2022年01月24日
アイデアよもやま話 No.5173 注目のmRNAに日本人が貢献!
昨年10月4日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で注目のmRNAに日本人が貢献していることについて取り上げていたのでご紹介します。

中身に入る前に、これまでワクチンやメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンについて何度かお伝えしてきましたが、これらについてとても分かり易い説明を見つけたのでこちらを参照下さい。
また、専門的な内容になりますが、RNA(リボ核酸)についてはこちらを参照下さい。

ハンガリー出身のビオンテックのカタリン・カリコ上級副社長(こちらを参照)とアメリカ・ペンシルベニア大学のドリュー・ワイスマン教授は、全世界で打たれている新型コロナウイルスのRNAワクチン開発の立役者です。
流行からわずか1年も経たないうちにワクチンのスピード接種につながった技術を開発したのです。
カリコさんは次のようにおっしゃっています。
「あなた(ワイスマン教授)は地点Aから地点Bまで最短距離でまっすぐ進む。」
「私はこんな感じ(スパイラルのように遠回りして進む)。」
「でも目指すところはいつも同じ。」

コロナウイルスで突起した部分はスパイクタンパク質と呼ばれます。
これにヒトの細胞が触れるとコロナに感染します。
カリコさんたちはこのスパイクタンパク質をもとに人工的にメッセンジャーRNA(mRNA)を作成、ワクチンを体内に注射すると感染力の無いスパイクタンパク質が作られ、コロナウイルスに対する抗体ができ、免疫を働かせるという仕組みです。(mRNAについてはアイデアよもやま話 No.5015 画期的な次世代の国産新型コロナワクチン!を参照)
ファイザーとモデルナのワクチンに採用され、臨床試験でも90%以上の高い有効性が確認されているのです。

実はこの開発に欠かせない、あるものを発見した日本人化学者がいます。
それは新潟薬科大学の古市泰宏客員教授で、次のようにおっしゃっています。
「(私の発見は)世界の教科書に載っている・・・」
「ワイスマン教授、それからカリコさんもそれを勉強して、みんな頭に入ったうえでやっている。」
「礎という言葉を使うと、土台を古市が作ったと。」

古市教授は約50年前、mRNAの端に特殊な構造があることを発見しました。
この構造があるため、mRNAは分解されにくくなり、細胞内でタンパク質を作る効率を大きく上げる役割があることを見つけたのです。
今回のmRNAワクチンについて、古市教授は次のようにおっしゃっています。
「ワクチンであれば、ほんの少量で抗体を作るので、そういう点では(mRNAの活用は)賢明だったなと。」
「これが出来たことによって、これからどんなウイルスや微生物が人類の前に立ちはだかって病気を起こそうとしてもワクチンがあると立ち向かうことが出来る。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組の内容を以下に要約してみました。
・ハンガリー出身のビオンテックのカタリン・カリコ上級副社長とアメリカ・ペンシルベニア大学のドリュー・ワイスマン教授は、全世界で打たれている新型コロナウイルスのRNAワクチンの開発の立役者である。
・カリコさんたちはスパイクタンパク質(コロナウイルスの突起した部分)をもとに人工的にmRNAワクチンを作成した。
・ワクチンを体内に注射すると感染力の無いスパイクタンパク質が作られ、コロナウイルスに対する抗体ができ、免疫を働かせる。
・この仕組みはファイザーとモデルナのワクチンに採用され、臨床試験でも90%以上の高い有効性が確認されており、新型コロナウイルスの流行からわずか1年も経たないうちにワクチンの接種につながった。
・新潟薬科大学の古市泰宏客員教授は約50年前にこの開発に欠かせない、mRNAの端に特殊な構造があることを発見した。
・この構造があるため、mRNAは分解されにくくなり、細胞内でタンパク質を作る効率を大きく上げる役割があることを見つけた。
・mRNAワクチンが出来たことによって、これからどんなウイルスや微生物が人類の前に立ちはだかって病気を起こそうとしても立ち向かうことが出来る。

ということで、私たち人類は新型コロナウイルスのパンデミックで大変な思いをした後、続いて今はこれまでになく感染力の強い変異株、オミクロンの感染拡大の脅威にさらされています。
しかし、mRNAワクチンのお陰で何とかオミクロンに立ち向かいつつある状況です。
そして、変異株は今後も新型コロナウイルスが終息するまで何回か登場してくると見込まれます。
そのたびに私たち人類はmRNAワクチンを武器に変異株に立ち向かうことが出来るのです。
もし、mRNAワクチンが発明されていなかったらと思うとゾッとします。
ですから、mRNAワクチンは現在生きている私たちにとってかけがえのない発明と言えます。

そして、mRNAワクチンが短期間のうちに接種出来るようになったそもそものきっかけは古市教授がmRNAの端に特殊な構造があることを発見したことだったというのです。
ですから、私たちは古市教授やmRNAワクチン開発の立役者であるカリコさん、そしてワイスマン教授に感謝しなければなりません。

 
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