2022年11月19日
プロジェクト管理と日常生活 No.772 『BCPからBCMへのアップデートの必要性』
7月21日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でBCPからBCMへのアップデートについて取り上げていたのでご紹介します。 

今日(番組放送時)はマイクロソフトのオンライン会議アプリ「Teams(チームズ)」で世界的な障害が起きまして、それを使う多くの企業に影響が出ました。
こうした不測の事態に備えまして、企業は普段からBCP(事業継続計画 参照:プロジェクト管理と日常生活 No.746 『コロナ禍で進むBCP』)が求められるわけですけども、これだけでは足りません。
こうした状況について、立教大学ビジネススクールの田中道昭教授は次のようにおっしゃっています。
「今日の「Teams」のケースでいうと、BCPのない企業は業務中断ということだったと思いますし、BCPがきちんとしていた企業は、例えば「Teams」から他の手段に切り替えたと思うんですけども、やはりここでアップデートしていただきたいのはBCM(事業継続マネジメント)ということで、例えば業務の優先順位から業務内容をマネジメントするということで、今日のケースでいくと、会議予定を即座に別の予定に変更するとか、顧客対応に切り替えるとか、そういうマネジメントこそが求められているということですね。」
「(何が起きているのかを把握して、それを生かしていく、現場に正しく指示が出来るか、そういうところまでやらないといけないということなのかという問いに対して、)そうですね。」
「ミッションから考える、優先順位を考えると、それでマネジメントするということでしょうね。」
「(今日のトラブルは明日の成長につなげる糧(かて)と考えられるか、成長マインドセットという指摘について、)そうですね。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

これまで何度となくお伝えしてきたように、そもそもリスク管理はプロジェクト管理の中でもとても重要な管理項目です。
なぜならば、問題が起きないように事前に対処しておくことにより、問題が起きることによる損害を未然に防ぐことが出来るからです。
そして、リスクが発生しないようにするためにリスク管理があり、それでもリスクが発生した場合に備えてどう対応するかをあらかじめ決めておくのがコンティンジェンシープランなのです。
ですから、BCPは事業継続に主眼を置いたコンティンジェンシープランと言えます。
そして今回ご紹介したBCMはBCPより更に一歩踏み込んだ、業務の優先順位から業務内容をマネジメントするという考え方です。
なお、BMCとBCPとの違いについて、以下のような記述があります。(こちらを参照)

BCPは事業継続の「計画」自体を指し、BCMはBCPを活用して、如何に企業内に浸透させていくか、戦略的に活用していくかという「マネジメント」全般を指します。東日本大震災では、BCP(計画と手順)を整備していたにもかかわらず、意思決定者のBCP発動の遅れ、現場への代替手順の周知不足、訓練未実施による実効性検証の欠如等の理由から、計画通りに事業継続が実現出来なかった企業が多数見受けられました。その反省を踏まえ、計画、手順、施設、リソースおよびコミュニケーションなどを含めて、戦略からテスト、メンテナンスまでの全過程を網羅するBCMの重要性が再認識されています。

ということで、企業など様々な組織のより実践的なコンティンジェンシープランの実施全般のマネジメント手法としてBCPに基づいたBCMが有効なのです。

 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています