2022年06月09日
アイデアよもやま話 No.5290 AIが入居者を見守る介護施設!
2月24日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でAIが入居者を見守る介護施設について取り上げていたのでご紹介します。 

介護サービスを展開するベネッセグループが新たな介護施設を公開しました。
この施設の介護業務を支えるのが「マジ神AI」と呼ばれる独自のIT技術です。

東京・新宿区に来月(3月)オープンする新たな介護施設「グランダ四谷」、部屋に入ってみると“在・不在センサー”が天井に設置されており、入所者が居るか居ないかが分かるのです。
45ある部屋の全てのベッドやトイレにセンサーを設置されています。
もし入居者の異常が起きた場合は「マジ神AI」と名付けられた人工知能が察知して、すぐにスタッフが対応出来る仕組みを導入しています。

「マジ神AI」と一風変わったネーミングの由来となったのが、ベネッセスタイルケア 介護職(マジ神)の枝松裕子さんで次のようにおっしゃっています。
「あるホームで入居者とお話している時に(入居者が)すごい大爆笑されたんですね。」
「その時に新人のスタッフに付いてお部屋にいたんですけど、「そんな笑顔見たことなかった」というところで、「枝松さん、マジ神っすね」というところから「マジ神」と言われていて、・・・」

これをきっかけにベネッセは「マジ神」という社内資格制度を新設、枝松さんのように認知症のケアなど、スキルの高い約180人のスタッフが「マジ神」に認定されています。
枝松さんは次のようにおっしゃっています。
「まばたきの数とか、首の筋肉の動きとか、表情筋とか、汗ばんでいるとかを見ながら、緊張されているな、疲れてきたな・・・」

こうした「マジ神」職員の普段の介護業務の中での対応や気づきなどをデーターベース化し、そのデータを学習させた「マジ神AI」を今回の施設に導入しているのです。
ベネッセスタイルケアの祝田健執行役員は次のようにおっしゃっています。
「2025年に30万人以上の介護職が足りないと(言われている。)」
「介護人材を育てることにAIを活用していく。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。


番組を通して、ベネッセグループが新たに介護施設で導入する、介護業務を支える「マジ神AI」と呼ばれる独自のIT技術、および新設した社内資格制度について、以下にまとめてみました。
・入居者の各部屋には以下のものが設置されている
  天井に“在・不在センサー”
  ベッドやトイレにセンサー
・入居者に異常が起きた場合は「マジ神AI」が察知して、すぐにスタッフが対応出来る仕組みになっている
・「マジ神」という社内資格制度を新設し、認知症のケアなど、スキルの高い約180人のスタッフが「マジ神」に認定されている
・「マジ神」職員の普段の介護業務の中での対応や気づきなどをデーターベース化し、そのデータを学習させた「マジ神AI」を今回の施設に導入している
・これらの導入の狙いは、今後予測される介護職不足対策にある

こうしてみてくると、ベネッセグループが新たに介護施設で導入する取り組みの基本的な方針が見えてきます。
それは、以下の2つです。
・AIを最大限に活用する
・AIでカバー出来ないところは、優れた介護職の高いスキルをデーターベース化し、ディープラーニング((参照:アイデアよもやま話 No.3076 人工知能進化のカギ − ディープラーニング!)でAIの能力を進化させる
・こうしたAIとヒトとの協業により、可能な限りAIに介護業務を任せる
・更にAIとロボットとの協業により、究極的には完全に人手を介さずに介護業務を遂行させるシステムを完成させる

なお、こうした基本的な考え方は介護業務に限らず、多くの業務分野に適用出来るのです。

それにしても、非常にスキルの高い介護職の方々は、まばたきの数、首の筋肉の動きなどから入居者の体調を把握出来るというのはさすがだなと思います。

どの分野においてもこうしたプロフェッショナルの方々はいらっしゃるのです。
そして、こうした優れた方々のスキルを水平展開出来るシステムの確立、更にこうしたシステムにおけるAIやロボットなどの最大限の活用の可否が今後の企業の盛衰を決める重要な要素になるのです。

 
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