2022年06月04日
プロジェクト管理と日常生活 No.748 テレワークの課題
2月17日(木)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)でテレワークの課題について取り上げていたのでその一部をご紹介します。

テレワークはコロナ禍で広がっていますが、一方で社員同士のコミュニケーションが希薄になるという声もあります。
なお、大手電機メーカーのNECが社員に行ったアンケートではこちらの結果が出ています。
こうした声を受けて、NECではオフィス改革に取り組み始めています。

このアンケートの結果、テレワークの課題は社員同士のつながりでした。
現在、社員の出社率は3割ということで、かつてのような社員食堂は必要なくなったのです。
そこで、つながりをつくる場としての役割を元社員食堂だった空間に持たせようとしているのです。
そして、昨年10月に部署を問わずコミュニケーションを取れる場所をつくろうということで作り変えたのです。
そしてこの場所を「共創空間」と名付けました。
なお、今も食堂としての役割も残されています。

アフターコロナ時代のオフィス改革づくりの意図について、NECカルチャー変革部長の森田健さんは次のようにおっしゃっています。
「やっぱりコロナ禍は緊急事態ということでテレワーク中心になりましたけども、明けてから会社に来ても朝からずっと結局会議ばかりやっているという状態がありました。」
「ですので、仕事は自宅でやってもらえばいいんですけど、会社に来たらコミュニケーションを取ってもらいたいということでこういう場所を提供したということです。」

NECでは出社を推奨しているわけではありません。
感染拡大が続いていますのでテレワークを継続しています。(番組放送時)
でもたまに訪れるオフィス、外の景色を眺めらなら、社員同士でリアルなコミュニケーションを取ってもらうことで新しい発想ですとかアイデアを生み出して欲しいという思いもあるのです。

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

コロナ禍は感染拡大阻止対策、“3蜜”(密閉・密集・密接)の回避から図らずもテレワークの必要性を突き付けられました。
そして、とても重要なことは、このことはどの企業にも対応を迫ったことです。
コロナ禍以前にある一部の企業がテレワークを積極的に進めようとしても以下のようなハードルがありました。
・社内からはコミュニケーションが取りにくくなる、あるいは生産性が落ちるなどの声が上がる
・取引先からは従来通り、紙の文書でのやり取りにして欲しいなどの声が上がる

コロナ禍はこうしたハードルを一気に超える状況をもたらしたのです。
しかし、実際にテレワークを実施してみると、新たな課題が上がってきました。
その一つが従業員同士によるリアルなコミュニケーションの環境づくりです。
従業員であるヒトはAIやロボットと違い、感情を持っていますから、感情が不安定では十分な働きが出来ません。
また、上司や他の従業員とのコミュニケーションを通して、効率的に業務内容を習得したり、新たなアイデアを生んだりして、成長していきます。
そして、今回ご紹介したNECの課題解決策は部署を問わずコミュニケーションを取れる場所、すなわち「共創空間」をつくることにしたのです。

しかし、ここでも新たな課題が生まれてきます。
それは、どのように自分が必要とする部署の人と時間や場所を調整してコミュニケーションを取るかというような課題です。
そこで、こうした相互の時間の調整や場所の確保といった課題をクリアする解決策として浮かんでくるのがメタバースの基本的な考え方の適用です。(参照:No.5184 ちょっと一休み その811 『メタバースにより人類の思考が解放される!?』
業務を効率的に進めていくうえで、とても重要なことは何よりも自分が知りたいこと、あるいは相談したいことのために最も最適な人とのコミュニケーションがタイムリーに取れることです。
そうしたツールとしていろいろな面でメタバースはとても有効だと思うのです。
ですから近い将来、“メタバースを制する者がビジネスを制する”時代がやって来るはずです。

さて、プロジェクト管理において、課題への取り組みはリスクへの取り組みと同様にとても重要です。
どちらも今後のことを考えての前向きな取り組みだからです。
それに対して、問題の解決は後ろ向きの対応と言えます。
適切な課題管理は効率的、かつ効果的に目標を達成するうえでとても重要であり、一方、適切なリスク管理によりリスクの発生を食い止めることが出来るのです。

ですから、コロナ禍というようなビジネス環境の大きな変化に沿った課題管理、あるいはリスク管理を積極的に最新の技術を取り入れて検討・実施することが企業の競争力を強めることになるのです。
そういう意味で、前向きに考えれば、コロナ禍は企業を飛躍的に成長させるうえで、絶好のチャンスと言えるのです。
同時にこれから本格的なDX(デジタルトランスフォーメーション)の時代を向えるうえで、その下地をつくるという面でコロナ禍は“陰の功労者”と言えます。

 
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