2018年07月22日
No.4074 ちょっと一休み その656 『プラスチック袋80枚余りを飲み込んで死んだクジラ!』

これまでプラスチックごみについては、プロジェクト管理と日常生活 No.449 『東京湾の魚の6〜8割がマイクロプラスチックを保有している!?』などで何度かお伝えしてきました。

そうした中、6月5日(火)放送の「ニュース7」(NHK総合テレビ)、および6月3日(日)付けネット記事(こちらを参照)で大量のプラスチック袋を飲み込んで死んだクジラについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

今、海外でストローなど使い捨てのプラスチック製品を規制する動きが広がっています。

背景にあるのは海の環境への深刻な影響です。

タイの海岸に打ち上げられて死んだクジラの胃の中から大量のプラスチック製の袋が見つかりました。

およそ8kg、枚数で80枚ものプラスチック製の袋を飲み込み、必要な栄養を取れなくなったと見られます。

タイは世界的に見てもプラスチック袋の消費量が特に多く、訪問者の多い海岸の近くで、毎年数百の海洋生物がプラスチック袋を摂取したために死んでいるといいます。

そのタイで世界環境デーの6月5日に開かれた討論会、海洋汚染が深刻になる中、政府と民間企業が対策を話し合いました。

プラスチック製の袋が大量に消費されている、集めたごみが海に流出しているなど、問題点の指摘が相次ぎました。

この討論会に訪れた、ある男性は次のようにおっしゃっています。

「ごみによってクジラは死んだ。」

「原因をつくったのは人間だ。」

 

増え続けるプラスチックごみは、国連のデータでは世界で年間3億トンといいます。(国連環境計画の報告書による2015年・推定)

その半分近く(47%)はレジ袋など、使い捨てのプラスチック製品です。

多くは海や地中に捨てられているといいます。

ストローが刺さってしまった亀など、特に海の環境汚染が深刻な問題になっています。

海外では、こうした汚染を食い止める動きがあります。

アメリカの西海岸のマリブ市では、今年6月から飲食店でのプラスチック製ストローの提供を全面的に禁止し、紙などに切り替えました。

中にはパスタで出来たストローもあります。

ストローの規制はサンフランシスコやニューヨークにも広がっている他、EUではストローやフォークなど使い捨てのプラスチック製品の流通自体を禁止する提案も出ています。

一方、日本のプラスチック製品の1人当たり廃棄量はアメリカに次いで世界で2番目に多くなっています。

プラスチックごみに詳しい専門家で東京農工大学の高田 秀重教授は次のようにおっしゃっています。

「海に囲まれている小さな国ながら大量にプラスチックを使っているので、海に沢山プラスチックが出て行っている。」

「海の生物全般がこのプラスチックを食べてしまう、あるいは絡まってしまう。」

 

「何とか減らしていくということが大事になってくる。」

「国の方が規制、あるいは規制が無理であれば指針を示す時期に来ているんじゃないかなと思います。」

 

ただ、環境省によると、“家庭からごみとして出されるプラスチック容器などのリサイクルは義務付けられているものの、ストローやフォークなどの流通そのものを規制することは今のところ検討していない”としています。

 

以上、番組、およびネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

環境省では、ストローやフォークなどの流通そのものを規制することは今のところ検討していないということですが、世界的なプラスチック関連の規制の動きを見ると、どうもプラスチックごみへの対応に対する意識が相対的に低いように見えます。

せめて、ガイドラインなどでプラスチック関連品をバイオプラスチック(参照:アイデアよもやま話 No.3537 バイオプラスチックへの新たな取り組み!)にするとか、紙で置き換えるとかの指針を示していただきたいと思います。

今、技術進歩で紙の器などでも防水性があり、かなりプラスチックの機能を持ち合わせたものが出回っているので技術的には可能のように思われます。

 

このまま世界的にプラスチック製品が使用され続けて、そのごみの一部でも海洋に廃棄され続ければ、何千年、何万年後には取り返しのつかないほど海洋にプラスチックが蓄積されることになってしまいます。


 
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