2023年10月30日
アイデアよもやま話 No.5725 本物と見分けがつかないAIのひろゆきさんが誕生!
アイデアよもやま話 No.5708 ChatGPTの次はAGI、そしてその次は・・・で、ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長は10月4日、都内で開いた自社イベント「SoftBank World 2023」で基調講演に登壇し、AIに関する自説を展開したとお伝えしました。
今回は、このイベントでの10月5日(木)のセッション、「次世代テックリーダーが語る、生成AIを活用した成長戦略」(動画はこちらを参照 *ただし、こちらからユーザー登録が必要でオンデマンド配信は11月10日(金)18:00まで)における内容の一部をご紹介します。

なお、このセッションの登壇者は以下の3名でした。
株式会社CoeFontの社長、早川尚吾さん(こちらを参照)

ソフトバンク株式会社 AI戦略室 AI&データサイエンス統括部 AIシステム開発部 AIアプリケーション開発課 担当課長、荻野聖也さん

ソフトバンク株式会社 AI戦略室 AI&データ事業推進統括部 AIプロジェクト推進部 Axross事業課の鈴木祥太さん

そして、この3名の方々はいずれも20代で、「SoftBank World 2023」のセッションで20代だけが登壇するのは初めてといいます。
ですから、いかにAIの世界がZ世代と言われるような若い世代の方々が主導で展開されているかを物語っています。

さて、このセッションの登壇者の一人、早川さんは次のようにおっしゃっています。
「(AIのひろゆきさんの動画を見ながら、)これは画像、動画自体もひろゆきさん(2ちゃんねる創設者)のAIの動画で、チャットの質問もYouTubeライブをやっていて、YouTubeライブで質問でスーパーチャットに来たものに対して、自動でAIのひろゆきが答えるっていうものをGPT4(こちらを参照)とかで作ったんですよね。」
「それにCoeFontっていう、うちの会社のもので 声のAIを組み合わせることによって、ひろゆきさんがYouTubeライブで答えてくれるように、何か質問をしたら、AIのひろゆきがスーパーチャット(SuperChat チャットを有料で書き込める“投げ銭”機能 こちらを参照)したら回答してくれるんですよ。」(このYouTubeライブ作成のきっかけなどはこちらの動画を参照)
「そして、2時間で5万円ぐらい集まりました。」
「お金を払って質問が出来る機能なんですけど。」
「これはChatGPTが去年12月ぐらいに出て、これ思い付いてしまったので、ひろゆきさんに「これ絶対に面白いから、やっていいっすか」って言って「いいよ」って言われたので、「じゃあ、やります」って言って。」
「ひろゆきさんは“切り抜き”(こちらを参照)でもバンバン稼いでいますけど、遂にAIによって、自分は“切り抜き”の素材すら提供しなくてもAIが全て稼いでくれるっていうものを実現したっていう、世界初の人間なんじゃないかっていうか、人類史上初めての人間なんじゃないかっていう、ひろゆきさんらしいものですね。」
「“楽して稼ごう”みたいな、めっちゃ何か、表れている気がします。」

なお、今年3月にGPT4にアップデートしてから、過去の配信データから学習しているため、以前より精度や自然さが向上しています。
こうした状況もAIのひろゆきがスーパーチャットで答えているのです。
早川さんは続けて次のようにおっしゃっています。
「これをヨーロッパだとかでバーって出したら、「お前は人権をなんだと思ってるんだ」って言って、バンバン、ダイレクトメッセージが来て、会社に脅迫状が送られてきて、ローマ教会から「おかしい奴がいる(?)」みたいに言われて、すごい袋叩きに遭う可能性があるわけですね。」
「でも、これを出しても今のところ、僕は警察からも電話がかかってないし、脅迫状も自宅に届いてません。」
「こういうふうなところでAIの新しいニュースが出るたびに、パッと実験して、日本の人たちが見ても、「あっ、なるほど面白いな」と思ってくれるし、「なんか、ちょっと駄目だな」と思ったら、ちゃんとフィードバックくれるし、感情的にブチ切れないで、ちゃんと建設的にちゃんとフィードバックを改善出来るっていうのはすごく日本だけなんじゃないかと。」
「こんなことして許されるのか、みたいな。」
「許されて良かったんですけどね、本当に。」
「(本人にちゃんと了承取っていますから、)そうですね。」

以上、早川さんの発言の内容の一部をご紹介してきました。

まず、このセッションで紹介されたAIのひろゆきさんのYouTubeライブでの顔の表情や声、そして発言内容の自然さに驚かされました。
生成AI関連の技術は短期間の間に既にこんなところまで進歩しているのです。

なお、CoeFontは2020年に設立され、東工大ベンチャーに登録されており、AIを利用したサービスの開発、提供を行っています。
現在、AI音声の研究を行っており、「いい声を、いつでも、手軽に、使いたい分だけ。」をコンセプトに、誰もが安価で利用可能なAI音声プラットフォーム『CoeFont』(添付参照)を提供しています。(CoeFontの公式ページより)

さて、今回ご紹介したAI音声プラットフォーム「CoeFont」は、GPT4といった生成AIと本人の写真や動画、そして本人の過去の発言などのデータとを組み合わせることで、またこうしたデータをアップデートし続けることで、限りなく本人に近い“仮想の本人”が本人に代わっていろいろと発言したり、あるいは他の人と会話をしたりということが当たり前の時代になっていくのです。
また、AIのひろゆきさんのYouTubeライブでのスーパーチャットは人類初の、本人に代わってAIが全て稼いでくれる事例として、いずれギネス世界記録に登録されるのではないかと思います。

ということで、まさしく私たちはAI革命の本格的な時代の入り口にさしかかっていると思います。
今後、10年後のAGI、そして20年後のAPIの登場によりAIはどんな社会、そして経済活動をもたらすのか、一方でどんなリスクが発生してしまうのか、楽観と悲観の入り混じった想いがしてきます。
いずれにしても、こうしたAIを巡る加速度的な変化を止めることは出来ないのです。

なお、こうしたAIの適用分野はビジネスに限らず、プライベートにおいても広がっていくと思われます。
例えば、自分の両親について、ひろゆきさんと同じようにデータを収集して“仮想の両親”が出来上がれば、亡くなった後も“仮想の両親”との会話のやりとりが出来るといったサービスも成り立ちます。
同様に家族の一人一人についても同様のサービスを受ければ、現実と仮想空間との間では家族は永遠に存在し続けることが可能になるのです。


添付)

AI音声プラットフォーム 「CoeFont(コエフォント)」 (CoeFontの公式ページより)

AI音声プラットフォーム「CoeFont(コエフォント)」は、「いい声を、いつでも、手軽に、使いたい分だけ。」をコンセプトに、最新のAI技術を活用し、「声」を表現力豊かな「フォント」に変換することで、だれもが、安価で、簡単に利用できる音声サービスです。
約5,000種類以上の高精度の音声を、研修音声や館内放送、オーディオブック、広告など、声を利用したいと思ったそのときに、用途にあわせて、必要な分だけ、すぐに利用できます。
また従来までは、50万円・10時間以上の収録を必要としていたAI音声を、当サービスでは500円・15分の収録で、自然な発声のできるAI音声を作成できます。

 
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