2019年02月23日
プロジェクト管理と日常生活 No.581 『私たちの食事にもマイクロプラスチック!』

これまでマイクロプラスチックについては、No.4074 ちょっと一休み その656 『プラスチック袋80枚余りを飲み込んで死んだクジラ!』などでお伝えしてきました。

そうした中、昨年11月20日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で私たちの食事にも含まれるマイクロプラスチックについて取り上げていたのでご紹介します。

 

今、世界的に問題視されているプラスチックの海洋汚染ですが、食卓に欠かせないあるものも世界的に汚染されている可能性が高いという調査結果が韓国などの研究グループが発表しました。

対策はもはや待った無しという状況です。

 

韓国の仁川(インチョン)大学の金 承圭(キム スンキュ)教授らによる研究グループが調べたのは一般家庭でも使う食塩です。

アメリカや中国、インドネシア、イタリアなど21の国や地域で作られた39種類の食塩を各地のスーパーマーケットで購入して分析したのです。

その結果、食塩から出て来たのは、わずか0.1ミリ程度の小さなものから5ミリ近くあるものまで様々な大きさのマイクロプラスチックです。

調査した39種類中、36種類、9割以上の食塩から発見されたというのです。

金教授は次のようにおっしゃっています。

「多いもので1kg当たり約1万4000個検出された。」

「海水のプラスチック汚染で塩や水産物を汚染する結果が出た。」

 

「排出するプラスチックの量に比例して私たちの食卓に戻ってくる。」

「プラスチックの使用量や排出量を減らす努力をしていかなければならない。」

 

マイクロプラスチックは海の中に大量に存在し、塩だけでなく水産物などの食べ物、更には呼吸などを通して私たち人間の体内には年間約3万2000個にも上るマイクロプラスチックが入っていると見られていますが、健康への影響はまだ詳しく分かっていません。

今回の調査では日本の塩は対象外、ただ同じような傾向となる可能性が高いといいます。

日本では塩にマイクロプラスチックが含まれているかどうかといった調査は国レベルでは行っていません。

ただ環境省はこうした状況を受け、2019年度からマイクロプラスチックの供給源の一つと考えられる河川の実態調査をする方針です。

 

番組コメンテーターでA.T.カーニー日本法人会長の梅澤 高明さんは次のようにおっしゃっています。

「海とか川のプラスチックゴミをどう回収するかということで、いろんなベンチャー企業とかNPOがいろんな新しいデバイスを開発しています。」

「例えば波止場に設置してポンプで水流をつくって巨大な網でゴミをひっかけるみたいなものとか、あるいは川に網を引いて、そこに引っかかったゴミをベルトコンベヤーで吸い上げるような装置、これはアメリカ製なんですけど。」

「あるいは外洋に出て行って自動で清掃するような、かなり巨大な装置とか、いろんなベンチャー企業が出て来ていますね。」

「日本の企業は、今回はあまり見つけられなかったんですけど、海洋王国といって海岸線の長さは世界で6番目という国なので、日本発でもいろんなものが出て欲しいなと思います。」

「ゴミを回収する仕組みもそうですし、まずゴミを出さない仕組みも必要なのではという指摘に対して、」そうですね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

まず驚くのは、マイクロプラスチックは食塩などを通して私たち人間の体内には年間約3万2000個にも上るマイクロプラスチックが入っていると見られていることです。

しかも健康への影響はまだ詳しく分かっていないといいます。

 

今回の調査では日本の塩は対象外ですが、同じような傾向となる可能性が高いというのはもっともだと思います。

日本では塩にマイクロプラスチックが含まれているかどうかといった調査は国レベルでは行っていないといいますが、恐らく塩に限らず水産物など他の食べ物にも塩が含まれているものと類推されます。

 

一方、2月2日(土)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)ではマイクロプラスチックに関するイギリスの研究グループの発表について取り上げていたので以下にご紹介です。

 

イルカやクジラなどの体内からマイクロプラスチックが見つかったと、イギリスの研究グループが科学雑誌に発表しました。

それによると、50頭の体内からは合わせて273個のプラスチック片が見つかり、このうち9割以上の261個が5ミリ以下のマイクロプラスチックです。

全ての個体の消化器から見つかったということです。

プラスチック片のうち、84%は魚をとる網や衣服などに使われる化学繊維で、残る16%は容器やペットボトルなどに使われるものでした。

研究グループは、マイクロプラスチックそのものや表面に付着した化学物質がこれらの動物にどのような影響を与えるのかはまだ分かっておらず、更に研究する必要があるとしています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

昨年来、テレビのニュース番組ではよくプラスチックストローやペットボトルなどのプラスチック片を取り上げておりますが、この番組で紹介されたイギリスの研究グループの調査結果から注目すべきは、イルカやクジラなどの体内から見つかったプラスチック片の多くはプラスチックストローやペットボトルではなく、魚をとる網や衣服などに使われる化学繊維ということです。

また、マイクロプラスチック、あるいはマイクロプラスチックそのものや表面に付着した化学物質がこれらの動物にどのような影響を与えるのかはまだ分かっていないといいます。

 

2つの番組を通して分かったこうした状況を放置しておくわけにはいきません。

海洋に流れ出すプラスチック片は地球人口の更なる増加とともにこれからも増え続けると見込まれます。

それに伴い、海洋生物や塩に含まれるマイクロプラスチックも増加の一途をたどります。

その結果、海洋生物やヒトの体内にも更なる量のマイクロプラスチックが入ってきます。

そして、その健康への影響リスクの程度は分からないという状況なのです。

 

こうしたリスクの対応策として、梅澤さんのおっしゃった対応策には大変な手間と資金が伴います。

私が提案したいのは、アイデアよもやま話 No.4118 “脱プラスチック”の新素材を開発した日本のベンチャー企業に商機!でご紹介した商品「LIMEX」のような生物の健康や環境などに影響を与えない、プラスチックの代替品を使用することです。

こうした代用品の価格が現行のプラスチックよりも多少高価になっても、現行のプラスチックの廃棄や海洋に流れ込んだ後の回収の手間やを考えれば、投資効果があるはずです。

 

ということで、“脱プラスチック”は世界的な課題ですので、少しでも早くプラスチックの代替品を使用することをルール化するようにしていただきたいと思います。

 

今や、私たちの暮らしに必須ともいえるプラスチックは、人類を含めた全ての生物の生存を脅かす存在となっていることを重視しなければならない時期にさしかかっているということを忘れてはならないのです。


 
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