2021年07月25日
No.5016 ちょっと一休み その784 『世界報道自由度ランキングで気になる日本の順位!』
報道の自由は特に民主主義国家においては国民の知る権利を確保するうえでとても重要です。
そうした中、4月25日(日)付けネット記事(こちらを参照)で世界報道自由度ランキングについて取り上げていたのでその一部をご紹介します。 
なお、日付は全て記事掲載時のものです。

国際ジャーナリストNGOの国境なき記者団(RSF)は4月20日、「世界報道自由度ランキング」の2021年版を発表しました。
RSFは2002年から毎年発表。今回は180ヶ国が対象となった。

同ランキングは、ジャーナリストや報道機関の活動の自由度を測定したもの。評価手法はジャーナリストによるアンケート定性調査と、各国内でのジャーナリストに対する暴力行為統計の定量調査を組み合わせている。定性調査では、「意見の多様性」「政治・企業・宗教からの独立性」「メディア環境と自己検閲」「報道に関する法制度」「報道に対するルールの透明性」「報道のインフラの質」を測っている。

世界報道自由度ランキング
1.ノルウェー
2.スウェーデン
3.フィンランド
4.デンマーク
5.コスタリカ
6.オランダ
7.ジャマイカ
8.ニュージーランド
9.ポルトガル
10.スイス

G7諸国では、ドイツ13位、カナダ14位、英国33位、フランス34位、イタリア41位、米国44位、日本67位の順。アジア諸国では、韓国42位、台湾43位、香港80位、インドネシア113位、マレーシア119位、タイ137位、フィリピン138位、ミャンマー140位、カンボジア144位、シンガポール160位、ベトナム175位、中国177位、北朝鮮179位。

日本は2020年から1つ順位を落とした。RSFのコメントでは、菅義偉首相は2020年9月の首相就任以降、報道の自由の環境改善に向け何も対策をとっていないと批判。特に、記者クラブ制度が、フリーランスのジャーナリストや外国人記者を差別していると伝えた。また、特定秘密保護法(*)も批判している。

*特定秘密保護法(特定秘密の保護に関する法律)とは、漏えいすると国の安全保障に著しい支障を与えるとされる情報を「特定秘密」に指定し、それを取り扱う人を調査・管理し、それを外部に知らせたり、外部から知ろうとしたりする人などを処罰することによって、「特定秘密」を守ろうとするものです。

以上、記事の内容をご紹介してきました。

私たち一般国民は政治、経済などあらゆる分野において、事実を把握したり、豊富な知識を得るうえで報道機関の提供する正確でタイムリーな情報が欠かせません。
そういう意味で、毎年実施されている「世界報道自由度ランキング」は自国も含め、各国の報道機関の自由度を公開してくれるのでとてもありがたいです。
こうした情報は、世界中の様々な情報に接する際に、どの程度信頼出来る内容なのかを知るうえで参考になります。
特に日本のランキングや日本に対するRSFのコメントは日本の報道の自由度を高めていくうえでとても有益です。
ですので日本の政府にはこのコメントにより指摘されている項目について是非改善に向けて検討していただきたいと思います。

さて、世界報道自由度ランキングで気になったのは以下のことです。
1.なぜ北欧諸国がランキング上位を占めているのか
2.なぜG7のいずれの国も10位以内に入っていないのか
3.なぜ日本はG7の中で最下位なのか

これらの問いを解消するうえで、2020年世界報道の自由度指数|RSFはある程度参考になると思います。

さて、基本的にどの国の政権党も自らに不利になるような情報は隠したがるものです。
しかし、こうした傾向が続くとどのような政権であっても腐敗するリスク、あるいは暴走するリスクが高まってきます。
現在の習近平国家主席率いる中国共産党による一党独裁政権はこうした典型例と言えます。
ですから、こうしたリスクが高くならないようにするためには、国内外を問わずあらゆる報道機関が自由に取材して、自由に報道出来るような環境や法整備が必要なのです。
また、その前提として政権交代が出来るような仕組みが必須となります。
このように考えると、中国の順位が177位であったり、一般的に途上国の順位が低いというのはうなずけます。

一方、いくら報道の自由が保障されているといっても、国家安全保障に関する重要な機密情報をある報道機関が入手してそのまま公開するというようなことはあってはならないと思います。
そういう意味で、特定秘密保護法のような法律はその運用においてとても慎重に議論されるべきだと思います。

また、テレビ局や新聞社など報道機関とスポンサーとの関係において、報道機関がスポンサーに配慮したに報道姿勢を取ることが懸念されます。
こうしたリスクに対しては、報道機関とスポンサーとの契約時に、「報道に際し、報道機関はスポンサーに一切配慮せずに報道することが出来る」旨の誓約書を交わすような対応策が必要になります。
最もこうした酷いケースが表ざたになった場合にはスポンサーのイメージダウンになるので、こうした国民の反応は報道機関とスポンサーとの癒着の抑止力になります。

ということで、“国民の知る権利”を守るうえで、報道の自由はとても重要な要因です。
ですから、報道の自由は尊重され続けなければならないのです。
そういう意味で、中国の香港に対する国家安全維持法の制定、あるいはリンゴ日報の幹部社員の逮捕、およびリンゴ日報が廃刊に追い込まれたことを日本国民は“対岸の火事”としてはならないのです。(参考:プロジェクト管理と日常生活 No.700 『香港「リンゴ新聞」を廃刊に追い込んだ中国の横暴さ!』

 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています