2007年12月04日
No.742 ファンドマネーが食を操る!
11月19日(月)放送のテレビ番組NHKスペシャルのテーマは「ファンドマネーが食を操る〜穀物高騰の裏で」でした。
バイオエタノールについては、以前、No.529 バイオエタノールの行方!などで何度かこのブログでもご紹介してきました。
でも、この番組の内容は、日本の食生活にとってはとても無視できない内容でしたのであらためてご紹介します。
日本人の“食”を支えてきたアメリカ穀倉地帯が、大きく変わっているそうです。
石油の代替燃料として注目されるバイオ・エタノールの工場が続々と建設され、周辺のトウモロコシを買い集めているのです。
中国、インドなどの消費拡大にエタノール需要が加わり、さらに穀物相場にファンドマネーが流入しているのです。
その結果、トウモロコシの価格はわずか2年ほど余りで2倍に上昇したのです。
これは、どういうことでしょうか。
一言で言えば、「需要と供給のバランス」という古くて新しい経済原理に則って市場が動いているのだと思いました。
番組のなかで、日本のトウモロコシ輸入業者がアメリカのトウモロコシ農場経営者に日本の苦しい状況を訴えておりました。
でも、農場経営者は、当然のことながらビジネスの観点から、トウモロコシをより高く買ってくれる業者がいれば、そちらの方に売る、という返事でした。
更に、農場経営者は、来年はトウモロコシを扱うか、それとも大豆を扱うか、どちらが投資効率がいいかを考えているのです。
トウモロコシの大消費国である日本にとって、とても不幸なことは今まで食品であったトウモロコシがバイオエタノールというエネルギー源としても注目されてしまったことです。
特に、このような新しい発見については、毎度のことながら市場は大きな反応を示します。
そして、このような経済原理に則った市場を加速しているのがファンドマネーです。
ということで、今はトウモロコシがバイオエタノール関連で脚光を浴びていますが、新しい技術発見によって次は何が注目されるようになるか分かりません。
このように、全ては「需要と供給のバランス」という経済原理、そしてその動きはファンドマネーのような大量の投資資金によって加速されるのです。
ですから、世界的に、国民の日常生活を安定したものとして維持するためには、このようなことを前提として対策を講じる必要があると思います。

 
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