2020年08月14日
アイデアよもやま話 No.4721 コロナ後の日本にとって必要なこととは・・・

4月15日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でコロナ後に日本にとって必要なことについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

外国人観光者(インバウンド)が1年前と比べて93%減少した状況ですが、新型コロナウイルスが終息してもこれまで通りには戻らないことは他にも沢山ありそうです。

そこで、コロナ後の日本にとって必要なことについて、産業再生機構COOなどを歴任し、JALやダイエー、カネボウなどの再建に係わり、現在は株式会社経営共創基盤CEOの冨山和彦さんは次のようにおっしゃっています。

「中々インバウンドは急に戻るとは思えないので大変なんですが、ただ地方にとってはこれ今回大都会が一番感染症に弱いということが分かって来たわけです。」

「で、こうやって今リモートで仕事しているわけですし、ある意味もっと地方に2拠点で生活するとか、あるいは地方で副業するとかっていう働き方はむしろ今考えるチャンスなんで、このある種の危機がずうっと東京に集中的に人が流れてきたのが、今度は地方に逆に流れていくような転換期にうまく出来れば、そういうふうに地方をうまくインフラを含めて整備が出来れば、一つの転換点になるので、これをどうチャンスに切り替えていくか、それが地方にとって大事だと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

一方、同じ番組の「コロナに思う」コーナーで、コロンビア大学の伊藤隆敏教授は次のようにおっしゃっています。

「ニューヨークで籠城生活“おこもりさん”を始めて3週間経ちました。」

「まだまだ続くと思います。」

「長い長いトンネルになるわけですけれども、トンネルを抜けた世界が元の世界なのか、新しい世界なのかということを考えるようになってきました。」

「恐らく新しい世界なんじゃないか、元には戻らないというふうに感じるようになってきています。」

「そうすると、新しい世界が元の世界よりもより良いものにしたいわけですよね。」

「より生産性が高い、より生活の質が高い、そういった世界にするためにはどうしたらいいか。」

「だからトンネルの中にいる時は(経済は)ものすごく下がると思うんですよ。」

「問題はその落ち込んだ後にV字に回復出来るのか、あるいは低迷が長く続くのかというところで、それはやはり工夫しなくてはいけない。」

「だからV字は無理かもしれませんが、少しでも回復のスピードを上げていくためにはやはり長く言われて来たテクノロジーを生かした社会を作っていくことが重要になってきていると思うんですね。」

「ニューヨークでも小中高、全部休校になったわけですけども、それは1人1台タブレット、あるいはPCを配って遠隔授業を導入しています。」

「同じようなことを勿論東京でも出来るはずなんですね。」

「やる気とお金さえつぎ込めば出来るわけですから、是非やっていただきたいと思っています。」

「トンネルを抜けた新しい世界でも恐らく在宅勤務が結構日常的に出来るようになっている、みんな慣れてくるということがあるとすると、これは非常に大きなチャンスでありまして、例えば子育てをしている共働きの世帯でも在宅で十分に企業活動への参加が出来るということが実現する。」

「ただ休んでいるんじゃなくて新しい世界で何が出来るんだろうということを考えてイノベーションにつなげていくと。」

「それが出来れば回復は早いと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

以上、コロナ後の日本にとって必要なことについて、株式会社経営共創基盤CEOの冨山和彦さんとコロンビア大学の伊藤隆敏教授、お二人の提言をご紹介してきましたが、2つのキーワードにまとめてみました。

一つ目は地方創生です。

なお、ウィキペディアには以下のように記述されています。

 

地方創生とは、東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げることを目的とした一連の政策である。2014年(平成26年)9月3日の第2次安倍改造内閣発足後の総理大臣記者会見で発表された。ローカル・アベノミクスともいう。

 

ですから、地方創生については、既に2014年から政府はアベノミクスの一環として柱の一つとして掲げていたのです。

 

二つ目はデジタルトランスフォーメーション(DX)です。

なお、ウィキペディアでは以下のように記述されています。

 

「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念である。デジタルシフトも同様の意味である。2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱したとされる。ビジネス用語としては定義・解釈が多義的ではあるものの、おおむね「企業がテクノロジーを利用して事業の業績や対象範囲を根底から変化させる」という意味合いで用いられる。

 

要するに、暮らし方、働き方、あるいは学び方について多様性を持たせることであり、そのためにテクノロジーを最大限に活用することこそ、コロナ後の日本にとって必要なのです。(具体的な企業の事例については、No.4716 ちょっと一休み その733 『ファミリーマートで体験した賞味期限切れ商品の自動識別から見えてきたDX!』を参照)

 

なお、国でも省庁ごとに個別にDXが進められています。

ちなみに、経済産業省の取り組みについてはこちらを参照下さい。

こうした省庁ごとの個別の取り組みについては、縦割り意識が感じられます。
全ての省庁によるDX化を進めるプロジェクトオフィスを設け、一元的な管理のもとに進めるべきだと思うのです。

 

ということで、これまで地方創生、およびDXにスピーディに取り組んでいれば、今回の新型コロナウイルス対策は随分違ったものとなっており、影響をかなり軽減出来たと思うのです。

具体的には以下のようなものが挙げられます。

・感染者の経路の把握

・感染状況の把握(感染者数や回復者数など)

・個人や企業への給付金の付与

・電子契約
・電子決済

・在宅勤務

・オンライン学習

 

ですから、社会のあり方そのものが新型コロナウイルスに限らず、いろいろな問題の解決にあたってスムーズに取り組めるかどうかを大きく左右することになるのです。

ということは、コロナ後の日本にとって必要なことは、という検討よりも、過去に掲げた政策になぜもっと真摯に取り組まなかったのかという反省こそが求められていると思うのです。


 
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