2022年12月19日
アイデアよもやま話 No.5455 有人宇宙飛行(月面着陸)を目指す「アルテミス計画」の意味するもの!
8月29日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で有人宇宙飛行(月面着陸)を目指す「アルテミス計画」について取り上げていたのでその一部をご紹介します。

1969年、アポロ11号によって人類史上初めて月面着陸がなされました。
人類の月面着陸はアポロ計画として1972年まで行われていましたが、それ以降は実施されていませんでした。
こうした中、およそ半世紀ぶりに再び人類を月へと送る「アルテミス計画」が動き出しました。
その第一弾となるロケットが日本時間の今夜(番組放送時)打ち上げられる予定でしたが、午後9時40分に打つ上げの中止が発表されました。

「アルテミス計画」は月に人を送り込み、資源の調査や開発などを行うプロジェクト、アメリカのNASA(航空宇宙局)を中心に日本やカナダ、ヨーロッパなどの国々が進めています。
今回はその第1弾として、宇宙船「オリオン」を無人で月を目指して打ち上げ、42日後に無事月から帰還出来るか、飛行試験を行い、その後2025年には男女2人の宇宙飛行士を月面に着陸させ、将来は月の上空を周回する宇宙ステーションや月面の開発拠点を建設する予定です。
更に月面での継続的な活動が可能になった先には、月を拠点とする火星の有人探査も視野に入れています。

日本は生命維持に必要な機器の提供や物資の輸送で貢献し、日本人飛行士の月面着陸を目指しています。
この「アルテミス計画」には日本の企業も期待を寄せています。
その一つがホンダです。
現在、JAXA(宇宙研究開発機構)と協力し、月にある資源だけでエネルギーをつくるシステムを開発しています。
ホンダ 先進パワーユニット・エネルギー研究所の針生栄次さんは次のようにおっしゃっています。
「(月面などで)恒久的に活動していくためには酸素と電気のようなエネルギーが恒久的に得られる仕組みが必要になります。」
「そのために役立つ技術として我々は開発しています。」

月にある資源は太陽光と氷(こちらを参照)だけです。
氷を溶かした水を太陽光で発電した電気で分解し、酸素と水素を製造します。
酸素は月面に滞在する人が利用し、水素はロケットの燃料として使用します。
また余った酸素と水素で電気をつくり、月面の移動車両の動力源として使う計画です。
この新技術にはホンダがこれまで燃料電池の開発で培ってきた技術が生かされています。
針生さんは次のようにおっしゃっています。
「これを構成している水の電気分解や燃料電池の技術自体はもう20年前からカーボンニュートラルを目指して取り組んできた技術になります。」
「その技術が月面、いわゆる宇宙で使えるのではないかと。」

ホンダは宇宙開発を経営の柱の一つとしてロケット開発などを進めていて、今回の「アルテミス計画」への参加も技術開発の契機と捉えており、針生さんは次のようにおっしゃっています。
「JAXAさんのそのミッションに我々の技術で貢献するということは、その先に広がる有人活動に大きな役割を担うと思っていて、非常に責任感を持って進めていきたいと思っています。」

こうした状況について、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田洋一さんは次のようにおっしゃっています。
「今、出てきた、水から酸素と水素をつくるっていうのは究極の脱炭素のエネルギーですから非常に注目したいところですよね。」
「(人類が最後に月面着陸したのは1972年ですが、)月にアームストロング船長が降り立ったところなんかは非常によく覚えてますけども、今度は火星まで視野に入っているから楽しみですよね。」
「(月は火星など他の星に行くための一里塚のような感じがするという指摘に対して、)そうですね。」

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

なお、宇宙飛行士の月への着陸を目指す国際プロジェクト「アルテミス計画」による8月29日のロケット打ち上げは延期になりましたが、月までの試験飛行を行う無人の宇宙船を搭載した大型ロケットが、日本時間の11月16日、アメリカのケネディ宇宙センターから打ち上げられました。
NASAによりますと宇宙船は予定どおりロケットから切り離され、月に向けて飛行を続けているということです。(こちらを参照)

そして12月12日(月)付けネット記事(こちらを参照)では以下のように報じています。

米航空宇宙局(NASA)の新型宇宙船「オリオン」が11日、無人で月を周回する26日間の試験飛行を終え、地球に帰還した。このミッションは月に宇宙飛行士を再び送ることを目指す「アルテミス計画」の一環。

宇宙船「オリオン」は地球の大気圏に再突入し、パラシュートでメキシコ沖の太平洋上に着水。待機していたチームがカプセルを回収した。今後、オリオンが撮影した画像などの分析が行われる。

今回は試験飛行のため無人だったが、次の試験飛行は実際に宇宙飛行士を乗せた状態で行う予定。

NASAはオリオンを使ったより複雑なミッションを計画している。

第2段階の有人での月周回飛行は2024年後半に開始され、2025年か2026年には人類を月面に戻す試みも予定されている。

以上、ネット記事の一部をご紹介してきました。

1969年から1972年まで行われていたアポロ計画は人類の月面着陸が目的でした。
そして、およそ半世紀ぶりに再び人類を月へと送る「アルテミス計画」が動き出したのです。
その狙いは、月に人を送り込み、資源の調査や開発などを行うことです。
そして月面での継続的な活動が可能になった先には、月を拠点とする火星の有人探査も視野に入れているのです。
ですから「アルテミス計画」は、人類が単に他の惑星に着陸することが目的ではなく、月や火星など他の惑星での資源開発などの活動を可能にすることが目的なのです。
そいう言う意味では、かつて人類が海洋を渡って新大陸を発見した大航海時代の宇宙版で今や人類は本格的な「宇宙大航海時代」に突入していると言えます。

この「アルテミス計画」を進めるにあたって、日本は生命維持に必要な機器の提供や物資の輸送で貢献し、日本人飛行士の月面着陸を目指しています。
そうした中、ホンダはJAXAと協力し、月にある資源だけでエネルギーをつくるシステムを開発しています。
具体的には氷を溶かした水を太陽光で発電した電気で分解し、酸素と水素を製造するといいます。
そして水、酸素、水素があれば、人類はそこから電気をつくり、植物工場で食料を生産することが出来ます。
また移動手段としてEV、あるいは燃料電池車も生産することが出来ます。
更に3Dプリンターで様々な建物やモノを生産することが出来ます。(参照:アイデアよもやま話 No.5348 ヒューマン・エイジ 人間の時代 その1 火星進出を実現する驚異の技術!

こうしてみると、水は酸素と水素という2つの要素から成り立っており、そして水、酸素、水素は人類が生存していくうえで必須ともいえる要素です。
ですから、水は太陽光とともに人類の生存になくてはならないものであるとあらためて思います。
少なくとも地球には水も太陽光も無尽蔵に存在すると言えるのですから、この2つだけをベースにして“脱炭素”の“持続可能な社会”を実現することが可能なのです。
そして、どれだけ月に氷が存在するか分かりませんが、月においても人類はある程度は“持続可能な社会”を築くことが出来ると見込まれるのです。
そして、その月をベース基地にして、人類は火星など他の惑星への移住をいずれ目指すことになるのです。

なお、ホンダは宇宙開発を経営の柱の一つとしてロケット開発などを進めていて、今回の「アルテミス計画」への参加も技術開発の契機と捉えているといいます。
ですからホンダは、新開発の排気ガスの有害物質を少なくしたCVCCエンジンで当時達成不可能と言われていたアメリカの自動車排気ガス規制「マスキー法」をクリアしたように(参照:アイデアよもやま話 No.5438 ロングセラー商品「シビック」の秘密!)、宇宙開発においても技術的な先駆者として貢献出来る可能性を秘めているのです。

 
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