これまで何度となくコロナ禍における企業の生き残りに向けた取り組みをお伝えしてきました。
外食産業やカラオケ店の中にもコロナ禍による売り上げ激減の状況下における生き残りを賭けた取り組みをしている店舗があります。
1月14日(木)放送の「グッとラック!」(TBSテレビ)では2つの店舗の事例を取り上げていたのでご紹介します。
緊急事態宣言が全国11の都府県に拡大し、多くの飲食店が苦境に立たされている今、逆に活況になっているお店があります。
それが“ゼロ円サービス”のお店です。
カラオケ館(北千住駅前店)では緊急事態宣言後にスタートさせた“ゼロ円サービス”について加藤秀明店長は次のようにおっしゃっています。
「(室料が)平日は2時間ゼロ円、週末は1時間ゼロ円のキャンペーンをやっております。」
「1月8日からキャンペーンを始めまして、先日までずっと満室が続いております。」
600円飲み放題の注文が必要ですが、ゼロ円サービスとあって、始めた日から連日満室というのです。
利用者のほとんどが“一人カラオケ”でした。
加藤店長は次のようにおっしゃっています。
「(気になる肝心の儲けについて、)採算度外視で楽しんでいただくキャンペーンと打っていますので利益を考えておりません。」
「(ゼロ円サービスを始めたきっかけについて、)カラオケボックスではクラスターは一度も発生しておりません。」
「安心で安全に利用出来るので、是非足を運んでいただきたいと思っております。」
全国カラオケ事業者協会によると、カラオケでのクラスターが発生しているのはカラオケ喫茶やスナックなど、カラオケボックス以外の場所だといいます。
密閉空間であるカラオケボックスは建築基準法で高い換気機能を持つことが定められています。
また超強力な換気扇などで約6分程度に1回空気が入れ代わるようになっているのです。
加藤店長は次のようにおっしゃっています。
「カラオケ館では感染対策も万全に行っております。」
「このゼロ円のキャンペーンによってまたお客様がご来店いただけるのをお待ちしております。」
更に焼肉店の「ホルモンなかむら」(東京・府中市)ではお客がある感染対策に取り組むことを条件に千円のホルモン盛り合わせがゼロ円になるサービスがあります。
その条件とは、店内で無言で飲食をしてもらうことです。
しかし、もし失敗すると人数分の盛り合わせ分を支払わなければなりません。
ただし、注文の際の店員への声掛けはセーフです。
なぜこのようなサービスを始めたのかについて、中村友和店長は次のようにおっしゃっています。
「飲食することで飛沫が飛んで感染リスクがあるっていうことはよくテレビで言われているんで、だったら(食事を)無言で楽しんでみてはどうかなっていうのが思い立ったきっかけですかね。」
ちなみにホルモンをゼロ円にして利益は出るのかについて、中村店長は次のようにおっしゃっています。
「利益・・・考えたことないですね。」
「それよりもお客さんに来てもらいたいなっていう意識の方が高いですかね。」
時短営業で売上が落ちてしまう飲食店が多い中で、このようにゼロ円サービスで活路を見出すお店があるのです。
こうした飲食店の取り組みについて、MCの立川しらくさんは次のようにおっしゃっています。
「ホルモン店は一人でもチャレンジOKなら、大丈夫でしょう。」
「だって、一人でしゃべる方が変だもの。」
「だから基本、時短営業てのは多少の効果はあるけども、私はずっと言っている通り、ちゃんと感染対策して、お一人様テイクアウト専門、そういうふうに決定すればいいと思うんです。」
「あとは家族だったらいいとか。」
「そうすれば私は一人でどんどんご飯食べにいけば、時短要請よりも相当効果は良いと思うんですけど、経済も回るし。」
またメインコメンテーターの田村淳さんは次のようにおっしゃっています。
「いつも過ごしている小さなグループであればいいと最初言ってたじゃないですか。」
「で、一人で食べる分には飛沫感染も抑えられるわけですから。」
「そしたら、飲食店の人たちも今のような苦しみもしなくて済むし、「ホルモン中村」さんみたいに、こうやって自分たちで何かアイデアを考えて、ちょっとでもお客さんを楽しませようというお店がこうやって出来るところはいいですけど、中々全部のお店がそうもいかないでしょうから、やっぱり一人で行くということを政府が言った方がいいと思いますね。」
また、木曜コメンテーターのノンスタイル 井上さんは次のようにおっしゃっています。
「ネガティブじゃないですか、いろんなことに対して。」
「何とかこの緊急事態宣言もポジティブに楽しみながら1ヵ月、2ヵ月を乗り切ろうっている心意気がもっともっと全国的に広がって欲しいですね、消費者も含め。」
こうした中、1月12日の会見で西村経済再生担当大臣は次のようにおっしゃっています。
「昼間も外出自粛をお願いしたい。」
「お昼に皆とご飯を食べて良いということでなない。」
なお、番組では、飲食店を巡って夜8時で終わってしまうということで、今話題になっている言葉「夕食難民」についても取り上げていました。
外で夕食を食べる場所がない難民状態になってしまう人たちのことを「夕食難民」と言っているのです。
以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。
まず“ゼロ円サービス”のカラオケボックスですが、利用者のほとんどが“一人カラオケ”といいますが、これなら「3密」回避になります。
また、“ゼロ円サービス”があるので、カラオケ好きの方にとっては格安で楽しめる格好の空間になります。
ですから、このサービスを始めたお店では連日満室状態というのはとても頷けます。
一方、焼肉店の中にはお客に店内で無言で飲食をしてもらうことを条件に千円のホルモン盛り合わせをゼロ円になるサービスを展開しているお店があるのです。
こうした遊び心のあるサービスをしてくれるお店に対しては、コロナ禍という厳しい状況にもめげずに取り組む店主の心意気を感じます。
コロナ禍で緊急事態宣言などで時短営業が続く中、売上が落ちてしまう飲食店が多い中で、このようにいろいろとアイデアを絞って利益度外視で“ゼロ円サービス”で活路を見出しているお店があるのです。
こうした必死で活路を見出そうしているお店がある中で、追い打ちをかけるように、西村経済再生担当大臣はランチタイムについても外出自粛を依頼しています。
ここで思い出されるのは、以前ご紹介した東京慈恵会医科大学 医学部外科・統括責任者の大木 隆生教授の提言です。(参照:アイデアよもやま話 No.4701 新型コロナウイルス対策に必要な発想の転換!)です。
新型コロナウイルスの感染拡大対策は、大きく3つあると思います。
・感染拡大の回避
「3密」(密閉・密集・密接)の回避
うがいや手洗いの習慣化
マスクの着用
PCR検査、抗原検査、あるいは抗原検査による感染者の早期発見
ワクチンの接種による新型コロナウイルスに対する集団免疫の強化
・経済活動の維持
・感染者用の医療体制の強化
今回ご紹介した事例はまさにカラオケ店と飲食店における生き残り策で経済活動の維持の一環です。
一方、西村経済再生担当大臣は感染拡大の回避策としてランチタイムについても外出自粛を依頼しているのです。
さて、コロナ禍対策の基本は「3密」の回避です。
ですから、政府や自治体にはこの基本に照らして、あらためて感染拡大の根本要因を洗い出し、どの程度の経済活動であれば、感染拡大や医療機関の受け入れ体制などとのバランスで許容出来るのかを見極めてガイドや要請を出していただきたいと思います。
今回ご紹介した“一人カラオケ”や“一人飲食”、あるいは“店内での無言飲食”はその許容範囲だと思うのです。
単にランチタイムにおいても外出自粛を依頼したり、夜8時までの時短営業を飲食店に求めるだけでは、経済活動の維持はとても困難ですし、国民のストレスも限界を迎えてしまいます。
また、コロナ禍におけるコロナ禍前の時間帯での営業継続ガイドが政府から出されれば、各業界は生き残りを賭けて必死にアイデアを考えますから、コロナ禍終息後のコロナ禍前の状況に戻るのではなく、“新たな生活様式”にもつながると期待出来るのです。
ということで、コロナ禍はまだ当分続きそうですから、この辺で政府は新たなコロナ禍対策として、国民、あるいは飲食店などのアイデア力を信じて、コロナ禍前に近い時間帯での営業継続ガイドを出すことも検討していただきたいと思います。
勿論ワクチン接種も同時並行でスピーディに進めるべきであることは明らかです。