2020年12月08日
アイデアよもやま話 No.4820 ”空飛ぶクルマ”、日本初の「有人飛行」!

これまで、”空飛ぶクルマ”については、アイデアよもやま話 No.3760 日本でも開発が進む空飛ぶクルマアイデアよもやま話 No.4336 操縦免許不要の1人乗りヘリコプター!などでご紹介してきました。

そうした中、9月3日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で”空飛ぶクルマ”の日本初「有人飛行」について取り上げていたのでご紹介します。 

 

次世代の移動手段として期待されている”空飛ぶクルマ”です。

世界中で開発が進む中、日本のベンチャー企業が国内で初めて人を乗せた「有人飛行」を成功させました。

一体どういうものなのか、番組で開発の舞台裏を取材しました。

 

8月25日、愛知県豊田市で姿を現したのは国産”空飛ぶクルマ”、「SD―03」(動画はこちらを参照)です。

電力で飛び、自家用車の感覚で日常的な空の移動を実現するといいます。

開発するのはベンチャー企業の株式会社スカイドライブ、国内では先頭を走る技術者集団です。

彼らが描く2030年の世界、自宅のクルマで通勤していると、「この先、渋滞中、飛行モードを推奨します」という音声が流れてきます。

そうしていると、前のクルマが浮かび上がります。

自らも浮上、後は目的地まで直線距離で飛行します。

 

そんな世界へ一歩近づきました。

先週(番組放送時)、6年半の開発期間を経て日本初の有人飛行を披露、ゆっくりですが安定した状態で空中を移動します。

旋回もお手のものです。

全長も幅も4mと小型車2台を並べた大きさです。

今はまだ人が操縦しますが、最終的には自動運転を実現する計画です。

なお、「SD―03」の前面にあるパネルを操作するだけで、目的地を設定することで目的地にたどり着くことが出来るといいます。

 

電力で飛ぶ小型の飛行機、いわゆる”空飛ぶクルマ”、世界で開発競争が進んでいます。

ドイツのボロコプターは2019年10月にシンガポールでいち早く有人飛行を披露、またアメリカのジョビー・アビエーションはトヨタ自動車から430億円の出資を受け、量産化を目指しています。

そんな中、日本のスカイドライブを率いるのが元トヨタ社員の福澤知浩社長(33歳)です。

福澤社長は次のようにおっしゃっています。

「空を飛ぶと時速100kmくらいで飛べて、圧倒的に楽しく速く利用出来るなと思っていまして、そんなのが当たり前の世界が出来ればなと思っています。」

 

当番組は2年前スカイドライブ創業前の福澤さんたちを取材していました。

”空飛ぶクルマ”を開発する有志団体「カーティベーター」(東京・中野区)、部品調達の会議の裏でシャワーを浴びる人がいました。

実はここはオフィス兼シェアハウス、スタッフは自動車、航空、広告大手など、様々な分野で本業を持っているため、生活を共にしながら活動時間を捻出していました。

機体の開発は、当時はまだ骨組みだけでしたが、強みの技術は出来ていました。

2枚重ねのプロペラを上下で逆回転させることで、小さなプロペラでも強い揚力を得られるといいます。

空中で静止するホバリングをこの時(2018年)、無人の状態で初めて成功させました。

その後、カーティベーターのメンバーを中心に創業したスカイドライブには次々と専門の人材が集いました。

その一人、岸信夫CTO(最高技術責任者)は、国産ジェット機「スペースジェット」(旧MRJ)の元チーフエンジニアで、次のようにおっしゃっています。

「今までの戦闘機とか旅客機の開発の経験が生かせるんじゃないかなと思いまして。」

「身近な空を実現するということに貢献したい、本当に純粋にそういうふうに思いました。」

 

更に、8月28日、スカイドライブは日本政策投資銀行や伊藤忠、NECなど10社から39億円の出資を受けました。

機体の開発や人材の獲得を加速させます。

そして2023年には大阪などでまず人が運転するタクシーとして実用化、2028年には自動運転を実現し、一般販売する計画です。

福澤社長は次のようにおっしゃっています。

「各社、みんなユニークな機体を出していて、競争関係にあるのは間違いなくて、僕たちはコンパクトな機体が売りですね。」

「身近なコンビニやガソリンスタンドから飛べるというのがすごく大きいかなと思いますね。」

 

この”空飛ぶクルマ”には、安全基準などの制度設計も必要となります。

政府は先週(番組放送時点)、実務者会合を立ち上げたのですが、既に欧米では検討が本格化していまして、ルールづくりの面でも国際競争が始まっています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今や、”空飛ぶクルマ”、およびクルマの電動化、そして自動化といった開発競争が世界的に加速しています。

そして、いよいよ実用化の時期が視界に入ってきたようです。

 

一方で、”空飛ぶクルマ”やクルマの完全自動化に際しては安全面や制度面などでクリアすべき多くの課題があります。

しかしこうした乗り物の開発には大きな夢があるので、こうした課題は必ずクリアされていくはずです。

 

ということで、今回ご紹介した日本初の「有人飛行」は”空飛ぶクルマ”の国内における実用化に向けた大きな一歩前進と言えます。

勿論、私もいつか機会があったらこの”空飛ぶクルマ”に試乗してみたいと思っています。

今や、普段の暮らしの中で誰でも気軽に空を飛びたいという昔ながらの人類の夢を実現出来る日がすぐそこまで近づいているのです。


 
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