2020年07月17日
アイデアよもやま話 No.4697 新型コロナウイルス治療薬の実用化が間近に!

前々回、前回と新型コロナウイルス治療薬に挑む日本企業の最前線について2回にわたってご紹介してきました。

そうした中、6月30日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で実用化間近な新型コロナウイルス治療薬、レムデシビルについて取り上げていたのでご紹介します。

 

アメリカの製薬会社、ギリアド・サイエンシズは、新型コロナウイルスの治療薬として日本政府が特例承認したレムデシビルについて、先進国政府向けの価格を1人あたり約25万円にすると発表しました。

ただ日本では新型コロナウイルスの治療費が公費で負担されていて、患者の負担はありません。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

また、7月2日(木)付けネットニュース(こちらを参照)では以下のように報じています。

 

レムデシビルについて、アメリカ政府は9月末までの生産分の92%を買い上げたと発表しました。

約55万人への投与量のうち、50万人分を米国が買い占めたことになります。

 

レムデシビルは、1人の治療に平均6.25本分が必要とされます。

アメリカの買い占めにより、世界でレムデシビル不足が起きるとの懸念が広がっています。

 

ギリアドはAFPの取材に、インド、パキスタン、エジプトの製薬会社9社にレムデシビルのジェネリック医薬品(後発医薬品)の生産ライセンスを無償で提供しており、発展途上国127ヵ国に供給されると説明しています。

その他の国については、まず規制当局の承認・認可と罹患(りかん)率に基づいて、レムデシビル供給の優先度が決まります。

次に、重症度に基づいて判断し、最も緊急性の高い患者に優先的に提供されると述べています。

 

レムデシビルはアメリカ国内の工場の他、北米や欧州、アジアの提携企業でも生産して「供給の規模を拡大する」としています。

 

米ジョージタウン大学(Georgetown University)の保健法の専門家マシュー・キャバノー(Matthew Kavanagh)氏は、「世界各国は直ちに、レムデシビルをはじめとするCOVID-19治療薬に対し(特許技術を政府機関や第三者が自由に使えるようにする)『強制実施権』を発動するための協調した取り組みを発表し、開発元の製薬会社が必要な治療薬の生産を阻止出来ないようにするべきだ」と語っています。

 

以上、記事の一部をご紹介してきました。

 

この2つの情報を以下にまとめてみました。

アメリカの製薬会社、ギリアド・サイエンシズが開発中の新型コロナウイルス治療薬、レムデシビルは実用化間近であること

レムデシビルについて、アメリカ政府は9月末までの生産分の92%を買い上げ、約55万人への投与量のうち、50万人分をアメリカが買い占めたことになること

・アメリカの買い占めにより、世界でレムデシビル不足が起きるとの懸念が広がっていること

・ギリアドはインド、パキスタン、エジプトの製薬会社9社へのジェネリック医薬品の生産ライセンスの無償提供により発展途上国127か国に供給されると説明していること

・その他の国については、まず規制当局の承認・認可と罹患(りかん)率に基づいて、レムデシビル供給の優先度を決めること

・次に、重症度に基づいて判断し、最も緊急性の高い患者に優先的に提供されること

・レムデシビルはアメリカ国内の工場の他、北米や欧州、アジアの提携企業でも生産して「供給の規模を拡大する」としていること

レムデシビルについて、先進国政府向けの価格を1人あたり約25万円にすると発表したが、日本政府は特例承認し、新型コロナウイルスの治療費が公費で負担されているので患者の負担はないこと

 

こうしてまとめてみると、レムデシビルはアメリカの製薬会社、ギリアド・サイエンシズにより開発されたことから、国内の感染者数の多さからも自国優先でアメリカ政府により9月末までの生産分の92%が買い上げられたことは致し方ないと思います。

一方、途上国、あるいは他の先進国に対する対応について、ジョージタウン大学の保健法の専門家、マシューさんが指摘されていますが、新型コロナウイルスの治療薬、あるいはワクチンの提供方法については一つのあるべき姿を示していると思います。

そして、アイデアよもやま話 No.4695 新型コロナウイルス治療薬に挑む日本企業の最前線 その1 武田薬品の取り組み!でご紹介した武田薬品、そして今回ご紹介したギリアドの取り組みもこうしたあるべき姿をベースに新薬開発を進めて来たと思われます。

 

なお、レムデシビルの最新状況ですが、7月13日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で以下のように報じています。

 

7月13日、ギリアドはレムデシビルについて、死亡率を大きく低下させたと発表しましたが、この報道について解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「死亡率が変化したわけですよね。」

「62%も死亡率が減った、そこにマーケットは大きく反応したのですが(株価が上昇)、実際のレベルはどのくらいだったのかを見てみたいと思います。」

「14日目の死亡率ですが、投与した場合は7.6%、投与しなかった場合は12.5%、こういう数字なんですね。」

「そこで、やっぱりマーケットは大きな数字が出てくるとそこに反応するというのが今起きている現象だと思います。」

「メディア業界もついつい見出しが大きくなりそうな方を取っちゃうんですよね。」

「そこは僕ら(報道陣)もちょっと反省しないといけないと思っています。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

ということで、治療薬として期待のかかるレムデシビルは実用化が間近といいますが、冷静に見ると、その効果は確かにあるようですが、それほど劇的な効果とまでは言えないようです。

それでも、レムデシビルの投与により、これまで100人の感染者のうち13人ほどが亡くなっていたのが8人ほどに抑えて5人ほどが助かると期待出来るのですから、投与する価値は十分にあると思います。

 

ワクチンの実用化が達成出来るまでは、治療薬で感染者の回復を目指すしかありません。

ですから、引き続きより効果のある治療薬、そしてワクチンの実用化を期待したいと思います。


 
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