2022年01月04日
アイデアよもやま話 No.5156 廃棄される花の有効活用!
昨年9月16日(木)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)で廃棄される花の有効活用 について取り上げていたのでご紹介します。 

お花屋さんでは売ることの出来ない規格外の花、そして売れ残って廃棄するしかない花を有効活用する、ある取り組みが注目されています。

東京・目白にあるリサイクルショップ「TIGRESS」では洋服や小物、バッグなどを扱っています。
この店先には沢山の花が売られていて、値段はどれも1本100円です。
この花を求めて次々とお客さんが訪れます。
実はこれ、都内の株式会社hananeが行う「花つみ」というシステム、茎が曲がっていたり、花が付きすぎているなど、規格外でお花屋さんでは売れない花を1本100円という低価格で売って、花の廃棄“フラワーロス”を防いでいます。
規格外として廃棄されてしまう花は全体の2割ほどにも上るといいます。(hananeによる)
この取り組みを始めたhanane代表の石動力さんは次のようにおっしゃっています。
「お花は勿論命あるものなので、規格っていうのは消費者にとってはあまり個人的には関係ないと思っているんで、せっかく生産されたものを出来るだけ人々が楽しんで、かつお金にも変えて、生産者のところに戻るというのはすごく意義があると思うんですね。」

現在は関東と関西で約50ヵ所で展開しているといいます。
そのうちの一つ、ブックカフェ「Hama House」(東京・日本橋)でもお客さんがランチをしているお店の外には花が置かれています。
石動さんは次のようにおっしゃっています
「「今までお花を買う機会がなかった人とか、男性の方も1本、2本試しにお家に買って行ったら、奥さんだったり家族の方々が喜んでいただいて、毎週来ていますという声も非常によく聞かせていただいていますね。」

そして廃棄になってしまうのは観賞用の花だけではありません。
埼玉県深谷市にある「ROSE LABO」では無農薬の食用バラを栽培しています。
スイーツの中に混ぜたり、ケーキの飾り付けなどに使われたりしています。
ところが、こちらの代表の田中綾華さんは次のようにおっしゃっています。
「バラの寿命はだいたい野菜とかと一緒で5日間くらい経ってくるとちょっと黒ずんできたり、香りが落ちてきたりというのがあります。」
「どうしても捨てるしかないという判断になってしまうんですけども、化粧品に生まれ変わっています。」

食用のバラからエキスを抽出し、化粧水や石けん、口紅などを製造、天然のバラのいい香りがするといいます。
捨てるしかなかった食用のバラを化粧品にすることで廃棄ゼロを達成しました。
しかし、順調だった廃棄ゼロに影を落としたのが新型コロナです。
田中さんは次のようにおっしゃっています。
「コロナの影響で飲食店さんが自粛で閉まったり、卸し先が閉まってなくなってしまったので大量の食用バラが余ってしまいました。」

「ROSE LABO」では収穫されたバラの半分は食用で残りの半分は化粧品にしていましたが、食用として出荷していた分は行き先を失ってしまいました。
それまでの化粧品への加工だけではバラを使い切ることが難しく、新たな商品開発が急務となりました。
そこで新しく考えたのがマスク用スプレー、商品名「ローズバリアスプレー」です。
マスクに吹きかけるとバラの香りでリフレッシュ出来、販売から1年ほどで約2万5000本も売れたといいます。
田中さんは次のようにおっしゃっています。
「私たちも4月、5月にきれいなバラを咲かせるために冬たくさんお手入れしてきたので、そのバラを世の中の人に届けられないということはすごく悔しくて、どうにかこの子たちの命を長引かせられないかと模索しました。」
「少しでも地球全体が嬉しくなるようなことをしたいと思っています。」

無農薬のバラから作られたマスク用スプレー「ローズバリアスプレー」ですが、マスクの外側の部分に10センチほどスプレーから離して1プッシュか2プッシュして、ちょっとマスクを振ってから普段通りマスクを付けると甘いいい香りがするといいます。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組を通して、お花屋さんでは売ることの出来ない規格外の花、そして売れ残って廃棄するしかない花を有効活用する取り組みについて、以下にまとめてみました。
・規格外でお花屋さんでは売れない花(全体の2割ほど)を1本100円で販売
・食用バラからエキスを抽出し、化粧水や石けん、口紅などを製造
・食用バラの香りを活用したマスク用スプレー

規格外でお花屋さんでは売れない花が全体の2割ほどということは、売れ残りの花を含めると、どれほどの割合になるのか気になるところです。
そして、少なくとも売れ残りの花のフラワーロス対策として少しでも売れる期間を延ばすような技術の開発が待たれます。

さて、今、世界的にSDGs((参照:No.4578 ちょっと一休み その710 『日本も国家としてSDGsに真剣に取り組むべき!』)に関心が集まっていますが、こうした考え方に寄らずとも、日本には以前から“もったいない”精神がありました。
そして、「ROSE LABO」の代表、田中さんもこの精神に則ったかたちで、コロナ禍でも需要が期待出来るマスク用スプレー「ローズバリアスプレー」を開発したわけです。
そして、販売から1年ほどで約2万5000本も売れたというのです。
前向きに考えれば、こうした商品はコロナ禍がもたらしてくれた新たな需要に対応したこれまでにない新商品と言えます。
そして、この商品はコロナ禍の終息後もマスク用スプレー以外も含めてある程度の需要が期待出来そうです。

ということで、コロナ禍で売り上げの激減に苦しんでいる企業においては、自社の取り扱い商品がコロナ禍における潜在需要とどのように結びつくかという観点で新たな商品、あるいはサービスの開発に取り組まれたらいかがでしょうか。

 
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