2024年04月27日
プロジェクト管理と日常生活 No.867 『香港の活動家が日本人にどうしても伝えたいこと』
昨年12月25日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で香港の活動家が日本人にどうしても伝えたいことについて取り上げていたのでご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

カナダへの事実上の亡命を宣言した香港の民主活動家、周庭、アグネス・チョウさんはテレビ東京の取材に対し、「現時点でも28日の香港警察への出頭期限までに香港に帰る考えはない」と明らかにしました。
この香港情勢が今後、日本にも影響を与えるかもしれません。

2014年、香港の大規模民主化デモ、雨傘運動。
その中の学生リーダーの一人だったのが周庭、アグネス・チョウさんです。
2020年には反政府的な活動を取り締まる目的で施行された「国家安全維持法」、通称「国安法」違反の疑いで逮捕され、釈放された後は沈黙を守ってきました。
しかし、2023年12月3日、沈黙を破り、留学中のカナダに事実上、亡命すると発表。
直後のテレビ東京の取材には、次のようにおっしゃっています。
「香港や中国の政治情勢をいろいろ考えて、私の未来や人生、健康をいろいろ考慮して、今、香港に入らないということに決めました。」

香港警察は、直後のテレビ東京に取材に、次のように応じています。
「彼女を追跡し、逮捕するために全力を尽くす。」
「逃亡者は自首しない限り、生涯追われるだろう。」

警察に定期的に求められていた出頭の起源は28日。
このまま帰国しなければ、香港警察は「指名手配」する方針を明らかにしています。
アグネスさんに現在の心境を訊くと。
「現時点でも香港に帰る考えはない。」

この問題に人一倍、関心を持っている香港人がいます。
サイモン・チェンさんは次のようにおっしゃっています。
「経験上、香港に戻ったら、彼女は拷問を受け、身柄を拘束されて、とても恐ろしい目に遭うかもしれないと心配している。」

2019年にイギリスに亡命し、2022年に永住権を取得したサイモンさんです。
サイモンさん、実は2023年12月14日、香港警察が「国安法」違反の疑いで指名手配した5人の内の1人です。
「1週間ほど前、友人から、僕が香港警察から指名手配されているという話を聞いて、とても驚いた。」
「香港警察は公式にリストを公表しているが、エスカレートしている。」
「僕には100万香港ドル(約1800万円)の懸賞金がかけられた。」

もともと香港のイギリス領事館で働いていたサイモンさん、2019年、香港での大規模デモに参加後、出張先の中国本土でスパイ容疑などで拘束されました。
釈放後、香港での生活に不安を感じ、イギリスに亡命。
イギリスでは香港を逃れてきた香港人の生活をサポートする団体を立ち上げて、5000家族以上、支援をしてきました。
こうした活動などが反政府的だと見られ、約1800万円の懸賞金が掛けられるという事態に。
「当局は我々にプレッシャーをかけようとしている。」

1997年まで香港を統治していたイギリスは現在、こうした香港人の移住を歓迎する政策を進めていますが、それでも不安が。
例えば、サイモンさんがロンドンでデモに参加した時、怪しげな二人組がずっと監視してきたこともあったのです。
「イギリスのような海外でも、追いかけられたり、プライバシーを侵害されたりするのではと不安になる。」

実は日本にとっても他人事ではありません。
そう指摘するのは、日本に暮らす香港民主活動家のサム・イップさん(36歳)です。
2019年の選挙で勝った香港の元区議会議員です。
2020年には無許可のデモ活動に関与したとして、逮捕・起訴されましたが、その後、無罪に。
再び逮捕される可能性を恐れ、2022年に来日しました。
アグネスさんなど、当時、民主化運動をともにした仲間の現状を知り、自分も指名手配される可能性があると感じています。
「勿論、(香港に)帰りたいですよ。」
「自分の故郷だから。」
「ただ、それを帰れないという。」
「帰れたとしても、安全な所ではない。」
「いつ、どのタイミングで自分が(指名手配リストに)あげられて、香港にいる友人と家族が酷い目に遭わされるっていうのが、それは見たくない。」

今の状況で、故郷に帰る選択肢はないというサムさん。
今年、在日香港人の団体を設立し、香港問題に関する集会などを主催しています。
サムさん、日本人にどうしても伝えたいことが。
「弾圧があって、人は自粛する、怖くなる。」
「それは人として当たり前。」
「香港は、中国大陸に取り込まれていた国際都市の1つ。」
「そして、その次にあるのは台湾なんですよね。」
「その台湾の横にある日本も似た状況にあるんじゃないかという。」
「日本はアジアの民主国家の砦として、それを知らないと逆に損をする。」

こうした状況について、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田洋一さんは次のようにおっしゃっています。
「もはや、自由や法の支配っていうことが享受出来た昔の香港じゃないと思うんですよね。」
「一例挙げたいんですけど、(2023年)12月10日に行われた香港の区議会選挙なんですけど、民主派の候補は立候補も出来なかった。」
「排除されちゃったんですよね。」
「その結果として、選挙の結果は中国派がほとんどの議席を占めたんですが、ここで言いたいのは、その選挙の投票率なんです。」
「(前回、4年前の区議選では71.2%でしたが、今回は27.5%と、大幅に低下をしたが、これは人々が投票しても仕方がないと思たのかもしれないという指摘に対して、)その通りだと思うんですよ。」
「しかも、この調子で行くと、そのうち棄権さえも許されないってしまいかねないと思うんですよね。」
「(そうした中、台湾について言いますと、2024年1月13日、台湾総統選が実施されますが、)3方が争っているんですけど、中国と距離を置いている民進党、今の与党、頼清徳さん、いらっしゃるんですけど、僅差で追っている親中国派の国民党の侯友宜さん、はたまた民衆党の柯文哲さん。」
「どなたが当選するにしても、決めるのは台湾の人たちなんですよね」
「ところがですよ、中国が軍事力の刃を突き付けたり、経済制裁、飴と鞭を振るうようなやり方をしているとですね、今、サムさんが言っておられたように、今日の香港は明日の台湾になりかねないんですよね。」
「この中国の動きはきちっと目を凝らしておく必要があると思います。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組の内容を以下にまとめてみました。

(香港の民主化運動家の現状)
アグネス・チョウさん:
・2014年、香港の大規模民主化デモ、雨傘運動、その中の学生リーダーの一人だった
・2020年には反政府的な活動を取り締まる目的で施行された「国家安全維持法」、通称「国安法」違反の疑いで逮捕され、釈放された後は沈黙を守ってきた
・しかし、2023年12月3日、沈黙を破り、留学中のカナダに事実上、亡命すると発表した
 -香港や中国の政治情勢をいろいろ考えて、私の未来や人生、健康をいろいろ考慮して、香港に入らないことに決めた
・香港警察は「彼女を追跡し、逮捕するために全力を尽くす」と応じている

サイモン・チェンさん:
・この問題に人一倍、関心を持っている香港人、サイモンさんは「経験上、香港に戻ったら、彼女は拷問を受け、身柄を拘束される」という
・2019年にイギリスに亡命し、2022年に永住権を取得したサイモンさんは2023年12月14日、香港警察が「国安法」違反の疑いで指名手配した5人の内の1人である
・イギリスでは香港を逃れてきた香港人の生活をサポートする団体を立ち上げて、5000家族以上、支援をしてきた
・しかし、サイモンさんは、「イギリスのような海外でも、追いかけられたり、プライバシーを侵害されたりするのではと不安になる」という

サム・イップさん:
・日本に暮らす香港民主活動家のサムさんは、日本にとっても他人事ではないという
・サムさんは2019年の選挙で勝った香港の元区議会議員である
・2020年には無許可のデモ活動に関与したとして、逮捕・起訴されたが、その後、無罪になったが、再び逮捕される可能性を恐れ、2022年に来日した
・サムさん、日本人にどうしても伝えたいことがあるという
 -香港は、中国大陸に取り込まれていた国際都市の1つ、その次にあるのは台湾、その台湾の横にある日本も似た状況にある
 -日本はアジアの民主国家の砦として、それを知らないと損をする

(滝田さんの指摘)
・今や、香港は自由や法の支配が享受出来た昔の香港ではない
 -昨年12月10日に行われた香港の区議会選挙では、民主派の候補は立候補も出来なかった
 -選挙の結果は中国派がほとんどの議席を占めたが、投票率は27.5%と大幅に低下をした
・1月13日、台湾総統選が実施されるが、中国が軍事力の刃を突き付けたり、経済制裁をしていると、今日の香港は明日の台湾になりかねない
・この中国の動きはきちっと目を凝らしておく必要がある

なお、1月14日(日)付けネットニュース(こちらを参照)では以下のように報じています。

13日に投票が行われた台湾の総統選挙で、与党・民進党の頼清徳氏が550万票を超える票を獲得し、野党の2人の候補者を破って当選しました。
一方、同時に行われた議会・立法院の選挙では民進党が過半数を維持できず、5月に就任する予定の頼氏は難しい政権運営を強いられることになりそうです。


今後の政権運営は厳しいものの、与党・民進党の頼清徳氏が当選したのです。
ですから、日本にとっても、とりあえず安心です。

さて、アイデアよもやま話 No.5785 台湾の総統選挙で求められる国連憲章の存在意義!でもお伝えしたように、習近平国家主席は国際社会に対し「人類運命共同体の構築を推進し、ますます素晴らしい世界を作り上げたい」とも呼びかけていますが、その根底にあるのはあくまでも「中国式現代化」(添付参照)であり、人権を尊重する国連憲章とは相いれないのです。
ですから、香港に帰国したくても出来ない、アグネスさんなど、香港の民主活動家の悲劇が生まれているのです。

なお、昨年6月4日付けネットニュース(こちらを参照)では以下のように報じています。

中国の李尚福リーシャンフー 国務委員兼国防相は4日、シンガポールで開催中の「アジア安全保障会議」(英国際戦略研究所主催)で演説した。
習近平シージンピン 政権が「核心的利益中の核心」と位置づける台湾問題について、「台湾統一のために、武力行使の放棄は決して約束しない」と述べ、台湾情勢を巡って対立を深める米国などをけん制した。


ですから、香港と同じような悲劇が台湾でも起きようとしているのです。
しかも、中国による武力行使で台湾統一がなされれば、次の標的は日本になると見込まれます。
尖閣諸島、そして沖縄というように。
更に中国による武力行使により米中の軍事激突にまで発展すれば、沖縄をはじめ、日本に存在する米軍基地も中国空軍の爆撃の標的になります。
サムさんは、こうした日本のリスクを伝えているのです。
こうした事態になれば、更に第三次世界大戦も起こりかねません。

ということで、台湾のため、日本のため、ひいては世界平和のため、なんとしても国連憲章を盾に民主主義陣営の国々は一致団結して、中国に対峙することが求められるのです。

なお、その前段として、なんとしてもロシアによるウクライナ侵攻をロシアの失敗という結果に収めることがとても重要です。
なぜならば、仮にロシアがウクライナ侵攻に成功したという結果で終われば、ロシアは他の近隣諸国に侵攻の触手を伸ばす可能性が高まるばかりでなく、中国も台湾進攻をし易くなるからです。
逆にロシアによるウクライナ侵攻が失敗したとなると、それは中国による台湾進攻の抑止力となるからです。

なお、ロシア国内でプーチン大統領の政策に反対の意向を示す女性たちが現れているといいます。
プーチン大統領によるウクライナ侵攻の継続で、将棋の駒のごとく、あるいは虫けらのごとく、自分の息子たちが戦闘に駆り出されるのはたまらないと思うのは当然だからです。

これまで、世界中の一般国民が連帯して、それぞれの立場で覇権主義を唱える国の指導者に言論を始め、あらゆる手段を使って訴え続ければ、やがて、その声が無視出来ないほど大きくなれば、こうした指導者と言えども方向転換するなど、反政府運動に屈せざるを得なくなるとお伝えしてきました。
なぜならば、どこの国の指導者も国民の大多数の声を無視し続けることは出来ないからです。
しかも、国内のみならず世界各国の何十億という一般国民の声が覇権主義を掲げる指導者に届けば、いかにプーチン大統領や習近平国家主席と言えども、圧倒されてしまい、政策の方向転換を迫られてしまうと思うのです。

ということで、私たち、一人一人の声はとてもささやかなパワーしか持っていませんが、何十億という人たちの声が集まれば、それはとてつもないエネルギーを持つことになるになるのです。
自由、平等、人権、平和、この4つの尊重をベースに、今こそ私たち一人一人は立ち上がるべきなのです。
第三次世界大戦勃発のリスク対応策として、この対応策こそ、最もお金がかからなくて、効果的だと思うのです。
私たち、一人一人は自分の持つ、こうしたパワーの価値を自覚すべきだと思うのです。


添付)

中国式現代化とは
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「中国式現代化」という言葉は、中国の経済、社会、政治、文化などの領域における発展や変化を指す概念です。具体的には、中国が近年経験してきた急速な経済成長や社会変革、そして政治体制や文化の変化を含みます。

中国の現代化は、従来の西洋のモデルに従うだけでなく、独自の特徴や戦略を持ち、その文化的背景や政治体制に合わせて進化してきました。このため、「中国式現代化」は、中国が自身の文化や歴史、そして政治的な選択肢を活かしつつ、現代の経済的、技術的な挑戦に対応していることを意味します。

経済面では、中国は特に1978年以降の改革開放政策により、急速な経済成長を遂げ、世界有数の経済大国に成長しました。また、技術革新やインフラ整備、都市化などの分野でも大きな進展を遂げています。
社会面では、都市部と農村部の格差の縮小や、教育・医療の普及、生活水準の向上などが見られますが、一方で人権や環境問題などの課題も残っています。

政治面では、中国共産党の指導の下で一党制が続いていますが、経済改革とともに政治制度も変化しており、市場経済を受け入れつつも、政治の中央集権化が進んでいます。
このように、「中国式現代化」は、中国が自らの歴史や文化を尊重しつつ、現代の世界において力を持つための道を探っている様子を表す言葉です。

 
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