来の自動車のかたちに焦点を当ててご紹介してきました。
最後の8回目は、3Dプリンターで自動車が造れる時代の到来についてです。
3Dプリンターは短期間のうちに普及が進み、今や個人向けの10万円前後の商品まで登場してきています。
そうした中、自動車の生産現場でも3Dプリンターの導入が進みつつあります。
まず、昨年4月24日付け、および11月21日付けのネットニュースよりご紹介します。
(出典:http://car-moby.jp/5668、https://carnny.jp/2590#a1-1)
なんと3Dプリンターを使って作られたスーパーカーが登場しました。
それはサンフランシスコのDivergent
Microfactories社(DM)が開発した「Blade」です。
「Blade」の車体は、アルミ素材で3Dメタルプリントされたジョイントパーツに既成のカーボンパイプを利用し組み上げる超軽量&低コストシャーシを使用しており、タイヤやガラス以外は全て3Dプリントされているです。
3Dプリンターを使用しているのはシャーシ部分の製造で、DM社の「Node」という製造技術により組み立てられています。
「Node」とは、3Dプリンターで生産したアルミニウムジョイントをカーボンファイバー製のチューブで結合することで自動車のシャーシを組み上げるというものです。
車体の軽量化やシャーシ組み立て時間の短縮、製造時のCO2排出量の大幅削減を実現したといいます。
人の手で簡単に組み立てられるというのが、従来との大きな違いです。
組み立ての簡素化、時間の短縮、また製造時のCO2排出量も削減できて、環境にもやさしい製造技術です。
なお、今回、3Dプリンターを使用しているのはシャーシ部分だけですが、今後ボディや様々なパーツが3Dプリンターによって生み出されることもすぐのはずです。
「Blade」の性能は700馬力、加速性能は0ー100km/hまで2.2秒で、車体重量が1400ポンド(約635kg)といいますから、相当な軽量ボディと驚異的な走行性能です。
ちなみに、シャーシの総重量はわずか61ポンド(約28kg弱)です。
また、このシャーシには4気筒7000馬力のバイフューエルエンジン(ガソリンと圧縮天然ガスを切り替えて使用できるエンジン)が搭載されています。
日本最速の日産「GT−R」の最強カスタム仕様でも加速性能は0ー100km/hまで2秒台後半ですから、本当に市販モデルでその加速性能が実現すれば、0ー100km/h加速の世界最速記録が塗り替えられることになります。
その新型モデルは昨年のロサンゼルス・モーターショーにて披露されました。
200台限定での販売を予定しており、価格は2億〜3億円になるのではないかと推定されています。
なお、納車予定は2017年と発表されています。
この他にも、ネットニュースで世界初となる3Dプリント車「トイ・ライク-LM3Dスイム(The toy-like LM3D Swim)」がアメリカ・アリゾナ州の「ローカル・モーターズ(Local Motors)」で開発されたという記事を見かけました。
2016年にプレ販売が開始され、2017年初旬には納車が見込まれるという内容でしたが、残念ながらその後の動きについては不明でした。
いずれにしても3Dプリンターが自動車の生産現場に導入される動きは止まりそうもありません。
以前お伝えしたように、3Dプリンターを使うことによりこれまではほとんど不可能とされてきた形状のデザインの自動車も作れるようになります。
また、生産コストの削減につながりますから、販売価格が安くなることも期待出来そうです。
ただし、3Dプリンターにはしばらくは大量生産が期待出来ず、数量限定車としての位置づけでの販売が続くと見込まれます。
いずれにしても、3DプリンターやAI、ロボットなどの技術の進化に伴い、将来的には自動車の生産プロセスは劇的に変化しそうです。